第37話 調達作戦と出発
翌日、朝食を食べ終わった僕はリーダーから集合を受けた。
室内には約30人ほどの人が集められていた。
そしてリーダーから明日の早朝に物資調達作戦を実施すると告げられた。
そのまま作戦の概要も説明される。
要約すると現地までは警戒して進み、まずは足の速い高校生が駐車場の感染者を外に釣り出す。
次に残った釣出班がスーパー内の感染者を釣り出し、一部の戦闘班で感染者に対応しているうちに物資の運搬班が搬出を行なう。
搬出には護衛に戦闘班を一部あてる。
それぞれが呼ばれて決まってゆくが、僕は護衛をしない戦闘班に割り当てられた。
そういう約束だったからそれは良い。
この作戦には男子高校生も組み入れられているようで、足の速い者は釣出班、力の強い者は戦闘班、それ以外は運搬班となるようだ。
達也は釣出搬、昨日の体格の良い男子は護衛の戦闘班、他の男子は運搬班となったみたいだ。
今日はゆっくりして良いとの事だったので、僕は光司君と美久ちゃんとゆったりとした一日を過ごした。
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次の日の朝になり、僕はバールの素振りをして軽い朝食もとった。
もうすぐ物資調達作戦の集合の時間だ。
「じゃあ二人とも、僕は物資の調達に行ってくるね」
「冴賢さん、気を付けて下さいね……」
「ひさとお兄ちゃん……絶対無事に帰ってきてね!」
二人とも僕が外に出てしまうので凄く不安そうだ。
もしかしたらご両親も同じ様な亡くなり方だったのかも知れない。
「大丈夫、僕はそう簡単にはやられないさ」
僕は美久ちゃんの頭を優しく撫で、二人に微笑みながらそう言うと集合場所に歩いていった。
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僕は時間通りに集合場所に着いた。
人員はもう皆集まっているようだ。
皆、ピリピリしたような空気だ。
僕は全体的なその空気とは別に周囲から不穏な視線を感じた。
高校生の一団からだ。
もしかしたらこの調達作戦中に何か仕掛けて来るのかも知れない。
でもまあその時はその時だ。
リーダーの合図で僕達は全員外に出て移動を開始した。
入口のすぐ先に感染者が3体ほどやって来たけど、僕が高速で近づいて念力を纏わせたバールで感染者を3体とも一撃で倒す。
周囲からどよめきが巻き起こる。
「おおお! 凄え!」
「兄ちゃん凄え強えな! こりゃあ頼もしいぜ!」
「この人がいりゃあ、うまく行きそうだ!」
「!……」
高校生達は瞬く間に感染者を倒した僕の活躍を見て驚愕しているようだ。
次いで凄く不安そうに一部の者の様子を伺っている。
分かる、分かるよ、不安なんだろうと思う。
今の僕の強さは本気でも何でもないけど普通の人から見たら尋常じゃない強さだ。
その僕に何かしたら反撃されるかもどうしよう、という不安でしょ?
僕には分かるよ。
何しろ君達高校生は、サーチで全員が黄色なんだから……




