表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
最終章 新たなる世界へ
217/220

第209話 小さな世界

僕は明日奈さんや光司くんたちに勝利を告げ、野球場に戻ってもらった。


拠点は爆破もあって相当滅茶苦茶になってしまったけど、一度皆で集まった方が良いと思ったからだ。


そこでサイコ部隊や守備隊の負った傷を超能力で治療し、改めて僕たち全員の勝利を告げた。


最後の戦いに、死んだはずのパパや武田さん旧守備隊の人たちも助けに来てくれた事も話す。


光司くんたちも野球場に設置したカメラでリアルタイムで戦いを見ていたそうだけど、不思議な事にカメラには映っていなかったみたいで、それを聞いてママや武田のおばさん、旧守備隊の家族の人たちは号泣したのだった。





-----





その後、白蛇さんとナナッシーさんの声だけが聞こえ、神々から僕たちへのお礼と謝罪として、太平洋上に汚染されていない巨大な島を用意してくれたんだ。


神々曰く、小さな世界という事だ。


ゾンビウィルスも無効で土の栄養も凄く豊かな土地らしい。

もちろん感染者や変異体も絶対に入って来れないとの事。


一定の範囲内しか移動できないらしいから、ある程度の漁とかは出来るけど地球一周などはもう無理みたい。


その島にはありとあらゆる資源、動物がいて、植物もあり、大きさは北海道ほどで山や川もあり、日本の様に四季もちゃんとあるという事だ。

島だけど、まるで伝え聞くノアの方舟みたいだ。


都市部にはマンションや一戸建てなどの住宅、道路や信号、学校、店舗、田畑などもあらかじめ用意されており、郊外には今の科学水準にある様々な施設も用意されていた。


電気と水道は何か所か用意されている場所から永久に無尽蔵に供給されるらしいのでエネルギー問題は無いし、恐らく環境汚染も発生しないだろう。


この小さな世界は、まるで小さな日本の様だ。


そこで僕たち生き残った人間は、千年の時を生きる事が許されたんだ。





-----





僕はまず新しい街の中心に立派な慰霊碑を建てた。


メインはパパたち守備隊の皆さんだけど、日本全体と世界の人々への慰霊碑でもある。


全員で今回犠牲になった人々、全世界の犠牲者に祈りを捧げた。


それから初日は全員で豪華な祝勝会を行ない、各自好きな場所に住む事にした。

基本的には佐渡ヶ島の野球場と同じ割り振りになった感じだ。


その後、僕達は数日間掛けて皆で今後の体制を決めていった。


まずはこれからの政治体制の話だ。

もちろん僕が力を持っているからと言って、独裁体制や王制にする気はない。


皆で話し合って決まった事として、市民の代表を選んで合議制とする事とした。

人数は都度調整してゆくけど、初回はとりあえず10人とした。


そして《次の選挙のための政治》をさせない為に、代表期間を10年間と少し長くする代わりに、再選は絶対に出来ない様にする。


パパが良く言っていたのは《権力は腐敗する》という事だ。

どんなに志がある人でも長い間権力を持っていると、それを自分の力だと勘違いして私物化する様になってしまう。


もちろん僕は不正をする気は無いし、今いる人も多分そうだけど僕たちはいつか死んでしまうので、人が入れ替わった時の事は考えておかなければならないだろう。


10年はぎりぎりといった感じだけど再選が無いので、ある程度は政治の腐敗を防げると考えたんだ。


もちろん官僚組織なんか作らない。

それこそ権力の腐敗の最たる物だからだ。


良くパパが言っていたけど、省庁、特に日本の財務省なんかは日本全体の事ではなく自分の出世や省益のみを優先し、必要の無い緊縮財政や悪名高い消費税などの増税を強いて何十年も経済を停滞させ、散々日本国民を苦しめていたらしい。


選挙で選ばれない特定の組織が強大な権力を持っていたという事だ。

このような腐敗する仕組みは、新しい世界では真っ先に切り捨てるべきものだと思う。


……


次に貨幣の問題だ。


これは思い切って発行はしない事とした。


つまり全てが無料だし何をしても無利益だという事だ。

これで貧富の差などは全く生まれなくなるだろう。


これだと労働意欲が失わるなどの意見もあったけど、それは教育で何とかしようという事になった。


僕たちが与えられた期間は千年という限定された期間だ。

その期間内、長く生きても100年という中で富を貯め込んで一体なんの意味があるだろうか。


僕たちはホワイトフィートの理念として「共生」を掲げた。

今までとは異なる社会、理想の社会とするために掲げる理念だ。


その為に《みんなで力を合わせて生きてゆく》という事を教育として教えて実践してゆく。


旧世界の《今だけ、金だけ、自分だけ》と新自由主義に侵されていた思想とは真逆の理念だ。


自分の為だけに生きるのではなく家族、仲間、社会の為にだ。


そうでないと僕たちが生き残った意味が無いだろうと思う。





-----





そして一か月後、初回の選挙で議員になった人は僕と明日奈さん、ママ、平坂家母、小谷静香さん、遠藤雄二さん、明人くん、新潟グループの青柳さん他二名だ。


議員になったとしても各自の仕事が全てなくなる訳ではない。


小谷静香さんは変わらず食堂や集約店舗の経営に携わってもらい、明日奈さんや遠藤雄二さんは教育にも従事してもらう。


平坂家母も各種の習い事の先生として日本の伝統を伝えてくれるらしいし、僕のママは莉子さんと一緒に今後産まれてくる子供たちの為に新しく保育園を創るらしい。


僕も何でも屋みたいな感じで住宅のリフォームや家電の配置、各種の相談事など大忙しだ。


リフォームなどは本来の神器の使い道では無いかも知れないけど、こういう忙しさは大歓迎だ。

アイジスも張り切ってくれているみたいだ。


僕たちはここで、この新しいホワイトフォートで理想の社会を築き、正しく人間として生きてゆこうと思う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 土地が1000年であって寿命はそのままなんですねぇ 人間に足りないのは学ぶ時間だと思ってるから良き 後継者を育てそれをつないで見極め反省もするのは大変なままかぁ
[気になる点] 終わりが近づいてる感あるね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ