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第24話 次の目的地と夜襲

僕達は次の目的地である桑田さんの家に向かう。

既にスマホの地図アプリでこの辺りからの移動経路は確認済みだ。


なるべく大通り沿いは避けて、比較的に感染者の少ない住宅街を進んだ。



僕は佐々岡さん一家と出会って、ずっと使い続けていたサーチを使い慣れたのかそれとも使い方が分かってきたのか、いくつか認識が増えている事が分かった。


大人と子供の違い。

佐々岡さんの弟である秀彦君の反応は、親御さん達と比べて小さかった。

年齢なのか体の大きさを表しているだけなのか分からないけど、違いがある様子だ。


あと男女の違い。

佐々岡さんと母、父親と弟を比べると、反応が何となくだが女性と男性で異なるのが分かった。

もっと慣れればはっきりと分かるのかも知れない。


それに以前より明らかに広範囲をサーチ出来るようになっていた。

前は学校の周囲100mぐらいだったけど今はおよそ200mぐらいは分かる。


この能力だけでも充分にチートと言えるだろう。

改めて僕に不思議な力をくれた白蛇さんには感謝したい。





ーーーーー





僕達は夕方になって住宅街の空き家に入らせてもらって休み、暗くなってから朝作った残りのおにぎりを食べた。

電気は止まっているので大き目のLEDランタンで室内を照らす。


この辺りも感染者はあまりおらず、いくつかの家に生存者が少しだけいる様だ。

サーチ出来る範囲内には数人程度しかいないため、特に問題無いだろうと思う。



「桑田さん。疲れているみたいだから食べたら直ぐに休んでね。明日も相当歩く事になると思うよ」


「ありがとう。でもお風呂に入れないから、少し身体を拭きたいわね……」


「それもそうだね。じゃあ温めのお湯を沸かすから、タオルはこれを使って。新品だから!」


僕は桑田さんにアイテムボックスから取り出したハンドタオルを渡した。


「あ、ありがと……」


桑田さんは少し顔を赤くして受けとってくれる。


僕はこの家にあった鍋で湯を沸騰しない程度に沸かして桑田さんに渡す。

そして一旦部屋を出た。





ーーーーー





僕も身体を拭きたいけど、桑田さんは女子だからきっと長く掛かるだろう。

家にいる時、ママや妹の玲奈も身支度には大分時間が掛かっていたはずだ。


そんな事を考えていると、疲れている為か眠気が襲ってくる……

少しだけ寝ても良いだろうか……




(ガシャン! バキッ! パリン! ガラッ!!)


「キャーッ!!」


何事だ!

僕は慌ててサーチを確認しながらバールを手にして桑田さんの方に向かう。

青い点が6つ、桑田さんが身体を拭いている部屋に侵入してる!


僕が慌ててドアを開けると、上半身が下着だけの桑田さんが金髪の若い男に羽交い締めにされていた。


襲撃者だ! くそっ! LEDランタンの明かりでここに居る事が外から見えてしまっていたんだ!

ゾンビマニアのパパに、夜は明かりに気を付けろと言われていたのに。

やはり感染者より怖いのは悪意のある人間だ。


「桑田さん!」

「荒井君、逃げて!」


「おっともう一人いたのか、けっ男かよ! 他に女はいないのか?」


桑田さんを拘束している男とは別のリーダーらしき男が、鉄パイプを肩に担いで首を曲げて面倒くさそうに質問してくる。


「僕たち二人だけです! 僕たちは家に帰る途中なんです! か、彼女を離して下さい!」


僕の膝は恐怖でガクガクと揺れている。

他の男達は各々がバットやナイフを持って、そんな僕を見てニヤニヤしている。

コイツらもいつの間にか黄色いから僕には敵対的だ。

どうしよう……


「ハハハッ! 駄目だな。お前を殺して女はもらう!」

「今回は俺が殺していいですか?」


「いいだろう! 女じゃなければ好きにしな」


「あ、いいなあ、お前」

「ほんとほんと」

「俺は前回もらったからな〜」


やはり逃してはくれないようだ。

僕を殺すと言っている。


言動から察するに他にも余罪がかなりありそうだった。

裁判所があれば、コイツらは絶対に有罪なのに……


ここで死んだら白蛇さんの期待にも応えられない。

今更になって明かりの事が悔やまれる……

えっ、明かり!

そうだ!


また僕はこれはゲームだと自分に言い聞かせる。

集中だ! 集中しろ!

そう考えると膝や全身の震えが止まり頭も冷静になって思考もクリアになる。

そして今回はまだ目を瞑らないで、LEDランタンをじっと見つめる。



「はあっ!」


(ガッ! ガシャッ!)


僕は机の上のLEDランタンに向けて力一杯バールを振り切った。



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