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第26話 自然感染の恐怖

結局僕は反対する桑田さんの前で殺人をするのをためらってしまった。

僕自身も進んで人を殺したくないというのもあった。


でもさすがにそのまま解放という訳にはいかないので、リュックから出すと見せ掛けてアイテムボックスから取り出したロープで、生き残っている4人の手足を縛ってて拘束した。


拘束から抜け出すのに時間がかなり掛かるだろう。

そこまで厳重に拘束していないけど解けた頃には僕達は遠くに行っているはずだ。


念のため男達の持っていた鉄パイプやナイフは、再利用されないよう密かにアイテムボックスに全て回収しておく。


そして僕達がそのまま出発しようとすると、リーダーの男が叫びだした。


「ま、待ってくれ! そいつらをそのままにしないでくれ!」


リーダーの男が死んだ仲間にアゴを振って必死に話した。


「え! 君たちの為にわざわざ埋葬なんてしてる暇は無いよ? 拘束が解けたら自分達でやって」


「違うんだ! 死んだ奴は時間が立つとゾンビになっちまう! 俺達が襲われちまうんだよ!」

「!」


そうだ! 僕は大切な事を忘れていた。


ウィルスに感染した者に噛まれて負傷したり死んだりすると、同じ様に感染者となってしまう事は確実だけど、それ以外の死因で死んだ場合にはどうなるのか?


映画だと殺人を含めた自然死はウィルス感染しないケースと、なぜか感染するケースの両方がある。

ただ、それを検証するためにはウィルスとは関係の無い死亡例が必要だ。


この男達が後者のケースである事を断定している事実。

それを知っているという事は自分達の手で誰かを殺したからという事なんだろう。

僕はこの事実を頭に留めておく事にする。


「自然死でも感染者になるって事か……最悪だね」

「どういう事?」


桑田さんが話に着いてこれずに聞いてくる。


「たぶんコイツらは人を殺した事があって、感染者に接触せずに死んだ人でもゾンビ化する事を知っているんだと思う。詳しくは分わからないけど、大気とか地面とかの全地球規模でウィルスに侵されているのかも……」


「そんな……」


どのような死因であっても死んだら必ず感染者となる。

この事実は結構重い。

なぜなら感染者を完全に隔離した状況であっても、いつ他の死因で死んだ後の感染者に内部から襲われるか分からないからだ。


とりあえずそのままにしておくのも間接的な殺人になるので、死亡した2人も縛った上で引きずって別室に放置する。


そして男達には声を掛けずに出発した。

まだ夜だけど少なくとも2、3kmは離れて休む事にしよう。





ーーーーー





「荒井君……起きてる?」


「……うん」


あれから僕達は危険だけど夜間の移動を行い、男達のところから数キロ離れた空き家を借りて休んでいた。

もちろん明かりはつけていない。


「私達どうなっちゃうんだろうね……これから……」

「えっと、僕にもどうなるか分からないけど……」


「そうだよね……ごめんね。こんな話しして」

「ううん。でも、一つ言えるのは、命がある事に感謝して皆で力を合わせて頑張って生きてゆくしかないんだと思う」


「うん、そうだね。そうだよね! ありがとう、お休みなさい」

「うん。お休みなさい」


僕は、僕達は生き残った人間同士、助け合って生きてゆくしかないんだ。


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