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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
五章 安住の地を目指して
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第169話 対峙、真理の覚悟

「お前達ジェネラルとマンイーターは適当に殺しまくれ! 冴賢は俺様の獲物だから手を出すなよ!」

「「「「 はっ! 」」」」


達也が変異体達に指示している。


ジェネラル、マンイーター? 種族名でもあるんだろうか?

どういう関係なのかわからないけど、奴らは達也の指示に従うみたいだ。


とりあえず僕達も相手に対応しないと。


うかうかしていると感染者の大群が来てしまうし、その大群の中にもっと大勢の変異体がいる事もサーチで分かっている。


僕達はこういう状況の時の為にペアや全員で戦う訓練をこの三ヶ月で行っていた。

変異体と個別に戦うのはかなりリスクが高いので、僕以外の他の人にはペア戦闘をしてもらおう。


それぞれのペアが相手グループを倒し終わったら、全員で達也を相手にするのでも良いし、僕が先に達也を倒したら他のペアに加勢するのでも良いだろう。


大事なのは勝つ事だ。


僕には着いてきてくれた、たくさんの仲間達がいる。

ここで死なせる訳にはいかないんだ。


「虎太郎さんと悠里さんはペアで大柄の男と婦人警官の相手を、綾音さんと茜さんもペアで残り二体の高校生に見える変異体達をお願いします! あの鬼は……達也は僕が倒します!」


「「「「 了解! 」」」」


そして僕と達也以外が散会して戦闘を開始する。


特殊な四体以外の変異体が前に出てきて、虎太郎さんと綾音さんがそれぞれのサイコ武器で蹴散らし、悠里さんと茜さんが援護やフォローを行なう。


だんだんと激化して戦場が左右に別れてゆく中、僕と達也は一歩も動かずに互いに睨み合っていた。





ーーーーー




(武田真理)


緊急事態を告げるサイレンが鳴り響く中、私は少しの間唖然としていた。

一体何が起こったの?


ここはかなり高い壁に守られていて、ひー君もいるから安全なはずなのに。

正直、ひー君の力は凄いとしか言えないぐらいに凄い。


以前、私を避難所まで助けに来てくれたひー君は青白い光に包まれていて、まるで本当の神様のみたいな神々しい姿だった。


後から聞いた話だと一人で百人以上の武装グループを撃退してくれたみたい。

信じられない様な凄い力だ。


それに私は何も無いところから食べ物や飲み物を出すのを何度も見ていた。

実際に私も食べたけど出来立てみたいで凄く美味しかったのを覚えてる。


お父さんから少しだけ伝え聞いた話だと、ひー君が私達に裏切られて死にそうになっていた時に、白蛇様という神様から与えられた力みたい。


聞いた時は凄く複雜だったけど、ひー君が死ななくて本当に良かったと思う。

特別な力なんて無くても、ただ生きてくれていただけで……


あの時の事は未だに夢に見るほど後悔している。

なぜ私の為に怪我までしたひー君を見捨てて逃げてしまったのか……


東堂くんに引きずられたけど、戻らなかったのは私の判断もある。

そんな苦しい言い訳は出来ない。


私は確かに切り捨てたんだ……

元々学校では東堂くんに惹かれていた事もあると思う。


だけど冷静になって考えると、私は東堂君を本当に好きだったのではなく、何でも出来てお金持ちで格好が良い彼を手に入れた自分を想像し、酔っていただけのように思える。


その証拠にひー君が死んでしまったと考えた途端、魔法が解けたかのように彼への想いが無くなってしまったからだ。


たぶん私が本当に欲していたのは、ひー君だったんだ。

物心付いた時からずっと隣にいた幼馴染の男の子。


波長も良く合って優しく居心地の良いひー君は、兄弟のいない私にとっては手のかかる弟に近い存在だとずっと思っていた。


けれど、桑田明日奈さん佐々岡莉子さんと仲睦まじい様子を遠目に見て、ズキズキと痛む胸が私に教える。


本当は自分が誰を好きだったのかと。

もちろん、そんな事を私から言い出すことなんて出来ない。


私はもう間違ってしまったのだから……


……


避難した校舎の中から、ひー君達が戦っているのを眺めた。


えっ! 嘘っ! あの鬼は、あの鬼は東堂君だ!


かなり身体が大きくなって頭から角も二本出ているけど顔は藤堂君そのもの。

私には分かる、あれは絶対に東堂君だ……


死んでしまったって聞いてたけどなんでここに、しかも鬼になって……


私を殺しに来たんだろうか。

もしそうだとだとしたら、私はそれを受け入れよう。


だから他の人を巻き込まないで欲しい。

あそこに行くべきかどうか……ひー君達の邪魔はしたくないし……


……


あっ! とうとうひー君が東堂君に吹き飛ばされてしまった!

怪我をしたのか、倒れてほとんど動けなくなったみたい。


このままじゃ、ひー君が東堂君に殺されてしまう……


倒れたひー君を見て、お付き合いをしている二人が泣き叫んで、必死にひー君の処へ行こうとして他の人に止められている。


なら、私が行かなきゃ!


大丈夫、自分が死ぬ事はもう怖くない。


一番怖いのは、大切な人を自分のせいで永遠に失う事なんだ。


私はもう、絶対に間違えない!


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