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第15話 予期せぬ再会

その後も僕はなるべく目立たないように隠れながら移動していた。


この地の神だという白蛇さんが僕に授けてくれたサーチ能力は、頭の中で感染者は赤い点、生存者は青い点という識別と、リアルタイムで正確な位置情報を僕に教えてくれる。


この能力があれば感染者の位置を把握しながら移動できるので、ゾンビ映画のように不意に後ろから襲われるといった心配はしなくて済むだろう。


そして感染者といえど数日前まで生きていた人間だ。

僕はまだ感染者を自分で倒したりする覚悟は出来ていなかったので、避ける為にもサーチ能力は非常にありがたかった。


学校での感染者や、他の感染者をやり過ごしたり遠くから観察した結果、いくつか分かった事がある。

まず感染者はいくつかのゾンビ映画と同じ様に、目の黒い部分が濁って白色で肌は赤みがなく青白くなっている。

動きに関しては老人の様に遅いが、獲物を見つけた時に少し速くなる感じだ。


これだけ聞くと脅威が無い様に思えるけど、ゾンビ系の最大の問題点は群れて人数が増えると、どうにもならなくなる点だ。

各個体の力も人体のリミッターが外れたように強いだろうし、感染者から直接外傷を受けてしまうといずれ同じ様に感染者になってしまう。


きっと生存者が安全地帯を作ってもいずれその場所はゾンビの群れによって脅かされるだろう。

あと気になるのはゾンビの有効期限というか、いつまで動き続けられるのか?

という点だろうか。


この点はゾンビ化の原因にもよると思うけど、白蛇さんは人間が作ったウィルスと言っていたはずなので、呪いで動くとかでなければいつかはエネルギー切れで動けなくなるはずだ。


だがそれは一体何年後になるのだろうか……





ーーーーー





僕は再びリュックをアイテムボックスに入れ、高速で移動していた。

何回か感染者に見られる事があったけど、直ぐに視界から消えるとどうやら認識出来なくなるらしく、なんとかやり過ごしている。


その移動中、サーチで多くの生存者の反応を捉えていたけどイチイチ確認して接触しようなんて思ってはいなかった。


だけど、ある地点を通過する際にビルの中にある2つの青い点が妙に気になった。

もしかしたらサーチには個体を識別する機能があって、それが僕の知り合いなので気になっているのかもしれない。


2人だとすると……

どうしても真理と達也を思い浮かべて嫌な気持ちになる。

でもサーチした感覚的に嫌な感じはしていないようだ。


少しの間考え、僕は今の身体能力ならたぶん何があっても逃げられるだろうと思い、試しにビルの中に入ってみる事にした。


もしあの二人なら速攻で逃げよう。

ある意味感染者よりも怖いかも……


再びアイテムボックスから出したリュックを背負い、バールを手にする。


僕は注意点深く音を立てずにビルの中に入った。

相手のいる位置はサーチで既に分かっている。

階段を上がった先の2階の手前の踊り場だ。


「あの〜。大丈夫ですか?」


僕は怪しまれないように階段の手前で先に声を掛けて見た。


「ひっ!」

「だ、誰?」


「えっと、僕は通りすがりの高校生です。避難所には行かれないのですか?」


声からすると、どうやら若い女性というか女の子の様だ。

相手を怖がらせないようになるべく穏やかな口調で答えたつもりだ。


「えっ!? その声は! 荒井君?」


声の主がタタッと階段を降りてきて、名前を当てられて驚いた僕と目が合った。

学校のグラウンドの前で別れた桑田さんとの再会だった。


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