第200話 野球場の拠点化2
僕は元自衛官の佐々木さん一条さんの意見を中心に、防衛施設や方法について皆と相談し、必要と思われる措置を実現していった。
「敵がここに辿り着く前にある程度数を減らしたいわね」
佐々木さんの意見だ。
達也や変異体と直接対峙するのは僕とサイコ部隊だとしても、敵の数は減らした方が良いし援護は必要だろうという意見だ。
そして検討した結果、まずは防御用として外壁沿いに機関銃を数十台取り付ける事になった。
普通の銃では効かないだろうという事で大口径の重機関銃を使用する。
ゾンビ系には僕の神気が特攻ともいえる威力を発揮するとのアイジスからの提案で、使う銃弾にはあらかじめ僕の神気でコーティングしておき、変異体への攻撃力を最大化させておくつもりだ。
小学校の時の様にいきなり内部に侵入された場合は意味が無くなってしまうけど、あの時とは違って今やアイジスのサーチ能力は半径20kmにも達しているので、十分に防衛体制を整える事が可能だと思う。
機関銃は新たに守備隊に入隊した人で運用してもらう想定だ。
極力人命を優先した作りで周りを強化プラスチックで完全にカプセル化し、緊急脱出ボタンを押すと台座が地下まで落ちてそのまま安全なところまで脱出出来るようにする。
次に、非常時に非戦闘員を速やかに逃がせるよう居住用の建物の各階に緊急脱出用の出口を用意しておく。
避難用すべり台みたいに飛び込めば怪我をせずに地下まで辿り着く。
そこからは地下道に用意した車でピストン輸送を行うつもりだ。
避難者は島の端の地下にある一時避難施設に誘導、最悪はそこから用意してある大型客船で島から速やかに脱出してもらう事を想定した。
大型客船にも充分な物資を積んでおく。
これらは脱出路を作ったり、船を運用したりとか時間が掛かりそうなので、他の準備をしつつ実現しようと思っている。
達也たちと激しい戦闘になった場合はどちらにしろ拠点はただでは済まないだろう。
非戦闘員を速やかに逃がす事が出来れば、こちらも拠点へのダメージを考えずに戦闘が可能になるので、最悪は拠点ごと爆破などをしても良いのかもしれない。
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野球場への仕掛けだけど、夜間戦闘用に照明を増やしておくのとカメラを色んな所に仕掛け、非戦闘員の避難施設でも皆が大スクリーンでリアルタイムで状況を見られるようにしておくつもりだ。
光司君のアイデアで、そのカメラの一部を経由して遠隔で対物ライフルなどを発射し、援護出来る仕組みを構築する構想も出た。
これを実現してシューティングゲームが得意な人に、遠隔で援護してもらうのも良いかもしれない。
それといざという時の為、煙幕を出せる仕掛けも作っておく。
これは僕のアドバンテージであるサーチ能力を生かすためだ。
達也にはアイジスにあるようなサーチ能力は無いはずなので、緊急時は小学校の時のように煙幕により視覚を塞ぎ、時間を稼ぐことが出来るだろう。
そして野球場の中央地下に巨大な穴を開け、隠したその下に相当量の爆薬を仕掛けておく。
ここにうまく誘導して落とし、爆破する事ができれば相当なダメージを負わせる事が出来るはずだ。
爆薬にも事前に神気を帯びさせておき、直撃させる事が出来れば止めにも使えるかも知れない。
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野球場の端に銃の訓練施設も作成する。
そこで新たな守備隊の訓練や、今後も何が起こるか分からないので銃を扱えない人に一から銃の訓練を行えるようにした。
守備隊の人選と訓練は元自衛官の佐々木さんと一条さんの二人に一任してある。
ありがたい事に、かなりの数の人が手を挙げてくれているみたいだ。
あとは奴らが現れるまでに、これらを粛々と実現していこうと思う。




