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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
六章 希望を捨てずに
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第190話 分断と労働(大谷光司)

僕達は荷物などの検査後、全員がビルの一フロアに集められ、監視付きでニ日間監禁される事になった。

ある程度の時間をかけて感染者がいない事を確認する為だと思う。


来る途中歩きながらの説明では、僕達がいるこの新潟港奥のエリアは全ての橋をバリケードで封鎖してあり、独立した隔離エリアとなっているとの事だった。


窓から見える状況を確認すると、あまり遠くまでは見えないけど隔離エリア内は感染者の姿は見えなかったので、かなりの安全地帯ではあるのだと思う。


僕達の武器や食料物資は全て教団に徴収されてしまい、監禁中は粗末な最低限の食事が提供されて生かされている状況だった。


だけど監視は部屋の中にまでは立ち入らないので、僕達は人垣をブラインドにしつつ冴賢さんのアイテムボックから適宜追加で食料を出し、それを監視に分からないように分け合って過ごしていたので、粗末な食事であっても体力が落ちる事はなかった。


むしろ、この安全な隔離地帯のフロアで食事だけをする生活は、落ち着いていたと言えるかも知れない。


皆で話し合った結果、人質とされた美久ちゃんも戻ったし、今のところそれほど酷い扱いはされていないので、どういう集団なのか少し様子を見ようという事になっている。


だけど、僕達がいた小学校に訪れたゾンビの大群は山を越えるか迂回するかして、いずれここ新潟にも押し寄せるだろう。


もしかしたら日本海側にも別の大群が既に発生している可能性もある。

海を越えた何処かの島にでも行かない限り、地続きの場所は完全に安全とは言えないだろう。


今のうちに、ここから脱出して佐渡ヶ島へ渡る方法も考えておかなければと思う。





-----





隔離期間後、僕達は男女別に分けられて別々のビルで暮らす事になった。

元からここにいる人たちと共同での生活だ。


全体の人数は知らされていないけど、男性だけを見ても僕達と同じぐらいの人数はいるらしかった。


元からいた人達は皆痩せて日に焼けた赤黒い肌をしている。

ずっと外で仕事をさせられているのかも知れない。


女性側には子供や重病人・高齢者も含まれていて、これは人質の意味合いが強く、男性に逃げられない様にしているみたいだ。


男性側はさらにいくつかのグループに分けられ、主に水汲みや食料などの物資調達に従事する事になった。


外出に耐えられそうに無い人は、室内の清掃や隔離エリア内での物資の運搬係に。

女性や子供などの血縁者がいる男性は、隔離エリアの外側に命懸けで調達に行かされるらしい。


これは家族が人質になっているので、逃げられないという縛りがあるからだろうと思う。


それ以外のかなりの人数は、釣りをしたり手漕ぎの小舟で海に出て漁を手伝わされる。


恐らくこの教団が今まで生き残ってこられたのは、この海の幸があるからじゃないかと思う。


ウィルスの影響は全体かどうか分からないけど海にまでは及んで無いみたいで、釣った魚とかは普通に食べられるらしい。


とりあえず僕はまだ中学生なので外には行かされず、釣竿を渡されて一日中釣りを手伝わされる事になった。





ーーーーー





あれから数日間暮らして見ても、やはりそれほど酷い扱いは受けなかった。


もし女性が乱暴されそうになったり、誰かが殺されそうになったりしたら即反撃しようという事になっていたけど、朝夕の二食は少ないながらも食べられるし、女性たちも乱暴などはされていないみたい。


これは最初の戦闘時に死者を出さなかったのも大きいのかなと思う。

僕達は単純な労働力として、この教団に組み入れられたみたいだ。


他の人と話してみて分かった事は、ここの人達は全員が教団の信者という事でも無いらしい。


というか数百人いる中で、教祖と幹部は十数人、信者が全体の半分ほど、それ以外の人たちは僕達も含めてここに流れ着いた人達だった。


信者でない人は家族と昼間は分断されているけど、食事にもありつけているので逆らわずに働いているという感じみたいだ。


家族と会えるのは、武装した教団員の監視の元で夕食時だけだ。


僕達ホワイトフォート勢は、夕食時に会って話し合いをしつつ、これからの対策を練るのだった。


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