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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
六章 希望を捨てずに
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第185話 交渉(大谷光司)

「こちら一条。最後尾の車両付近にも複数の人影が見える。こちらを待ち構えていた様だ。光司君どうする? 反撃するかい? それとも少し様子見しようか?」


1号車が急停車して綾音さんからトランシーバーで銃撃された旨の連絡を受けた後、一条さんからも直ぐに連絡があった。


どうやら僕達は正体不明の集団に襲撃されているみたいだ。

でも銃撃されているって事は……


「そうですね……まだ様子見でお願いします。銃を使ってるという事は少なくとも変異体の(たぐい)ではなく人間のはずです。まずは相手の出方を待ちましょう! 一応いつでも反撃出来る態勢は取っておいてください!」


「「「「了解」」」」


……


少しすると相手側からメガホンの様な拡声器で連絡があった。


「ここから先は我々<終末の救世教>の領域だ! お前達は一体何者だ!」


教が付くという事は宗教団体なんだろうか?

相手側もこっちがどういう集団なのかわからないで不安でいるみたいだ。


「佐々木さん、こちらも拡声器で応答して下さい。ここはなるべく平和的に行きましょう。とりあえずこちらには敵対の意志が無い事を、大人の佐々木さんから伝えてもらえますか? こちらの目的地は明かさないで下さい」


「了解よ!」


僕はトランシーバーで佐々木さんに彼らへの応答を頼んだ。

但し、念のため目的地についての情報は隠しておいてもらう。


「こちらはホワイトフォートという移動中の集団です。私達にはあなた方と敵対する意思はありません。移動進路がそちらの領域を侵すという事であれば南北どちらかに迂回しますので、このまま私達を通していただけないでしょうか?」


多分これで大丈夫だろう。

僕達は新潟港から佐渡ヶ島に渡りたいだけだ。


本当は港が良いんだけど、無理に港じゃなくても海に面した所であれば多分大丈夫なはず。


もう夕方近いし危険な夜も直ぐにやって来る。

相手側も無用な戦闘での流血は避けたいはずだ。


「教祖様に確認する。少しそのまま待て!」


相手側からも待つように通達があり、無用な対立を望まない僕達は言われた通り少し待機する事になった。





ーーーーー





「お前達には我々の拠点まで来てもらう事になった! 速やかに武装を解除して、車を含めた物資を引き渡し、こちらの指示に従ってもらおう!」


小一時間後、応答役の佐々木さん達と意思の疎通を図るため1号車に移動していた僕は、相手からの要求を聞く事になった。


「相手の言うとおりに武装解除するのはかなり危険ね……ここは仕方がないけど戦うべきかもしれないわ」


ありがたい事に、さっきの一条さんもそうだけど佐々木さんも僕への責任の押し付けにならない様、自分からの提案という形で道を示してくれている。


僕はそれを吟味して最善を尽くせばいいんだ。

確かにこの状況で武装解除して相手側の言いなりになるのは危険すぎる。


教団とは言え、こちらには婦女子も多いので何をされるか分からないし、眠っている冴賢さんも危険にさらす事になる。


眠っていて無防備な冴賢さんに万が一の事があっては困る。

これは何にも勝る最優先事項なんだ!


「武装解除すると冴賢さんの身も危なくなるかもしれません! 拒否しましょう! 一方的な武装解除には応じられないと返答してもらえますか?」


僕は佐々木さんに返答を頼み、綾音さんにはトランシーバーで相手の要求と、それを拒否するので戦闘になるという旨を全車へ伝えてもらった。


全車への連絡が終わるのを確認し、佐々木さんに頷いて返答をしてもらう。


「こちらの回答はノーよ。一方的な武装解除には応じられません! 攻撃してくるのであれば、こちらも武力を持って対応します!」


こうして僕達は謎の宗教集団と戦うことになってしまったんだ。


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