第203話 日本へ
あれから俺達は世界中を回って日本を除く国々を滅ぼしていった。
俺様はアメリカへ、手下のジェネラルと呼んでいる特殊な者たちは他の地域へ行って暴れまわっている。
……
「んなモン俺様に効くかっ! 死ねえ!」
「うあ! 何だこいつ!(英語)」
「ひいっ!(英語)」
「た、助けくれ! ぎゃあああ!(英語)」
……
次々と人間どもの基地や集落など個別に生き残っている奴らを襲い、ゾンビ化させてまた次の標的を捉える。
生き残った人間どもの場所は、時折気まぐれに現れる邪悪な神々が位置や方向を教えてくれるから、ある時は空を飛び、ある時は地上から襲い掛かりと次々と滅ぼしていった。
だが人間ども、特にアメリカ、ロシア、中国は人口も多くて相当にしぶとく、全て滅ぼすのに数か月も掛かっちまったんだ。
……
この騒動、ゾンビウィルスで人間どもの世界が滅亡に瀕している状況は、こことは違う別の世界、異世界から来たという邪悪な神々のせいだった。
そいつら自身が俺に語ったんだから事実なんだろう。
何やら地球の神に恨みがあるとか復讐だとか言ってたが、既にゾンビどもを統べる王、魔王として覚醒した俺にはそんなもん関係ねえ。
俺の望みは俺を殺した冴賢を殺し、俺に靡かなかった真理も殺し、この世の全てを滅ぼす事だ。
この世界の魂を全て喰い尽くしてやるぜ!
俺様や手下どもに殺された人間の魂は俺に吸収され、俺様の糧となる。
ゾンビ化した奴らの魂を俺様が吸収して強くなるんだ。
今では身体から吹き上がる黒い闘気も相当なモンだ。
ゾンビになると俺様の手下とも言える眷属にすることが出来る。
ゾンビ共は知能が低くて言葉は理解出来ず俺に着いてくる事しか出来ねえが、何万、何十万、何百万もの大群になれば、それは大きな力となって人間どもを滅ぼす波になるんだ。
ゾンビどもが人間を食らう事で極稀に生まれてくる特殊なゾンビ、俺はマンイーターと呼んでいるが、そいつらは大小様々な姿で特殊な力を持ち、俺の言う事が理解出来るようで、ただのゾンビとは違って俺様の手足となって動く。
ジェネラルと呼んでいる特殊な四体は更に強く、あの冴賢の仲間達も不思議な力を宿していたが、俺様の手下の方が全然強かったはずだ。
もうすでに日本での数十倍は魂を喰って、俺は更に強くなっている。
あの時冴賢たちを逃がしちまって、俺様たちが白い蛇に僻地に飛ばされた時から数倍は強くなっているぜ!
……
そろそろ日本に戻ろうと思うが、ゾンビ共を全部日本に集めると相当の時間が掛かっちまうだろうし、実質的に無理がある。
俺は思念で認識を共有できるマンイーターとジェネラルに日本に集合するように指示する。
ジェネラルは変わらず四体だが、マンイーターは世界中で増え続け、もう数千体はいるだろう。
物凄い戦力だぜ。
この力で必ず冴賢たちを殺してやる!
日本に戻り、まずは冴賢以外に生き残っている奴らを全滅させ、最後に美味しくいただいてやる。
そして真理、あの売女め!
俺と付き合う事を拒否しやがったばかりか、せっかく昔のよしみで人間のまま生かしてやろうと思ったのに再会した俺様に悪態を吐く始末だ。
あの時、冴賢を見捨てた時は拒否しなかったくせに、今頃になって後悔してるとか言い出しやがって!
まあいい。
あいつはただのオマケ、俺様の目的は冴賢だ。
もうすぐ日本に着く。
冴賢っ! 今度こそ逃がさねえ!
お前も、真理も、家族も、仲間も、全てを滅ぼしてやるぜ!




