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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
六章 希望を捨てずに
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第193話 千夏ちゃんの捜索(桑田明日奈)

私達が襲撃された小学校から脱出して一か月ほどが経ったある日の午後、千夏ちゃんの姿が見えなくなってしまった。


千夏ちゃんのお母さんは心配で凄く憔悴してしまっている。


現在、私達女性は男性とは違うビルで暮らしている。

バリケードで封鎖しているとはいえビルの外には感染者が全くいない訳ではない。


稀にバリケードの隙間を越えて来るケースや、他のビルにいていつの間にか外に出てくるケースもあるみたい。


だから子供はビル内でしか遊び場が無いし、そこには女性や弱者、監視の教団員しかいないはず。


皆に聞いてみたけど誰も千夏ちゃんがいなくなるところを見た人はいない。

一体何処にいったのだろう……


だけど私が聞き込みを続けるうちに、急にいなくなる人は発足当初から毎月何人も居たらしい事が分かった。


そして実はそういう人は教団内部に連れ去られているのではとの噂もあった。

聞けば、今夜は毎月一度ある集会の日だという事らしい。


その日は私たちの監視員以外、ほとんどの教団員が教団本部ビルの一室に集まり、何かの儀式と教祖からのお言葉を貰えるらしい。


突然いなくなった人と教団の集会との因果関係は分からないけど、嫌な予感がした私は佐々木さん、綾音さん、茜さんに協力を仰いだ。





-----





「じゃあ、教団本部ビルに忍び込んで、その千夏って子を探せば良いのね?」


茜さんが私の話を聞いて確認してくる。


私は冴賢くんがずっと眠ってしまっていて、教団に労働させられている状況で危険な協力をお願いしている事を心苦しく思った。


「ええ。ごめんなさい、こんな時なのに危険な事を押し付けちゃって……」


「良いんですよ明日奈さん。きっと冴賢殿が起きていれば、小さな子を見捨てる事は絶対に無いでしょうから」


「そうね。それに教団が隠れて何かをしているのなら、私達はそれを知るべきだと思うわ。ずっとここにこのままじゃいられないしね」


有難いことに、綾音さん佐々木さんも同意してくれる。


その後、私たちは話し合って今日の夕食時に光司くんたちにも事情を話す事にした。

そして連絡用のトランシーバーと武器を密かに渡し、一条さんや虎太郎さん、明人たちのサポートもお願いする。


冴賢くんのアイテムボックスから拳銃を数丁とフード付きの上着を取り出す。

所定の時間になって、フロアの教団の監視の人に女性陣が身体を擦り付けたりして気を引いてくれた。


その隙にフロアを抜け出した私達四人は、フードを深めに被り<終末の救世教>の集会に行く人に混ざって本部ビルに入っていった。





-----





私たちは何とか怪しまれずに本部ビルに入る事が出来た。

吹き抜けのビルの一階に集まった私たちは二百人ぐらいの人込みに紛れ込んだ。


二階部分には教祖とその幹部連中がいる。

これから幹部や教祖が何やら演説を行うみたい。


「皆、静まれ! これから教祖様の有難いお話がある! どうぞ……」


「皆の日ごろからの信心、褒めたたえると同時に感謝しよう!。さて、先月我々は救世神様のお導きもあり、車、燃料、食料、そして多大な労働力さえも手に入れる事ができた! これも全て! 救世神様のお陰である! 我々が生き残るためには、これからも救世神様のお力が必要だ! これは絶対である! その証拠に、我々は今日まで生き延びてこられたのだ! 我々は<終末の救世教>の教義を守り、これからもこの終末の世界を共に生き延びようではないか!」


(((((おー! おー!)))))


教祖の話を聞いた信者の人たちは凄い勢いで騒ぎ出した。

私たちも腕を上に伸ばしたりして同調した雰囲気だけを出しておく。


続けて教祖が腕を振ると、首輪で鎖に繋がれた感染者=ゾンビが3体現れる。

佐々木さんたちと目配せをして警戒する中、教祖が続けて話した。


「それでは今月も救世神様への生贄を捧げる! 生贄となる者をこれへ!」


そして教祖の宣言で連れてこられたのは、驚く事に口を塞がれ手足を縛られた状態の千夏ちゃんだった。


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