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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
二章 家族を探して
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第52話 お別れと出発

その後、僕は別の部屋にいた桑田さんを訪ねた。

桑田さんを見つけて話し掛ける。


「桑田さん!」

「荒井君!」


「迎えに来たよ。準備はどう?」

「うん。もうすぐ終わりだよ。あ、弟を紹介するね!」


桑田さんは弟を手招きして呼び出した。

身体は中学生にしては大きく、背が高い桑田さんより少しだけ大きい。


「私の弟の明人です」


「初めまして。荒井冴賢です。桑田さんにはお世話になっています」


「こちらこそ初めまして。桑田明人です。姉さんをこの避難所に連れてきてくれた人ですよね?」


「うん。一度一緒にここまで来たよ」


「やっぱり! 姉さんはあなたが居なくなった後、凄く落ち込んで大変だったんです。今回一緒にここを出たい人がいると聞いたので、絶対にその人だと思ってたんです」


「もう明人! 荒井君に変な事、言わないで!」


「桑田さん……その節はすみませんでした」


僕は勘違いで桑田さんに悲しい思いをさせた事を謝罪した。


「荒井さん、僕も桑田で紛らわしいので姉の事は名前で呼んでくれませんか?」


「え! それは……」


「うん! 私も出来れば名前で呼ばれたいかな」


桑田さんが恥ずかしそうに僕を見てそう告げる。


「分かったよ。それなら僕の事も名前で呼んでね」


「うん! 冴賢くん、改めてよろしくね!」


「明日奈さんも、よろしくね!」


桑田さんは既にある程度荷物の準備をしていたようだ。

もう後は挨拶だけで出発出来るという事だった。


「荒井さん、いえ冴賢さん、姉の事どうかよろしくお願いします!」


「うん。明日奈さんは僕の力の続く限り守って行くよ! 任せておいて!」


そして明人君は明日奈さんに向き直り別れの挨拶を行なう。

少しだけ涙も滲んでいるようだ。


「姉さん元気で! いつかまた!」


「うん。明人もね! またきっと会いましょう!」


こんな世の中になってしまったからには必ず再会出来る保証はない。

今生の別れになるかも知れない明日奈さんと弟は、しばし抱き合って別れを惜しんでいた。


明日奈さんの瞳からは一筋の綺麗な涙が流れていた。



最後に光司君達の部屋に戻り、明日奈さんに光司君と美久ちゃんを紹介した。

明日奈さんが食事の配膳係だった事もあり、昨日のうちに知り合いになって僕の事を明日奈さんに教えてくれていたようだった。


僕達は警察署の人に感謝の挨拶をし、避難所となる警察署から出て行った。


その時サーチで確認していたんだけど米倉が隠れて僕を伺っているようだった。

たぶん上司に怒られたのだと思うけど僕を恨むのは筋違いな気がする。

まあ何か仕掛けてくるのなら今度は僕も容赦しないつもりだ。


僕たちは感染者が多くうろつく中、北に向って進んでいく。

まずは僕の家族を探し、そして安住の地を探し求めて行こう。


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