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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
三章 集落での生活
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第88話 避難民の歓迎会

夕食の時間になり、新しく来た避難民の歓迎会を兼ねた集落の人との顔合わせの食事会が始まった。


特に堅苦しい開始の挨拶などは無く来た人から順次食事を楽しんでもらう。


バーベキューコンロの炭火で、下ごしらえした各種の肉や野菜を焼き上げる。

光司君と美久ちゃんが担当して大きい鉄板で大量の焼そばも作っていた。


その他、握り寿司や、各種のピザやパスタ、ハンバーガーやポテト、各種の揚げ物、白米もいっぱい炊いて、かなり本格的なパーティになっていた。

お年寄り用に日本茶と漬物でのお茶漬けも用意してある。


飲み物も、ビール、日本酒、ウイスキー、ワイン、果実酒、各種の果汁ジュース、コーラ、サイダー、コーヒー、紅茶、ウーロン茶、日本茶、牛乳など、全て手動だけどドリンクバーのような感じで用意した。

氷は念力(サイコキネシス)水操能力(アクアキネシス)で思ったよりも簡単に作れたので、飲み物や冷却用に大量に用意した。


パンデミックから約三ヶ月、このような豪華なパーティは遠い物となっていた。

もちろんずっと贅沢は出来ないけど、今日だけはそれを忘れて皆さんに楽しんでもらいたいと思う。


ベンチも多めに配置してあるので、あちこち座りながら話に花が咲いている様だ。

パパも皆に請われて新しく集落の責任者の立場になったので、挨拶回りに忙しそうだった。


僕は挨拶も兼ねて皆の様子を見ながら、無くなった食べ物や飲み物を補充して回っていた。


「明日奈さん、佐々岡さん、そろそろ調理は他の人に任せて自分も食べてね」

「うん。ありがとう!」


「……莉子(りこ)よ。私の事は莉子(りこ)って呼んで!」

「えっ! ああ、秀彦君もいるからその方が良いね! 僕の事も遠慮なく冴賢って呼んでね」


「そういう事じゃないんだけど……まあ今はそれでいいか」


それから明日奈さん、莉子さん、秀彦君はバーベキューやらピザやポテトを美味しそうに食べていた。




「早苗ちゃん、周りに大人たちもいるから自分でも好きな物を食べてね」

「うん。冴賢さん、ありがとう」


幼児を含む小さい子のお世話をしていた早苗ちゃんは、早速他の物を食べに行ったようだ。


武史(たけし)くん、(ひかる)ちゃんの小学生組はなんとか自分で取れるし、陽翔(はると)くん、(こよみ)ちゃんの幼児組も周囲の大人がカバーしてくれている様だから問題は無いだろう。




「光司君、美久ちゃん、焼きそば美味しそうに出来たね! 凄いよ!」

「うん! 冴賢お兄ちゃん、すっごく美味しいよ!」

「思ったよりも上手く出来たと思います! 是非食べて行って下さい!」


「ありがとう。貰うよ!」


ソースがたっぷり掛かった肉入焼きそばは作りたてなのもあって凄く美味しい。

でも折角のパーティだから光司君と美久ちゃんにも他の物を食べに行ってもらい、ここは僕が見る事にした。

僕も後でママと玲奈にでもバトンタッチする事にしよう。


「焼きそば一つ下さい」

「はーい!」


元気良く返事して顔を上げると、そのお客さんは真理だった……

もちろん真理だからと言って渡さない訳にも行かない。

真理も今ではこの集落の住民だしね。

僕は焼きそばを紙皿に盛り付けて真理に手渡した。


しかし、こうしていると幼い頃にお祭りの縁日で、焼きそばとかフランクフルトとかを食べきれないので、真理と一緒に半分ずつ食べた記憶が蘇ってくる。


「……こうしてると思い出すなあ。小さい頃の事……」


やっぱり幼馴染だ、真理も僕と同じ様な事を思い出しているんだろう。

たった数年前だけど今となっては遠い……遠くなってしまった記憶だ。


「やっぱり私、馬鹿だったなあ。私のやった事は、こうしてると浮かんでくる幼い頃の素敵な思い出まで汚してしまう行為だったんだなって……」


「焼きそば、熱いので気を付けて……」


僕はそれ以上、真理に掛ける言葉は見つからなかった。


パーティ自体は皆に満足してもらったようで大成功で終えたのだった。


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