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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
四章 闇の鼓動
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第131話 ホワイトフォート代表選挙

1月22日、ホワイトフォートの掲示板に代表選挙を行う旨の告知がなされた。

期日は一週間後で、以前の日本と違って未成年でも選挙権を持つ事とされた。


代表選挙に出るのは僕のパパと、坂部避難民グループをまとめる坂部さんだ。

パパと坂部さんの一騎打ちという形になる。

この間は救助隊の救助活動も一時停止となった。


パパは日本政府の統治者としての介入は認めず自衛隊の駐留も認めない、ホワイトフォートを独立領とする方針だ。

武力も守備隊や救助隊などを将来的には拡充し、独自に発展して行く事となる。


片や坂部さんは日本政府を受け入れ、東北地方での自衛隊の拠点となる事を良しとして、ホワイトフォートを政府に従属させる方針だ。

実質的に政府の言うことを聞く事になるけど自衛隊の武力で庇護されるとの事。


ホワイトフォートの全住民に、どちらが良いかの是非を問う事にも繋がってくる大事な選挙となる。

公示から一週間、パパと坂部さんは街の中央広場などで演説を行なった。


パパには診療所の川上京子先生、集約店舗で働く小谷静香さん、書道や華道教室の先生である平坂家母の絹江さんなどの大人が応援に付き添い、住民の方に今後のホワイトフォートのあり方についての説明を行なっていった。


具体的には逐次バリケード壁を拡張して田畑を増やしつつ畜産なども始め、やがて東側の海を領内に取り込み、ゾンビとなっている感染者を退けながら人口十万都市を目指すという物だ。

僕の超能力があれば実現する可能性はかなり高い案だろう。


坂部さんには日本政府の高官や防衛副大臣、幹部自衛官が応援についた様だ。

パパと入れ替わる様に演説を行い、日本政府や各地に残る自衛隊の庇護を受けられる利点などを重点に住民に説明していっているみたいだ。





ーーーーー





僕が見た感じでは、かなりパパの旗色が悪いように感じられた。

やはり元々僕達は日本国民だから、日本政府を受け入れるのが自然だと感じるからだろう。


自衛隊も災害救助などで国民の受けも悪くなかったし、パンデミック下においても素行の悪さは無く、ただ政府の命令に従って動いているだけだ。


僕達は例え日本政府を一時的に受け入れたとしても、世界はもう以前の様には戻らないのだから上手くいかないのを知っている。


だけど全員が白蛇さんの言葉を知っている訳では無い。

言っても信じない人が大半だろうし、今からそれを伝えても選挙対策だと取られてしまうだろう。


しかし皆はこの安全なバリケードの中で、大多数は政府に見捨てられていた事を忘れてしまったのだろうか?


僕と同じ様に旗色が悪いのを感じた救助隊のみんなが、救助活動で助けた人達にお願いに回ろうかと提案してきたけど、パパはそれを丁寧に断った。


「ありがたいが、それじゃあ自由意志じゃなくなるんでな。どの様な結果になろうとも選挙を行なうと決めた以上、反則の様な真似はしたくない。ははは、俺はやっぱり政治家向きじゃないな!」


そう言ってパパは自虐的に笑うのだった。





ーーーーー





最終日三日前になって僕達救助隊のところに坂部さんがやって来て、僕達全員に日頃の救助活動のお礼をしたいと握手していった事があった。

また、食堂や集約店舗、治療院に訪問した事もあったようだ。


その後、悠里さん麾下の高校生達からの情報では、坂部さん側が僕達救助隊との握手写真を使って凄く懇意にしているとか、食堂とか治療院とかで物資を自分達が運んでいる写真を撮り、あたかも坂部さん側が物資を調達していると住民に誤解させる様な事までやっている様だった。


「流石に向こうは選挙のプロだな……どんなに汚い手でも使うか。まあ選挙戦に持ち込まれた時点で戦略的には負けているも同然だからな」


パパは何か凄い逆転の手でもあるのか、最近は選挙活動そっちのけで地図とにらめっこしている時間が長い様だった。





ーーーーー





そして選挙の投票日がやって来た。

開票は即日行われるので、今後のホワイトフォートの代表の決定日でもある。


事前に両者が取り決めた通り、パパと坂部さん側で五名ずつ計十名が選挙管理委員として互いに監視し合いながら投票を見守る。


朝から始まった投票はお昼頃には終了し、午後に選挙管理委員が開票して午後三時には結果が公表された。


〈開票結果〉

・パパ 304票

・坂部さん 687票

・棄権を含む無効票 13票


予想通りというか、パパは代表選挙で負けてしまったのだった。


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