第138話 蠢(うごめ)く者
元々俺は人間だった。
人間だった時の名は東堂達也だ。
俺は不思議な力を持つ冴賢に首を刎ねられて殺されたが、神を名乗る存在に魂を捧げる事により生まれ変わったんだ。
だからもう俺は人間じゃねえ。
今の俺の目的は冴賢をぶっ殺す事だ! ついでにこの世界も目茶苦茶にしてやる!
その為に邪悪な神達に魂を捧げて強大な力を授かったんだからな。
それに俺には手下が大勢いる。
まずは大量にいるゾンビ共。
コイツらは俺を襲って来ねえし、俺の指し示す方向になんとなくだが着いてくる。
一体一体はクソ弱えが、数を増やせば大きな力となるだろう。
次にマンイーター共。
コイツらはゾンビが人間を喰らう事で稀に変異するみてえだ。
頭の良し悪しはわからねえが俺の指示には従順だな。
筋肉が異様に膨らんだり頭や腕がどでかくなったりとタイプも様々だ。
何故だか俺の持つイメージもコイツらに伝わるらしい。
そして俺自身も物凄い力を手に入れている。
身体は鋼の様に硬えし、力も一撃で車を吹き飛ばすほど強え。
マンイーター共と、もし戦えば1vs100でも最後は俺様が勝つだろう。
最初、俺はこの力で冴賢を直ぐにでも見つけてぶっ殺してやろうと思ったが、マンイーターが奴に殺された死骸を見つけ、当面は力を蓄える事にしたんだ。
ーーーーー
あれから俺は東京近郊の避難所を飲み込みながら勢力を拡大させていった。
脆弱な避難民共も、死ねばゾンビになって俺の新たな兵隊となる。
マンイーター共も稀にだが発生し、その数はどんどん増えていってる。
そして一つ気付いた事がある。
それは俺の力の増大だ。
俺が率いるゾンビ軍団が人間を殺してゆくに従って力がどんどん増えていく。
避難所を壊滅させる度に物凄い力がみなぎってくる。
まるで俺自身が死んだ人間の魂を喰っているみたいだ。
今では地面を思いっ切り踏み込むと広範囲に地震が起こせるし、爪の斬撃で全てをズタズタに切り裂く事も出来る。
巨大なタワーマンションでさえも素手で崩壊させる事が出来るようになった。
試しに自分につけた傷も直ぐに再生して治っちまった。
このまま力を増していけば冴賢なんて目じゃねえ。
この世に俺様の敵はいねえって事だ!
ーーーーー
もう都内近郊の避難所をかなり潰したぜ!
ゾンビ共は数える気もねえぐらいいるし、マンイーター共も多分100体は超えただろう。
もうそろそろ冴賢を潰しに行くかな。
「王よ」
お、そう言えばコイツらがいたか。
俺の近くに跪く四体の特別なマンイーター。
コイツらは他のグロテスクなマンイーター共と違って、スタイルはかなり人間に近い感じだ。
それに言葉をしゃべるところを見ると知能もかなりあるんだろう。
理由はわからねえが最近この特別なマンイーターが現れたんだ。
一体は……足首だけ変異してやがるけど良く見るとコイツ、冴賢に殺された俺の先輩じゃねえのか? まあ、どうでもいいか。
もう一体も高校生みたいな感じだな。
コイツも何処かで見た事がある感じもするが思い出せねえ。
もう一体はゴツい男だ。
手足が欠損して生えてきた感じの体だが、相当の猛者だろう。
最後の一体は婦人警官の格好をして顎が割れた女だ。
コイツらは特別強力なマンイーターだ。
差し詰め俺様の闇の軍団の将軍ってところだな。
俺はコイツらの定義をジェネラルとし、それぞれアルファ、ベータ、ガンマ、デルタという固有名をつけ、各人に20体ずつのマンイーターと無数のゾンビを配下として与え、冴賢のイメージを頭に送り込んで捜索を指示した。
冴賢のイメージを送った後のコイツらの反応は凄かった。
俺様も含めて冴賢に関係してる奴、アイツを憎んでいる奴に力を与えているというところか。
あの邪悪な神達のやりそうな事だ。
まあいい。
俺はアイツをぶっ殺して、この世界の全てを破壊し尽くしてやるんだ!
四章はこの138話で終わりとなります。
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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ありがとうございます。
この場を借りましてお礼を申し上げます。
ゲーミングPCを買ってしまった事もあり、かなり執筆のペースが悪くなってしまっているのですが、ギリギリまで毎日投稿するつもりですので、閑話を二話はさんで五章も続けての公開となります。
但し、これまで閑話はおまけとしてアップしていましたが、今回は分量があるためこれも一話として扱い、二日間は閑話だけの公開となりますので、ご了承下さい。
感想欄ですが今のところ執筆後までは閉じる方針です。
申し訳ありませんが、ご了承下さい。
最後に、舞台が現代日本である以上、知っている組織や団体の扱いで面白くないと思われる面も多々あるかと思いますが、私自身どこか特定の団体を誹謗中傷する意図はありません。
あくまでこれは物語ですので、申し訳ありませんがその辺りはご容赦いただければと思います。
引き続き、よろしくお願いいたします。