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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
二章 家族を探して
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第42話 言い訳と別れ

僕は今後の事をを考えながら居住区の割り当てられた部屋に戻った。

部屋には光司君と美久ちゃんがいる。


「ただいま!」


「冴賢さん! 無事で良かったです!」

「ひさとお兄ちゃん!! 良かったー!」


二人とも僕の無事を凄く喜んでくれる。

美久ちゃんは僕を離さないとばかりに抱きついてくる。


「僕がいない間、大丈夫だった?」


「は、はい……」

「……」


「どうしたの? 何かあったんだね光司君」


「い、いえ……冴賢さんと僕たちの関係を聞かれただけです」

「高校生のお姉さんがしつこく聞いてきたの」


「……真理か」


真理が僕たちの関係を調べようとしている事に嫌悪感を感じる。

何の為に調べる? もう僕とはなんの関係も無いはずだ。

やはりここには二人を置いておけないな。

僕は二人に小声で相談する。


「二人とも静かに聞いて。物資調達の仕事が終わったら、僕は二人を置いてここを出る予定だったんだけど、この避難所はずっと過ごすには危ないと思うんだ。だからせっかく入れた避難所だけど、二人とも僕と一緒にここを出て他の避難所を探さない? 僕としては警察か自衛隊が運営する避難所がいいと思うんだ。どうかな?」


「そうですね、出来れば僕もそれが良いと思います。またお願い出来ますか?」

「うん! ひさとお兄ちゃんと一緒にいたい!」


「分かった。なら明日、朝食後に一緒に出てとりあえず北に向かおう」


僕達は明日ここを出て行く事で合意する。


それから今回の調達作戦で犠牲者が出たからか、近くの高校生が多い部屋からは、すすり泣く声が聞こえてきた。





ーーーーー





次の日、朝食後に出て行く準備をした僕達は、区画を掃除して借りていた毛布を綺麗に折り畳んだ。


立つ鳥跡を濁さずだ。

だが僕達が居住区を出ようとした時、話したくない人から声が掛かった。


「何処か行くの? ひー君凄く逞しく、強くなったよね、背も伸びて……」


僕は二人にゼスチャーで少し待つように伝える。

そして話し掛けてきた真理、幼馴染だった真理に向き合った。


「僕が何処に行こうが、君には関係ないはずだよ」


「でも私……達也君……東堂君が死んで私は一人になっちゃったんだよ……」


「そうか。でもそんな事僕には無関係だ。もしかして君の中ではあの時の事は無かった事になってる?」


「うっうっ……心から謝ってももう無理なの? あの時私、東堂君に無理やり手を引っ張られて……ひー君の食糧が入ったバッグだって、奪うとは思わなくて……」


真理が僕の冷たい態度に泣きながら言い訳をしてくる。

でも、それが嘘だという事はすぐに分かる。


あの時の事は目に焼き付いているんだ。

真理は少しだけ申し訳なさそうにしていただけで、絶対に自分の意志で達也に着いていったはずだ。


「今更どうでも良い事だよ。でも一つだけ、僕のバッグはどうしたの?」


「……東堂君が食糧を抜いて、何処かに捨てちゃったと思う……」


「そうか……まあ頑張りなよ。幼馴染を見捨ててまで守った命だ、大事にすれば良い。今の状況は……因果応報という感じじゃないかな。あの時は言う暇も無かったけど、さようならと言っておくよ。もう会うことも無いだろうし。じゃあね!」


「ま、待って! ひー君! わ、私も連れて行って!」


真理が何か言っているがもう聞く気はない。

あの時、もう幼馴染としての縁は切れているんだ。


僕は後ろを振り返らずに歩いてゆくのだった。

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