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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
二章 家族を探して
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第67話 間一髪での救出

僕たちは感染者の群れからキャンピングカーごと逃れて上空にいた。

ここは県全体が見渡せるほどの高所だ。


僕はサーチを使って方角を確認する。

サーチの矢印が東よりの北に矢印を指すけど、上からだとさらに立体的に位置がわかるようだった。


念動力(テレキネシス)での負荷もそれほどではなく、それになんとなく危機感を覚えた僕は、このまま一直線に家族の元へ向かう事にした。

どうやら家族は県奥の集落にいるようだった。


「負荷は大丈夫みたいだから、このまま空を飛んで行くよ! 家族のいる位置もここから肉眼で認識できたしね! たぶん20分ぐらいで着きそうだよ!」


「はい、わかりました!」

「うん! わかったわ!」


光司君と明日奈さんが返事をしてくれる。

僕は障害物の無い空から、一直線に最短距離で家族の元に向かうのだった。





ーーーーー





「えっ? 何で!」


僕はサーチでパパの方向を確認しながら移動していた。

そして後1kmちょっとになった時にようやくパパの位置がサーチで表示されたんだけど、その色がかなり薄くなっている事に気づいたんだ。


まさか死にかけなのか!

怪我してる? それか感染か?


近くに寄り添う様にいる反応はママと玲奈だろう。

それ以外にも青い生存者の反応がある様だ。


僕は念動力(テレキネシス)でキャンピングカーを動かすスピードを上げ、一旦500m手前で感染者のいない位置で停車させた。


「光司君、明日奈さん、これを渡しておくよ! 何か厄介な事になっているかもしれないから僕だけで行ってくる! みんなはここで待機していて!」


僕はそう言うと光司君と明日奈さんに、婦人警官の米倉たちから没収した拳銃を渡した。


「わ、わかりました。ここは任せて下さい!」

「冴賢くん、気を付けてね!」

「ひさとお兄ちゃん! 気を付けて!」


僕は皆に頷くと、念力(サイコキネシス)を纏って身体を強化し、窓から飛び出して最高速度で家族の元に向かった。





ーーーーー





僕はこれまでにない速度で走っていた。


白蛇さんに強化してもらった身体は、それだけでもオリンピック選手よりも速く走れそうだけど、念力(サイコキネシス)を纏う事によってさらに数倍の速さを得ることが出来る。


走ってすぐ集落の入口にバリケードの様な障害物があるのが見えたので、ジャンプして飛び越えてそのまま進む。


見えたぞ! 僕の家族がいる!

そして倒れているパパに向かい合った男が銃口を向けているのが見える。

周りにも何人か銃を持った男達がいるようだ。


玲奈とママが叫ぶ。


「パパー!」

「やめて!」


「ふん! とどめだ!」

(パン!)


みんな僕には気づいてない。

男が銃を発射した様だ! くそっ、間に合え!


サイコアクセル!


世界が急にスローになった。

ゆっくりになった銃弾がパパに迫るのが見える。


僕は全速力でパパの方に向かうけど、サイコアクセルで時間自体を停止させたり、時間の流れを遅くする事は出来ない。

あくまで僕が感じる時間、認識と思考速度が上がるだけなんだ。


このままではたぶん間に合わない! あと少しなのに!

僕は極限の中で思いつき、アイテムボックスからバールを取り出す。

念力(サイコキネシス)を纏わせる時間はない。


パパと銃弾の軌道の間に滑り込ませるように、バールをなんとか差し込む!


(キン!)


バールが銃弾を弾く音が響いて世界が元に戻った。

皆、急に現れた僕に驚いている様だ。


「な、なんだお前は!」


「ひ、冴賢なのか……」

「冴賢!」

「お兄ちゃん!」


僕はパパを庇うように前に立ち、男たちを見据えてバールを構える。

家族も僕を認識してくれた様だ。


何とか間に合った、もう大丈夫だ。

僕がいる限りこれ以上家族に手は出させないぞ!


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