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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
五章 安住の地を目指して
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第140話 二つのグループ

その後、僕達は無理をせず二日ぐらいかけて北上して市街地にたどり着いた。

最後の方はかなり効率良く進む事が出来たんだけど、それは光司君やアイジス含む仲間のお陰だ。


まず光司君からの提案で、感染者や障害物を念動力(テレキネシス)で移動させるのではなく、アイテムボックスに格納して破棄してしまうのはどうですか? というアイデアをもらった。


言われて見ると、それは以前バリケードを作り終わって壁内の感染者を処理している時に一度やったやり方であり、アイテムボックスは僕の超能力ではないので精神力は消費しないし一度に複数の物も瞬時に格納可能なんだ。


やっぱり光司君の分析力というか閃きは凄い。

感染者の人には申し訳ないけど処分後の遺体は提案通り、アイテムボックスで破棄させてもらう事にした。


(では進行に邪魔となる、雪を含む障害物および感染者の格納・破棄の作業は私にお任せ下さい)


そして、それさえもアイジスが自動的にやってくれる事になった。

さらにパパの提案で、佐々木さんか一条さんの元自衛隊員が交代で一号車の助手席に乗り込んで、キャンピングカーに据え付けた機関銃で感染者に対処してくれる事になった。

光司君も穴を埋めるため交代で二号車の運転をしてくれるとの事。


これで僕の役割としては撃ち漏らした感染者への対応だけになったので、格段に負荷が減る事になった。


僕は人には無い力を持っているかも知れないけど、一皮むけばただの人間だ。

そして一人で出来る事は限られている。


でも僕は一人じゃない。

こうやって仲間が僕を助けてくれるんだ。

ありがたい事に、倒れたら介抱してくれる人達もいる。


僕は改めて思う。

仲間達と共にこの困難を乗り越え、新天地で再び理想の国を作り上げよう。





ーーーーー





市街地はかなり感染者の数も多い様だ。

僕も常時サイコバレットを撃ち出しながら進む。


パンデミック発生から8ヶ月以上だ、残念ながらかつては数万人が住んでいたであろうこの地域には、もうほとんど生き残っている人はいないみたいだった。


やがて市の北東で川から近い辺りに二つの生存者グループがある事がわかった。

一つはショピングモールで恐らく100人ほど。

もう一つは小学校の様でこちらは20人もいないと言った感じだ。


少し気になるのは小学校の方は、小さい子供の反応が多い事だ。

多いと言うか子供しかいない……


僕はパパに状況を報告し、パパからの指示で一旦進行を停止させた。

キャンピングカー十台の周りを土操能力(グランキネシス)の土壁でグルっと囲い込み、簡易的なバリケードを構築して一旦食事休憩となった。


「子供だけのグループ、それにある程度纏まった生存者のコミュニティか……」


パパがダイニングテーブルで、オリーブオイルと少量の胡椒だけで味付けしたパスタを食べながら呟く。

最近血圧が高いので、健康の為にママが減塩食を作ってくれているみたいなんだ。


「子供ってどれぐらいなのかな?」

「う〜ん。年齢は正確にはわからないんだけど、小学生や中学生ぐらいで15人ほどだね」


明日奈さんが聞いてきたので答える。


「私達で助けてあげられないの?」


「まあ当初の目的からすると、無視して何処かを拠点化して戦闘訓練をすべき所だがな……」

「「……」」


続く莉子さんの問い掛けにパパが答え、二人はパパに無理は言えないと思ったのか沈黙してしまう。


僕達は新天地で新たなる国を作ろうとしている。

ここへは単に通りがかっただけだ。


だけど子供たちがいて助けられる状況なら手を差し伸べたいとも思う。

明日奈さん、莉子さんも同じ想いらしい。


「なら、僕だけで一度様子を見に行ってくるよ」


「わかった。だが念の為、サイコ部隊からもう一人誰か連れて行け」


「ならば私が!」

「私も!」


パパも僕が言い出すのを予想していたかの様に許可をくれた。

すかさず一号車に同乗しているサイコ武器が扱える綾音さんと、次女の茜さんが手を上げてくれた。


ちなみに旧ホワイトフォートで壁外の人達の救助活動をしていた救助隊は、流浪の旅に出た今ではサイコ部隊と名前を変えているんだ。


「じゃあ、綾音さんお願いします。茜さんは次があったらお願いしますね」


「承知しました!」

「もうっ!」


綾音さんはニッコリと僕に微笑み、茜さんは凄く悔しがっていた。

もしかしから一人にさせてしまう可能性があるので、少しでも強い方と言う事で納得してもらった。


しかし子供だけしかいないって、どういう状況なんだろうか。


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