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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
二章 家族を探して
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第53話 カミングアウト

警察署を出た僕たちは、一時間ほど移動して適当な空きビルで休憩をとった。

光司君と美久ちゃんの荷物は殆ど無いけど、明日奈さんの荷物は家から持ち出した着替えとかがかなりあるようで、少し疲れて息切れもしているようだった。


疲労している時に何者かに襲われたら反応も鈍くなるだろう。

僕の能力を使用すれば荷物は全て格納してしまえるので移動はかなり楽になる。


僕はもうこの三人とは離れる気は無かったので、今後の危険を避けるためにも僕の持つ能力をカミングアウトしようと思う。


「三人とも聞いてくれる? 僕は皆にずっと黙っていた事があるんだ……」


「「「?」」」


三人とも僕が何を言い出すのかと首を傾げた。

でも何と説明すれば良いんだろう?


「う〜ん。説明が難しいんだけど……そうだ! 明日奈さんって今何か欲しい物ある?」

「えっ! 欲しい物?」


「そう。もしも今すぐ貰えるとするなら何が良いかな?」

「えーっと、そうね……新しい靴かな。長距離の移動用にもっと歩き易い靴が欲しいかも。サイズは23.5cmで!」


「えっと、ランニングシューズって事かな。光司君と美久ちゃんは?」


「私は、ボテトチップスのり塩味! 食べたーい!」

「僕は……ズボンですかね? 大分擦り切れましたし……」


僕は全員の希望を聞いて、アイテムボックスから該当の物を取り寄せた。


「はい! ランニングシューズ、のり塩ポテチ、ズボンはジーンズね!」


「えーっ! 何で!」

「ポテチ!」

「ズボンが!」


三人ともビックリして目を丸くするのだった。





ーーーーー





「……っていう事なんだ」


僕は学校のグラウンドで死にかけた時に白蛇さんと会って力を貰った事、アイテムボックスの事を話した。


「そうか、だから色んな食材を持っていたのね」

「うん。あの時は言えなくて、ゴメンね……」


「ううん、いいのよ。こんな事軽々しく言えるわけ無いしね」


明日奈さんが以前を回想して話した。


「卵とかカレーとかもアイテムボックスだったんですね」

「お魚も?」


「うん。そうなんだ。アイテムボックスを色々と試した感じだと、パンデミック前の世の中にあった全ての物や商品が999999個ずつ入っているようなんだ。白蛇さんが、僕がすぐに死なないようにって入れてくれたんだと思う」


「約100万個って、ほぼ一生分じゃない!」


光司君と美久ちゃんも、以前食べた物がアイテムボックス産だった事に驚き、明日奈さんはその数に驚愕したみたいだ。


「そういえば、これって見えるのかな? これがアイテムボックスなんだけど」


僕はアイテムボックスを目の前に出して見せた。

僕には真っ黒な渦巻のような物に見える。


「ううん。何も見えないわ」

「僕もです」

「私も」


「そうかあ……明日奈さん、少し手を握らせてもらって良い?」

「えっ! そんな! う、うん、少し恥ずかしいけど、いいよ!」


「あ、ゴメンね。実験なんだ! 僕の手を通してアクセス出来ないかなって」

「あ、そうなの! いいよ、どうぞ……」

「では、失礼して……」


僕は明日奈さんの柔らかい手を握ると、アイテムボックスの中に突っ込んだ。

これでどうだろうか。


「ええっ何これ! 商品リストみたいな物がわかるわ!」


どうやら明日奈さんがアイテムボックスにアクセス出来たようだ。

予想通り僕の手を通してなら使用できるらしい。


「頭の中でカテゴリーやキーワードを思い浮かべると、絞り込めるからやってみて。どうせなら何か欲しい物や必要そうな物を取り出してみてくれる?」


「うん。やってみる!」

「私も! 私もやりたい!」

「しゃあ次は美久ちゃんね。光司君も少し待っててね」


僕は明日奈さんでもアイテムボックスから取り出す事が出来るかを注視する。


少し待つと、僕の目の前に鮮やかな色の下着の上下セットが現れた。

現れた下着は、すぐに恥ずかしそうな明日奈さんに回収されていった。


明日奈さんの本当に欲しい物はそれだったんだね……

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