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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
六章 希望を捨てずに
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第194話 生贄の奪還

(桑田明日奈)


千夏ちゃんが生贄として登場した事に驚愕する私達。

まさかとは思うけど人間をゾンビへの生贄にするという事なのだろうか。


生きた人間を生贄にする事など許される事ではない。

しかも、まだ小さな子供よ!


「……みんな一旦落ち着くのよ」

「え、ええ……」


元自衛官の佐々木さんが他の人に聞こえない様に私達にささやく。

でも何とかして千夏ちゃんを救わなければならない。


「私が疾駆けで接近して救い出しますので、援護をお願いします」


綾音さんが私達だけに聞こえるように囁く。


「うん、お姉なら出来るよ!」

「わかったわ。私は拳銃での援護と脱出路の確保を!」


「綾音さん。千夏ちゃんをお願いします……」


私には救出は無理なので綾音さんに任せるほか無い。





-----


(平坂綾音)



平坂家に伝わる歩行法なら人々の合間を縫って高速で近づける。


それに事前に明日奈さんに出してもらった小太刀を一本服に隠してきているので、あのゾンビを切り捨てつつ助ける事ができるだろう。


小声で囁き合って合意を得た私は、合図をして一気に飛び出した。


(シュバッ! バッ! バッ!)


信者たちを避けつつ階段下まで高速移動した私は、階段を三段抜かしで飛び上がり、驚いている教祖や幹部を無視してゾンビ三体に向かう。


ざっと確認したところ、ゾンビは成人女性、小さい男子、それより少し大きい女子の三体だ。


(ヒュッ!)

(ザッ!)


平坂心刀流の小太刀の技で、まず中腰になって子供ゾンビ二体の頭部を切り裂く。


(ドズッ!)


最後に成人女性の顔に小太刀を埋め込んだ後、まだショックから立ち直っていない幹部から千夏ちゃんを奪って階段を滑る様に掛け降りる。


「わ、私の家族が!! な、何て事を!!」

「教祖様!」


(パン! パン!)


佐々木さんの援護射撃だ。

銃声でパニックになった信者たちが右往左往して散り散りになる。


「おのれっ! 逃がすな!」

「追えっ!」


教団幹部が叫ぶが私達は既に信者に紛れており、外に出る事が出来た。

移動しながらもトランシーバーで佐々木さんがホワイトフォートの男性陣に連絡してくれている。


これで教団とは真っ向から対立する事になってしまった様だけど、小さな子供の生贄など許される事ではない。





-----


(佐々木智代)



初速が速すぎて、私には綾音さんが急に消えた様に見えていた。


合図から僅か数秒で二階まで辿り着き、ゾンビを三体も始末しつつ子供を救出する事が出来るとは、流石に綾音さんは一流の武道家らしい。


千夏ちゃんの確保後、私は人間には当てない様に天井に向かって援護射撃を行う。


(パン! パン!)


信者たちが銃声を聞いてパニックに陥る中、皆で人込みに紛れつつ外に向かった。


ゾンビを始末した後の発言から、あのゾンビは教祖の家族だったらしい事が分かる。

神への生贄という事にして、ゾンビとなってしまった家族に人間を食べさせていたという事なのだろうか。


良く分からないけど生贄など許すわけには行かない。


私はトランシーバーを使って光司君に連絡を取り、生贄を救出して教団と対立する事になった事を伝えた。





-----


(大谷光司)



「生贄なんて……了解しました。こちらも監視を制圧して冴賢さんのところに、女性陣のビルに向かいます!」


佐々木さんからの連絡を受け、ホワイトフォートは教団と対立する事になった。


この可能性は事前に想定していた事なので、一条さん、虎太郎さん、遠藤雄二さん、明人さん達にも事情を話し、速やかに行動してもらう事になった。


……


一条さんがあっという間に一人の教団員の監視員のこめかみに銃を突きつけた。

虎太郎さんが二人目を問答無用で殴り倒す。


僕は同じビル、フロアで暮らす男性陣に語り掛けた。


「ホワイトフォートの皆さん、そうでない人たちも! 終末の救世教が小さな子供をゾンビへの生贄としていた事が分かりました。僕たちはこれを見過ごす事が出来ないので教団と対立する事になります! これから女性陣と合流して冴賢さんを救出し、ここからの脱出を行います!」


二人の監視を縛り上げた僕たちは皆に説明して、少ない荷物を持って女性陣のビルに向かった。


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