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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
三章 集落での生活
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第90話 三度警察署へ

昨夜のうちにパパに許可をもらった僕は、早朝から明日奈さんと絨毯に乗って、明人君のいる警察署が運営する避難所に移動していた。


そのまま空から降りてきたらたぶん大パニックになるので、1km手前ぐらいの安全なビルに降りて徒歩で警察署に向かい、バリケードで塞がれている入口付近まで来た。


「すみませーん! 誰かいますか!」


僕は大声で叫んだ。

お約束の様に感染者が集まって来つつある。


「少し待ってくれ! ん? 以前ここにいた桑田さんじゃないか?」

「はい。そうです! 弟と話したくて来ました!」


見張りの警官が二階から顔を出してくれた。

明日奈さんの顔も覚えていた様なので話が早そうだった。


僕は警官がハシゴを用意してくれている間に、近寄って来そうな感染者を先にバールで倒しておく。

早め早めのパ◯ロンだ。


僕たちは検査後、無事に避難所の中に入る事が出来た。





ーーーーー





「明人!」

「姉さん! それに冴賢さんも! 良く無事で!」

「こんにちわ、明人君」


軽く抱き合って再会の挨拶をした明日奈さんは、居住区を少し離れたところで集落への参加の相談を明人君に持ち掛けた。


「明人、単刀直入に言うけど私たちの集落に来ない?」

「集落?」


「そう。冴賢くんのお父さんが代表をしている集落なんだけど、今は約300人いるの。そこには山と川と田畑があって自給自足を目指して頑張っているわ。私も学校の先生を主にやっているし、今作っている街を囲むバリケードが完成したらここよりもずっと安全なの」

「えっ! そんなところがあるの?」


「そうなの。私たちの集落は1000人を目標にして、バリケードが完成した後に技術者の住民を増やしてゆくつもりなんだけど、その前に特別に誘いに来たのよ」

「でも安全性なら警察署の方が高いんじゃ?」


「それは僕が話すよ。最近、銃を持った武装グループが暴れていて各地の避難所を襲っているんだ。それにパンデミックの原因となったウィルスの変異体も現れているらしい。その変異体が現れたら自衛隊クラスの武力じゃないと太刀打ち出来ないかもしれないんだ」


「だけど、集落では銃とかは持って無いですねよ?」

「うん。今は詳しく話せないんだけど、うちの集落は自衛隊の駐屯地よりも安全なんだ。変異体が来ても入れないし、倒せると思うから大丈夫だと思うよ。嘘は吐いていないつもりだけど、これは君のお姉さんである明日奈さんを信じてもらうしかないかな」

「全部本当よ明人! だからあなたの彼女や仲間と相談してみてくれる?」


「うん、わかった。信じられない様な話だけど姉さんが僕を騙すはずないし、僕は姉さん達を信じる。他の人はどうかわからないけど聞いてみるよ」

「私たちは夕方にはここを出る予定だから、それまでに決めてね」


僕たちは持参したと見せかけたお昼ごはんを食べ、他にも家族連れを中心に集落への勧誘を行いながら明人君たちの結論を待つ事にした。





ーーーーー





「姉さん、決まったよ!」


夕方頃になって、明人君たちが四人で僕達のところにやって来た。

明人くんたちのグループはもっと人数が多かったはずだけど、やはり全員は無理みたいだった。


柚葉(ゆずは)ちゃん! 久しぶり! 赤羽(あかはね)君と、(みどり)ちゃんも!」

「明日奈さん! お久しぶりです!」

「どうも!」

「おひさです!」


明日奈さんは皆を知っているみたいで、ぞれぞれと挨拶を交わした。


「冴賢さんは初対面だと思いますけど、僕の彼女の石崎柚葉(いしざきゆずは)、友人の赤羽諒(あかはねりょう)とその彼女の川村翠(かわむらみどり)です」

「初めまして荒井冴賢です。よろしくお願いします!」


「「「よろしくお願いします!」」」


僕も明人君の友人たちと挨拶を交わした。


「じゃあ四人は私達の集落に参加するって事で大丈夫?」

「そうだね。みんなで話し合って決めたんだ。残る人も納得してるよ」


明日奈さんが最後に同行を確認した。

この四人は確定みたいだ。


その後それぞれ別れの挨拶を行い、警察署の係の人にもここを出る事を伝えて荷物の準備をしたので、予定より少し早いけど引き上げる事にした。


結局、僕らが個別に勧誘していた人たちも手を挙げてくれる人は現れなかった。

まあ誰しも普通に考えればここの方が安全だと思うから仕方が無い。


僕たちは用意してくれたハシゴを降りた。

そしてさあ行こうとした時、物陰から出て来た者達に不穏な声を掛けられた。


「荒井冴賢、待ちなさい!」


それはあの婦人警官の米倉だった。


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