第145話 高校生達との合流
僕は行方不明の高校生達を迎えに生存者グループのモールのまで来たんだけど、大津というここのグループのリーダーの指示で監禁されてしまった。
今までのやりとりから、この避難所のグループはロクな人達じゃない事がわかったので、さっさと高校生達を連れてここを離れようと思う。
さて、サイコブレードで防犯シャッターを斬っても良いんだけど、音が凄く煩いかも知れないのでアイテムボックスに格納してみようかな。
この場合、シャッター部分だけが一つのアイテムという事になるんだろうか?
(宜しければ、私の能力で人が通れる大きさに物質の改変が可能です)
とりあえずやって見ようと思ったところでアイジスからの提案があった。
アイテムボックスの実態は知能を持つ神器であり、アイジスと言う名前を付けてあって、色々と僕のサポートをしてくれるんだ。
(じゃあ、お願いしようかな。ここを通れるようにしてくれる?)
(承知しました。シャッター部分に手を触れて下さい。物質を改変する為には格納するか、接触する必要があります)
(分かった!)
右手で防犯シャッターに軽く触れる。
すると僕にだけは黒い渦巻きの様に見えるアイジスが、一瞬だけ広がった様に見えた後、あっという間にシャッターが僕の背丈で長方形を切り取った様な感じで改変された。
(ありがとう! 凄いよ、アイジス!)
(はい、マスター。何時でもアイジスにご命令下さい)
いつもながらアイジスの能力には驚かされる。
手で触れるだけで物質の形状を思う通りに変えられるなんて凄すぎる。
これならもう普通に歩いて通れるだろう。
ーーーーー
「あなた達が行方不明の高校生達で良いんでしょうか?」
僕は高校生達が閉じ込められている店舗の前に立ち、防犯シャッター越しに語りかける。
いきなり話しかけた僕に、男子二人が警戒するように前に出る。
女子二人は少しびっくりした様に怪我で横になっている男子の側に下がった。
「誰だ?」
「俺達の事を知ってるの?」
「ええ。僕の名前は荒井冴賢。小学校にいた透君達に請われて、あなた達を探しに来たんです。真子ちゃんも待ってますよ」
「透達に?」
「本当!?」
「子供達は無事なの?」
透くん達に聞いていた男子の一人である吉田翼さんと女子の大友有紗さん生駒麗華さんが声を上げる。
「ええ。小学校にいる子供達は僕の仲間が残って保護していますので安全です。安心してください」
「良かった……」
「うん……」
生駒麗華さん、大友有紗さんの女子達は、子供達が無事と聞いて安堵した様だ。
「皆さんはここに閉じ込められているんですよね?」
「ああ、そうなんだ。奴らに捕まって、俺達の食料調達先の場所を話すまで出さないと言われて監禁されてるんだ。雄二もその時に奴らにやられて怪我をしてるから、ここから動けない……」
「それに後から雄二達を探しに行った私と直哉君も捕まっちゃったの……」
吉田翼さん、生駒麗華さんが話す。
雄二というのは遠藤雄二さんの事だろう。
僕が聞いていた彼らの名前は男子の遠藤雄二さん、吉田翼さん、渡嘉敷直哉さん、女子の生駒麗華さん、大友有紗さんの五人だ。
そのまま少し話しを聞くと、遠藤雄二さん、吉田翼さん、大友有紗さんが食料調達に出た際に、大津達のグループに囲まれて持っていた大量の食料の調達先を聞かれ、答えなかったので監禁されてしまったという事だった。
今まで生存してこれたのは遠藤雄二さんの親族が経営していた倉庫に大量の食料が貯蔵されていたからとの事だった。
その場所をここの大人達に知られてはならないと抵抗していたらしい。
そして戻ってこない三人を探しに行った渡嘉敷直哉さん、生駒麗華さんも大津のグループに捕まり、ここに一緒に監禁されてしまったとの事。
遠藤雄二さんは、捕まる時に抵抗した際に暴行を受けて怪我をし、それが元で光熱が出て意識も戻らないと言う。
「ううっ……このままじゃ雄二が死んじゃう……」
「「「「……」」」」
生駒麗華さんが涙を流し、他の四人も心配そうに彼を見つめる。
「事情は分かりました。とりあえず彼を治してここを脱出しましょう。少し下がっていて下さい」
僕は片手で防犯シャッターに触れ、アイジスにシャッターの改変を頼んだ。
シャッターが変形を始め、先ほどと同じ様に長方形を切り取った様な感じで改変されるのであった。