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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
最終章 新たなる世界へ
214/220

第206話 決戦2

(平坂綾音)


私と茜は前回と同じく高校生二体のジェネラルと対峙した。


ポツポツとグラウンドに入って来る変異体を蹴散らしながら、それぞれ前と同じ相手に近づいてゆく。


最初に戦闘状態に入ったのは茜だ。

相手の高校生は手足をタコのように伸ばして茜に迫ってゆく。


「茜!」

「大丈夫、こいつは私が絶対倒すわ!」


私は茜に頷いて自分の相手に集中し、刀を正眼に構える。

例の硬質化して斬撃が通らない個体だ。


そして突撃してくるジェネラルを躱しざま、前の様に斬撃を叩き入れた。


「はっ!」

(キン!)


やはり皮膚が高質化しており、前回と同じ様に通常の斬撃は通らないようだ。

だがそれでいい。


時折、口から酸のような物を吐きだしてくるけど、修行で身体強化が上がり、前回の戦いで予備動作まで掴んでいる私には当たらない。


私はサイコブレード(刀)を腰に構え、目を瞑って心に相手を思い描いてゆく。

平坂心刀流の秘伝書にあった奥義だ。


心眼で相手を見切り神速で斬る奥義。

抜刀術の進化系の奥義だ。


相手を切り裂くイメージを思い浮かべる。

冴賢殿の話ではサイコ武器はイメージや想いで強くなるらしい。


冴賢殿に動く鉄人形を(こしら)えてもらい、実際に斬る事で鍛えた技だ。

この半年間で一体、何体の鋼鉄の人形を斬ったことか。


相手は自分の防御力を理解しているからか、無防備に近づいてくる。

と、私のイメージと相手の動作が重なる。


「平坂心刀流奥義、無明神速斬(むみょうしんそくざん)!」

(シュバッ!)


鞘は無いが抜刀の加速と同時に自分自身も全身で加速して相手を斬る。

以前とは違って確かな手ごたえだ。


目を開けるとジェネラルの上半身と下半身がゆっくりと離れてゆく。

返す刀で驚いた顔で固まっている頭部を切断する。


相手は黒いチリになって消えていった。





-----


(平坂茜)



私の方に前回と同じタコの様なジェネラルがやって来る。


「茜!」


心配したお姉に声を掛けられた。

前回、手足を鞭の様にしならせてくる動きに翻弄されてしまったからだ。


「大丈夫、こいつは私が絶対倒すわ!」


こいつは今度こそ私が倒す。


斬撃が効かないのではなく、私が未熟だったから斬れなかっただけだ。

父様の武術、平坂心刀流が通じなかった訳ではない。


その為に、この半年ずっと薙刀術に磨きを掛けて来たんだ。


何回か手足を伸ばして鞭のような攻撃を仕掛けてくるのを、サイコブレード(薙刀)でいなしながら近づいてゆく。


何度目かの相手の攻撃後、隙を見てお姉に伝授してもらった歩行法で相手の懐に入った。


「平坂心刀流、円斬(えんざん)の舞!」


薙刀のリーチで球状に展開する斬撃の嵐が、ジェネラルの手足を斬り裂いてゆく。

目標を絞らない圧倒的な量の斬撃。


これならクネクネしていても逃げ場はない。

たまらず逃げ出した相手に新たに習得した技を放つ。


「平坂心刀流、捻刺突(ねんしとつ)!」


サイコブレード(薙刀)で放つドリルの様に回転した刺突攻撃が、相手の頭部に風穴を開ける。


倒れた相手は黒いチリとなって消えていった。

お姉も敵を倒した様だ。


私たちの勝ちよ!





-----


(荒井冴賢)



達也と何度か斬り合っていた僕は一旦空中に逃れた。

手の届かない上空からサイコバレットの嵐をお見舞いしてやろうと思ったからだ。


「甘いんだよっ!」

「何っ!」


だが達也が思いがけず空中に飛び上がってきて追撃してくる。

空は飛べなかったはずなのに、いつの間に!


「殺ったあっ!」


達也は態勢が崩れた僕を黒い爪で切り裂いたと思ったみたいだけど、僕の身体がブレて瞬時に達也から10m以上離れたところに現れる。


「何だ今のは! 絶対殺せた間合いだったぞ!」


短距離瞬間移動(ショートジャンプ)だよ。神器を装備した僕は10mの範囲内ならいつでも瞬時に移動できるんだ。こんな風にね!」


(ザシュ!)


僕は達也の目の前に移動し、達也の左腕を斬り飛ばした。


「ぐあああっ! て、てめえ!!」


達也は直ぐに腕を拾って繋げようとした。

だけど、何回ぐりぐりやってもつながらないみたいだ。


「な、なんで俺様の腕がつかねえ! なんで再生しねえんだ!」


「無駄だよ。神気を纏って斬った傷は再生不能状態になるんだ」


「な、何い!」


ショックを受けている達也。

そのチャンスを逃さず、達也の右腕も切断する。


(ザシュッ!)

「があっ!」


「終わりだ、達也! 僕はここでお前を倒し、この世界を取り戻す!」


「ぐ! ち、畜生……この俺様があああああっ!」


そして僕が達也にとどめを刺そうと動こうとした時、達也の前に黒い塊が現れた。

それは煙のようだったけど、だんだんと人型に変化してゆく。


「もうこやつだけでは無理だろう」

「うむ。我らも心を決めようではないか」

「死なばもろとも、なのである」


とうとう三柱の邪神が、その姿を現したのだった。


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