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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
二章 家族を探して
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第58話 目の前の弱者は助けたい

僕たちは大型キャンピングカーに乗り、時折現れては立ちふさがる感染者や路上に乗り捨てられた車を、新たに発現した能力である念動力(テレキネシス)で取り除きながら進んで行く。


念力(サイコキネシス)はずっと使用しているとかなり疲労を感じる事が多かったけど、今のところ念動力(テレキネシス)を多用しても特に体調に変化はなかった。


これは想像だけど、念動力(テレキネシス)は重力操作とセットになっているのかもしれない。

というのも、体重が80kg程度の感染者への発動と、2トンぐらいの車への発動がほぼ変わらない感じなんだ。


重力を遮断して動かし、また重力を戻す、といった感じの様に思える。

そう考えると、もしかしたら念動力(テレキネシス)を使って空を飛べたりするのかもしれない。


念動力(テレキネシス)に関して付け加えると、対象は一つに限定されているみたいだ。

但しサーチなどのように、使っているうちに使用感が変わるのかもしれない。

何にせよ便利な超能力を授けてくれた白蛇さんに感謝しよう。





ーーーーー





順調に北上している僕たちは、お昼頃に幹線道路を少し外れた場所で食事休憩を取ることにした。


幹線道路沿いを避ける理由は、感染者が多いのと避難所も多いため下手に接触して面倒な事にならないようにする為だ。


僕たちはダイニングテーブルに座って、僕が注文を受け付ける。


「私は……オムライス! 飲み物はオレンジジュースで!」

「私は……親子丼とウーロン茶にするわ!」

「じゃあ僕はカツ丼大盛りで! 飲み物はコーラをお願いします!」


「光司君は決断が速かったね」


僕はアイテムボックスから各自の注文通りの物を取り出して配膳する。

僕は何となく光司君と同じ物にした。


「実は運転しながら、お昼に食べる物を先に考えてたんです……」

「ははっ。そうだったんだ」


僕たちは種明かしをした光司君を皆で笑いながら、美味しい昼食を食べた。





ーーーーー





僕は再出発前に一応周囲の詳しい状況を探っておこうと、サーチの範囲を最大に上げて検索を行った。

今ではおよそ半径1kmちょっとぐらいまでサーチ出来る様になっている。


市内のサーチ範囲には生存者はちらほらいるようだった。

僕は生存者を一々確認して回る気は更々無いんだけど、その中で小さい子供ばかりが集まってる反応が気になった。


少し拡大してみると幼児〜小学生ぐらいの子供だけの4人の反応だった。

その場から全く動かないので移動しているわけではないようだ。

少し離れたところにもう一つ生存者の反応もある。


恐らくだけど最近崩壊した避難所か生存者コミュニティの生き残りだと思う。

あの子たちは誰かが手を差し伸べないと生存する道は無いだろう。

でも僕は神様じゃない。

全員を救う事は出来ないんだ。


今は一刻でも早く家族と合流したいし、見捨てるのは仕方が無い事なんだ。

だけど……


「……冴賢くん、どうしたの?」


葛藤している僕の様子がおかしいと見えたのか、明日奈さんが心配して声を掛けてくれた


「うん……」


何でもない……その言葉が出て来なかった。

明日奈さん達が子供たちの事を知るすべは無い。

僕が何も言わなければ罪悪感を抱くことも無いんだけど……


「1kmぐらい先に小さい子供だけの集団がいるんだ……」


僕はみんなに言ってしまった。


「えっ! それは……どうするの?」

「「……」」


「僕は…………助けようと思うんだ!」


僕はとうとう口に出してしまった。

だけど自分の気持ちは誤魔化せない。

全ての人を救う事は出来ないけど目の前の弱者は助けたいんだ!


「黙って通り過ぎる事も出来るけど、助けられる力があるのに見捨てるのは違うと思うんだ! ワガママかもしれないけど、僕の手の届く範囲の人は助けたいんだ! 特に子供はね!」


「うん。私も賛成する。それでこそ冴賢くんよ!」

「私も! 小さい子は私が面倒を見る!」

「いいですね! 僕たちだって冴賢さんに救われたんですから!」


「ありがとう、みんな!」


意見が一致した僕たちは昼食の後片付けをしつつ、現場に向かって行くのだった。


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