表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
五章 安住の地を目指して
176/220

第171話 達也との激突

僕と達也は校庭で対峙して睨み合いを続けていた。


周りではサイコ部隊と変異体達の戦いが繰り広げられている。

今のところ優勢みたいだけど、あちらは数も多いから油断は出来ないだろう。


「随分お前を探したんだぞ、冴賢! こんな所に隠れているとはな!」


「達也……あの時、僕はお前の首を確かに斬り飛ばしたはずだ!」


「ふん! お前は神の使徒らしいじゃねえか。だがな、俺様も邪神の使徒になったんだよ。そして凄い力を与えられて甦ったんだ! はあっはっはっ!」


そう言えば白蛇さんが正体不明の神がいるって言ってたっけ!

その神が、邪悪な神が達也を甦らせたと言うのだろうか。


まだ聞いておきたい事がある。


「お前はゾンビや、その変異体達を操れるのか?」


「変異体? コイツらの事か。ああ、そうだ。人を喰ってゾンビから進化したマンイーターと、俺みたいに邪神から力を授けられているジェネラル、俺はそう呼んでるが、王である俺には絶対服従の駒だ。ゾンビどもは着いてくるぐらいしか出来ねえがな。あと、ジェネラル共はみんなお前に恨みがあるみたいだぜ!」


王? 魔王だとでも言うのだろうか。

でもゾンビや変異体を操れるなんて考えうる限りの最悪の能力じゃないか!


「どうやってここが分かった?」


「ああ、南にあったここと同じ様な壁に囲まれた街を壊滅させた時に、お前のいる方向を知っている奴がいたんだ。つまらん奴だったがな!」


えっ、そんなまさか! 坂部市が!


「ま、街の……街のみんなはどうしたんだ!」


僕は動揺を隠せない。

聞くのが怖い……皆、無事であってくれ!


「そんなの決まってんじゃねえか、皆殺しだ! 自衛隊もまあ頑張っちゃあいたけどな、数の力には勝てねえのさ。全員死んで俺様の糧になったぞ! はっはあー!」


そんな……数百人もの、かつて仲間だった人達が皆殺しにされていたなんて。


「お前!……何て事を……したんだ!!」


「何言ってやがる! お前こそ、よくも俺様を殺しやがったな!! お前も、お前の家族も、お前の仲間も、お前の愛する者も、全て俺がぶっ殺して世界を破滅させてやるんだ!!!」


くっ! こいつ、なんて物凄い憎悪だ!

まるで達也の周りに闇が集まって来ている様だ。


その闇が衣の様に身体に纏わり付いている……

邪悪な神の加護を得た今の達也を、僕は倒せるんだろうか……


いや、弱気になるな!

後ろには明日奈さんや莉子さん、家族や仲間達がいるんだ!


負けられない! やるしかないんだ!


僕も覚悟を決めて念力(サイコキネシス)を纏う。


達也が右腕を曲げると拳から黒く長い爪が伸びる。

僕も青白く光るサイコブレードを生成して構えた。


僕達は互いに飛び込んで激突し、青白い光と漆黒の闇が交差する!


「冴賢っ!」

「達也ぁ!」


(ガギーン!)





ーーーーー



(パパー荒井雅則)


くそ! なんて事態だ!


ゾンビの大群もここに向かってきているらしい。

それに校庭に変異体どもの侵入を許してしまった。


白蛇様の結界も破られたという事だろう。

もうここは放棄して脱出するしかないぞ!


本校舎への避難が遅れてる者達もいる。

これも放置は出来ないだろう。


「守備隊は一旦後退だ! 変異体は我々では手に負えないからサイコ部隊に任せる! 本校舎入口で避難民への援護射撃に徹してくれ!」


いざという時は家族や親しい者達で脱出路への誘導を行なう事になっていたが、それを実践する時が来てしまった様だ。


「明日奈ちゃん、莉子ちゃん、明人君、雄二君、光司君も、例の脱出路への皆の誘導を行なって欲しい! 皆を連れて先に避難するんだ、いいな?」


「「「「「は、はい!」」」」」


俺は迅速に皆に避難誘導を指示した。

それともう一つ指示しておきたい事があった。


「それと光司君、君を臨時のホワイトフォート副リーダーに任命する。俺と冴賢がいない間は君が指揮を取れ!」

「ええっ! ぼ、僕がですが?」


「そうだ。君には指導者の素質があると俺は思っている。こんなギリギリの状況で悪いが、やってくれるか?」

「……分かりました。僕で良ければ、やれるだけやってみます!」


「なるべく先行して必要な措置を取ってくれ! 頼むぞ!」


よし、これで良いだろう。

光司君は今がどういう状況かを判断できている様だ。


後は一階にある地下道への入口のカモフラージュを退ければ、直ぐにここからの脱出を開始出来るはずだ。


「荒井さん! 私達も屋上から射撃で冴賢君達を援護します!」

「相手の牽制にはなると思います!」


元自衛官の佐々木さんが一条さんと一緒に申し出るが、俺は即座に首を横に振る。


「いや、恐らく自動小銃の銃弾が通じる相手じゃないし、対物ライフルはあれだけ動く相手には当たらないだろう。君達は脱出の護衛を行って欲しい。出来れば先頭での安全確保を頼む。脱出した先での安全確保も必要だからな! 殿(しんがり)は俺を含めた守備隊が務める!」


「ですが!」

「しかし!」


「大量のゾンビがここに向かっているんだ! もうここを破棄しての脱出は決定事項だ! 俺の指示に従え!」


「「はっ!」」


「二人とも、皆を頼むぞ」


二人はやはり元自衛官だけあって誰かを守りたいという気持ちは強い様だ。

だが万が一の事も考えると、脱出先にも戦える者は必要だろう。


冴賢もあの黒い鬼の様な奴と戦闘中だ。

あいつは見た感じただの感染者じゃねえ、例の特殊な変異体だろう。


もしサイコ部隊が負ける様な事があれば、覚悟を決める必要があるだろうな……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ