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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
二章 家族を探して
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第34話 兄妹の受け入れ先

その後、時間が惜しい僕は二人を連れて移動を開始した。

美久ちゃんはまだ歩かせない方が良いので、僕がおぶって移動する。


「光司君、止まって! この先に感染者の群れがいる。このままだと突っ込む形になっちゃうんで少しここで隠れて待っていて」


「はい。でも良く分かりますね」

「何となくだけどね」


サーチの事を話す訳にはいかないので適当にお茶を濁して答え、僕は美久ちゃんを一旦下に降ろす。

そのまま行こうとすると美久ちゃんが僕の腕を掴んだ。


「大丈夫。すぐ戻るよ」


僕は優しく美久ちゃんの手を解くと、少し先の感染者の群れに向けて走り出す。

サーチで見た感じでこの群れを過ぎた先に、多数の生存者の反応がある。

上手く行けば二人を受け入れてもらえるかもしれない。


僕は青白い念力(サイコキネシス)を纏って20体近い感染者の群れに突っ込んでいった。





ーーーーー





「ここはもう満員でね。しかも働けない子供の受け入れは無理なんだ。悪いけど他を当たって欲しい」


バールを握って美久ちゃんを背負った僕たちに、2階からの答えが帰って来た。

ここはどうやら市役所の避難所の様だが、新規の避難者の受け入れは無理そうだ。


「分かりました。他を当たります」

「「……」」


二人とも返答を聞いているので少し気落ちした様子だ。

こんな世の中になってしまったからには、働く事が出来ない子供はお荷物でしか無いんだろう。


でも皆、命が掛かっているんだ。

一概にさっきの役所の人の対応が悪いとも言えない。


「大丈夫。他の避難所を探そう」


僕は二人を安心させるように微笑んで見せた。

そしてまた北を目指して移動する。


美久ちゃんは僕が背負うから良いとして、光司君の足に合わせて移動しなければならない。

今日はそう遠くまでは行けないだろう。





ーーーーー





夜になり、僕たちは空きビルの一室で休む事にした。

複数の部屋があるので一室は兄妹で、僕は別の部屋だ。

僕はアイテムボックスから福神漬、あらかじめ大鍋で作っておいたカレーと大量に炊いてあるご飯をよそい、トレーに載せて兄妹に差し出した。


「はい。夕食は大盛りカレーだよ。中辛は美久ちゃんには少し辛いかも知れないから、この甘い福神漬を一緒に食べてね」


「うわあ! カレーだ!」

「うん。凄いね! カレーなんて久しぶりです」


兄妹は大喜びでカレーを頬張っている。


「じゃあ水も置いておくから。ゆっくり食べて。食器は後で回収にくるよ」


僕はそう言うと自分用に割り当てた部屋に入り、カレーを食べる。

食べ終わったら日課にしている超能力の訓練だ。

最近は毎日の様に筋トレとバールの素振り、超能力の訓練をしている。


そのお陰かさらに筋肉量も増えて、体型も細マッチョになっている。

栄養もたくさんとっているのでまた少し背も伸びている感じもした。


座った状態で目を瞑って身体中に超能力を巡らせる。

より速く、より強くを意識する。


また、一瞬だけ念力(サイコキネシス)を纏う訓練も行う。

超能力をずっと纏い続けると疲労してくるし、青白く光るのでかなり目立つ。

瞬間的に纏うことが出来れば、光っても一瞬なので気付かれる事も無いだろう。


僕は寝る直前まで訓練を続けるのだった。





ーーーーー





朝になり、僕はフライパンに油を引いてカセットガスコンロで熱し、ハムと卵を入れてハムエッグを作った。

大鍋で大量に作ってある豆腐と油あげの味噌汁も出す。


「ふたりともおはよう。朝ごはんだよ!」


僕はトレーに載せたハムエッグ定食をご飯や味噌汁と共に配膳する。


「わあ! ハムエッグだ! お味噌汁も!」

「えっ! 卵なんかどうしたんですか?」


「大丈夫、新鮮な卵だよ。少し前に養鶏場で手にいれておいたんだよ。朝食は大事だからしっかり食べてね」


「そうなんですか。ありがとうございます!」

「美味しそう!」


ふたりとも味噌汁を飲むのも卵を食べるのも久しぶりらしく、凄く喜んで食べた。

さあ朝食を食べたらまた避難所巡りだ!

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