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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
四章 闇の鼓動
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第133話 決意の表明

僕は荒井家と親しいグループに夕食に集まるように声を掛けた後、ママと食事会の準備を終え、この旧ホワイトフォートの扱いと残されてゆく人々について、パパと時折アイジスも交え、短い時間だけどすり合わせを行なった。


そして夕食時、新井家と親しいメンバーがパパの家に集まった。


お正月の様にテーブルをいくつか用意して、オードブル系の料理をいくつか出して皆が少しずつ取ってたべられる様、ビュッフェ形式にした。


但し重要な話し合いの場なので、お酒は無く飲み物はお茶かジュースだ。

皆が揃った感じになり、パパが立ち上がって周囲を見渡してから話す。


「みんな、良く集まってくれた! 今日は小さい子供もいるので食べながら聞いて欲しい! お腹が空いている子供達には遠慮せず先に食べさせてやってくれ」


早苗ちゃんと虎太郎さん達は、早速子供達や妹に料理を取り分けてあげている。

光司君も美久ちゃんに食べて良いと合図を送る。


そんな中、パパとママが揃って前に出る。


「まずは今回の選挙での敗北を謝罪させて欲しい! 済まなかった!」


パパとママが揃って皆に頭を下げる。

それを見る子供達以外の皆の顔は悲痛だった。


「特に選挙運動に協力してくれた川上先生、小谷さん、平坂さん、力を貸していただいたのに、負けてしまい申し訳ありませんでした」


パパとママが再度三人に向けて頭を下げる。


「いいえ、そんな!」

「いえ!」

「どうかお気になさらず……」


川上京子先生、小谷静香さん、平坂家の母がそれぞれ応える。


「今回の事は俺の、というか荒井家の痛恨のミスだ。色々な事が重なった結果とは言え、ホワイトフォートは日本政府寄りの勢力に乗っ取られて、俺達一家は追放されるのだからな。もはや相手を皆殺しにでもしない限り逆転は出来ない。だが、もちろんそんな事はしたくないから、俺達荒井家は素直にここを出る事にした。ここに居る皆には、ここホワイトフォート改め坂部市に残るか、俺達と当てのない旅に出るかを決めて欲しいと思っている」


ここでパパが僕に合図を送って来た。

僕は事前にこの坂部市が、僕がいない状態でどのようになるかを説明する。


「まず僕達が居なくなった後ですけど、街を囲うバリケードは既に固定してあるのでそのまま使用出来ると思います。このバリケードは何者にも破壊は出来ないはずです。僕達が出る時に出口を作ることになるので、それさえ突破されなければこの坂部市は自衛隊もいますし防御面では安全だと思います。但し、白蛇さんの祠は回収して行きますので様々な加護は失われるでしょう。その結果、感染者の発生による内部崩壊の危険性が無いとは言えません」


「次に、既に今使っている住宅に固定してある電気や水道もそのまま使えると思います。これらは僕の超能力を消費している訳では無く、アイジスに聞いたら世界そのもののリソースを使用しているらしいので。但し、リソースを消費し続ける物は永続ではなくて期限というか最大量があるらしく、いつまで使用出来るかわからないのと、新規の固定化は僕しか出来ないので新しく増やす事は出来ません」


「食料等の物資ですが、これは賛否両論あるかと思いますけど1,000人が一年ほどは暮らしていける量の物資を残して行くつもりです。まだ何をどのくらい残すかは決めていません。殆どが長期保存できるお米等になるかと思いますけど、後は冷凍物や缶詰などですね。生鮮食品は置いていけないですが、鶏はここに置いてゆくことになるので少量の卵は食べられると思います。シャンプー、石鹸などの生活必需品も相当数残して行くつもりです」


「後は洋服や靴などの日用品、喘息などの薬、消毒薬や飲み薬、抗生物質、包帯などの医薬品も相当量を置いてゆくつもりです。今ある学校の教材などもそのまま置いていきます。燃料に関しては入れ物も無いので置いて行くことは出来ないでしょう。これで残る人達もしばらくは今と変わらない生活が出来ると思います」


僕は説明を終えてパパに合図する。


「という訳だ。いささか人が良過ぎる感もあるんだが、コイツが残してゆく人々を凄く心配していてな。ある程度は後から再生産も可能だという事だし、ここに残せる物は残してゆく事にしたんだ。自衛隊もいるし、後は日本政府の頑張り次第でここも何とかなるだろう。状況は分かってもらえたと思うが、我々荒井家は三日後の昼にここを去るつもりだから、各自それまでに対応を決めてもらいたい」


「私は当然、冴賢くんと一緒に行くわ! 何処までも一緒よ!」

「私と秀彦もよ! 冴賢くんから貰った命だもん!」


明日奈さんと莉子さんが真っ先に同行を申し出てくれる。

僕は二人と真剣に頷きあった。


「俺は外で暴れる方が性に合っているからな。大将に着いていくぞ!」

「僕達ももちろん一緒に行きますよ!」

「うん! 美久もひさとお兄ちゃんと一緒がいい!」


虎太郎さん、光司君、美久ちゃんも同行してくれる様だ。

僕は三人とも頷きあう。


「僕達のグループも同行します! ここに来る前に皆で話し合って決めていました!」

「平坂家も同様です。荒井殿、冴賢殿には返しきれない恩がございますので」


明人君のグループと平坂家の母が同行を宣言した。

明人君は明日奈さんの弟だから一緒に来てくれると見込んでたけど、平坂家とは付き合いの日も浅いので、てっきりここに残るのかなと思っていた。


だけど僕達に着いてきてくれる様だ。

サイコ武器を扱える綾音さん茜さんの戦力も大きいので、これは嬉しい誤算だ。


「私とこの子達も一緒に行きます! 他の大人達は私達を助けてくれないし」

「うん行くよ!」

「お兄ちゃん優しいもん!」

「「もぐもぐ」」


早苗ちゃんと子供達も来てくれてる様だ。

小学生組も賛成してくれている。

幼児組は食べるのに夢中みたいだけど、この子達は大切な未来の希望なんだ。


「私も隊長とご一緒させていただきたいと思っています。他の生徒には、これから希望者を募ってみます」

「私も生徒達が行くのであれば、ご一緒させて下さい」


細井悠里さんと川上京子先生もだ。

僕は二人にも頷いた。


「私も是非一緒に行きたいと思います。店舗や食堂の者にも声を掛けてみます!」


小谷静香さんだ。

彼女は武装グループの被害女性を纏めてもらっている。


「みんなもうほぼ決まっているみたいだな。ありがとう。念の為、他の者にも声を掛けて希望者を募る予定だ。各自、出発の日まで準備を行っておいて欲しい。どの様な移動手段になるかは追って説明を行なうつもりだ」


皆が決意を込めた表情で頷き、その後は普通に宴会となるのであった。


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