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第18話 追って来る者

結局は僕も同行し、まずは佐々岡(ささおか)さんの自宅を目指す事にした。

目的地まで現在地から直線距離で10kmほどの距離がある。


僕は物資の入ったリュックを背負ってバールを手に持ち、その後ろから桑田さんと佐々岡(ささおか)さんが続く。

なるべく感染者の少ない方向に迂回しつつ進んだ。


「待って、この先に感染者が歩いてるから、少し止まってやり過ごそう」


僕はそう言って二人を停止させる。

そしてサーチ結果の通りに感染者が数人纏まって横切っていった。


「凄い! 良く分かったわね」

「たまたまだよ。少し影が見えたんだ」


僕は適宜、サーチを使っている事を誤魔化しつつ感染者を避けて進んで行く。

佐々岡(ささおか)さんは足を怪我しているのでゆっくりとだが確実に進み、やっと200mぐらい進んだところで、サーチで複数の青い反応が後方からやって来る事に気付いた。


「人の声がする。隠れて!」


僕は二人に指示して息を潜める。

二人は少し怯えた表情で頷いて建物の陰に隠れた。





ーーーーー





「畜生! まだ見つからないか! 何処行ったんだ!」

「こっちの方に人影が見えたんだろ!」


「お前ら! 女がいるなんて、本当なんだろうな!」

「もし嘘だったら、どうなるか分かってるな?」


何やら男が7人ぐらいやって来て叫ぶ。

そのうちの一人は見覚えがあった。

桑田さんの幼馴染だ!


僕は驚愕して桑田さんと目を見合わせる。

他に制服の男子が二人いるが、たぶん佐々岡(ささおか)さんを襲った人達だろう。

そして明らかに一般人では無い人達と一緒だ。

何か嫌な予感しかしない。




(ガタンッ!)


男達を見て動揺した佐々岡(ささおか)さんが、近くの瓦礫を倒してしまったようで、大きな音がしてしまった!


「誰だっ!」

「あっちの方だぞ!」


男達が集まって来て、僕達は囲まれてしまった。





ーーーーー





明日奈(あすな)!」

桑田さんの幼馴染が叫ぶ。


「へえっ! 上玉じゃねえか」

「やっと見つけたぞ!」


チンピラのような男達が女子二人を舐めるように見て話した。

僕の存在は目に入っていないようだ。


僕は怖いけど桑田さんと佐々岡(ささおか)さんの前に立つ。

膝がガクガクと震える。


「ぼ、僕達に、何か御用でしょうか?」


僕は震えながらも桑田さん達を守るため、男達に尋ねた。

桑田さんと佐々岡(ささおか)さんも酷く怯えている。

何とか見逃してくれないだろうか……


警察の取り締まりが出来ない無法状態が続けば、いつかはこの男達のような輩が現れると思っていたけど、早すぎるだろ!

運が悪い事に彼らは一般人ではなく元々がそういう人達に見える。


「御用と来たか、へへっ! そんな物決まってるだろ? 特別サービスだ。女を置いて消えていいぞ!」

「ああ、ぶっ殺されたいんなら別だ!」

「ぐひっひっひ!」

「二人とも高校生にしちゃあいい体してんじゃん!」


桑田さんの幼馴染と男子二人は気まずそうにこっちを見ている。

恐らく男達に脅されているのかもしれない。


仲間のところに連れて行かれれば、彼女達は慰みものにされるのだろう。

佐々岡(ささおか)さんは恐怖で涙目になり失禁してしまっていた。


「私だけに、してくれませんか?」


桑田さんが男達に叫ぶ。


驚いた僕が振り向くと桑田さんは覚悟を決めた瞳だった。

そして僕と目が合うと、僕の上着の端を持ってブルブルと震えながら涙を流す。


桑田さんも凄く恐ろしいはずだ。

でも僕達の為に犠牲になろうとしてくれている……


「あ!? 駄目に決まってんだろ? 二人共だ!」

「逃さねえよ?」


男達はあくまでも二人を連れて行ってしまうつもりだ。

佐々岡(ささおか)さんはさらなる恐怖でしゃがみ込んでしまった。


僕は……喧嘩なんかした事も無い陰キャだ。

でも男だろ! 桑田さんの覚悟を聞いたか?


それに僕は白蛇さんに力をもらったじゃないか!

ここで彼女達を護れないでどうする?

この男達は悪だ、倒さないと!


僕は覚悟を決めて静かにバールを構えて目を閉じた。

目を閉じると不思議と怖さが無くなった。

身体の震えが止まる。


サーチで見ると男達は全員が黄色い点になっている様だ。

敵対すると色が変わるのか? 点だけで男達の位置も分かる。


これならゲームだと思えば……


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