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第30話 自分のために

まさか純一さんと桑田さんがそういう関係だったとは……

同学年の幼馴染は彼氏じゃないと言っていたけど兄が本命だったのかな?

とりあえず邪魔はしないように回れ右して避難者の居住区画まで戻った。


僕は少しだけ桑田さんに裏切られた様な気分になっていた。

これまで命懸けで佐々岡さんや桑田さんを護ってきた。

桑田さんとは少し良い雰囲気だと思っていたのは僕だけだったのか……


だけど僕達はただの高校のクラスメイトであってそれ以上の関係じゃない。

一体何を期待していたんだろう僕は。

幼馴染の真理にだって簡単に裏切られたじゃないか!


ふう、落ち着け僕。

桑田さんは悪くない、僕が勝手に期待していただけだ。

思えば真理もそんな感じだったのかも知れない。

きっといつも空回りしてる僕が悪いんだろう。


でも桑田さんに学校の体育館で助けられた借りは、自宅まで付き合って弟さんを探してここまで送り届けた事で返せたはずだ。


もう良いだろう。

僕は、そろそろ自分のためだけに行動しようと決心した。

僕だって家族に会いたいし心配なんだ。

それに僕一人ならもっと高速で移動できるしアイテムボックスも使い放題だ。


ここから僕の自宅がある横浜まではかなり遠い。

移動を朝までの待つのも時間が勿体ないし今から出発してしまおう。

桑田さんにお別れの挨拶は無しになってしまうけど、弟さんとも会えた事だし別に良いよね……


僕はそう決めると警察の人に無理を言ってハシゴを出してもらい、警察署を出た。

そして自宅を目指してサーチを使いながら全力で走ってゆくのだった。





ーーーーー





それから僕はひたすら走り続けた。

感染者がいてもお構いなしに横を突っ切ってゆく。


白蛇さんが上げてくれた身体能力は凄い。

今はリュックもアイテムボックスにしまっているから最大限の速度を出せる。

感染者達はトップスピードの僕に全く反応が出来ていない。


早く家に帰るんだ。

家族に会いたい。


白蛇さんに貰った能力があれば僕はきっと家族の役に立てる。

アイテムボックスの物資があれば何年も家にこもる事だって出来るだろう。

家族を助けてあげたい。


パパ、ママ、玲奈、待っていて。





ーーーーー





次の日の明け方頃、夜通し走った僕は横浜の手前まで来ていた。

一旦、感染者のいない建物の中で食事休憩をする事にした。

運動し過ぎてお腹がペコペコなんだ。


僕はアイテムボックスからスポーツドリンクを出して水分を補給しつつ、カセットガスコンロ、焼肉用プレート、和牛の焼肉セット、定番の焼肉のタレを取り出して一人焼肉を味わった。


「うまっ!」


思わず某グルメ番組の様に叫んでしまった。


久々に食べる焼肉は高級な肉なせいもあるかもしれないが、超超超美味しい!

一口一口で身体に栄養が染み渡るような感じがした。

煙が凄いけど窓を開けてしまえば大丈夫だ。

感染者が匂いに敏感だったらヤバいけど、サーチで警戒してるし最悪は走れば逃げ切れる。


アイテムボックスには何でも食材が揃っているので、色々使って見たかったけど今までは同行者に説明が出来ないんでずっと我慢してたんだ。

桑田さんには悪いけど離れたお陰でこれを味わえたと考えると、結果的には良かったのかも知れない。


再会したら僕の家族には隠す必要がないからお腹いっぱい食べさせてあげたい。

色々あってへこんでいたけど、こんなに美味しい物を食べることが出来て、また白蛇さんへの感謝で一杯になった。


満足した食事の後、片付けとトイレを済ませた僕は自宅を目指して移動を開始するのだった。

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