第126話 年明け後の集落
楽しいお正月後、僕の超能力を知っている主要なメンバーを集め、白蛇さんから聞かされた内容の共有会を開いた。
子供や代表者以外を除くので、具体的なメンバーはパパ、ママ、僕、明日奈さん、莉子さん、光司君、早苗ちゃん、明人君、虎太郎さん、悠里さん、川上京子先生、小谷静香さん、平坂家の母、綾音さん、茜さんの15人だ。
「皆集まったな、ここでの会話は他では一切喋らない様にしてくれ。冴賢、じゃあ聞かせてくれ」
僕はパパに促され、この前白蛇さんから聞いた話を掻い摘んで報告した。
「特殊な変異体、それに正体不明の神か……これはやはり早急にホワイトフォートの武装強化が必要だな。恐らく例の感染者の大群と複数の変異体の件とも繫がりがあるんだろう」
「怖いわね……」
「そうね……」
パパが渋い顔で考え込む様に言い、莉子さん、明日奈さんは怯えた様に話した。
「まあ、なる様にしかならないな。敵が来たら戦うだけだ」
「そうよね。私達にもサイコ武器があるんだし!」
虎太郎さん、茜さんが雰囲気を変えるためか軽い感じで話すけど、二人からは何があろうとも自分達でホワイトフォートを守るという意思が感じられる。
「私達も闘えますし、冴賢殿さえ健在であれば何者が来ようとも問題無いかと思います」
「私もそう思います」
それを肯定するように綾音さんと悠里さんも賛同し、その他の皆も頷く。
特殊な変異体の件については、一旦様子を見て近いうちにバリケードの拡張と強化をしようという結論になった。
それと僕は精神感応についてと、アイテムボックスが実は神器であり、アイジスという固有の名前を与えた件についても話した。
「……という訳で、アイジスが今まで僕を陰ながら補助してくれていたみたいなんだ」
「神器か……何か凄いな。俺達は話せないのか?」
僕はパパに無理だと言おうと思ったんだけど、その時頭の中でアイジスの声が響いた。
(皆様、初めましてアイジスです)
「「「「「 ! 」」」」」
「声が聞こえたぞ!」
「私もっ!」
「俺もだ!」
「私もです!」
僕以外の皆もアイジスの声が聞こえた様で驚愕している。
(マスターの精神感応能力を経由して皆様に話し掛けています。直接的な声でも精神感応経由でも私には認識可能ですので、御用の際はお声掛け下さい。そして、私の事はアイジスとお呼び下さい)
「何ともまあ凄いな……アイジス、よろしく頼む」
「アイジスちゃん、よろしくね!」
「よ、よろしく……」
パパ、明日奈さん、莉子さんが応える。
「アイジスちゃんね。仲良くしましょ」
「私も私も! アイジスさん、よろしくねっ!」
「アイジス殿、よろしくお願いいたします」
「……よろしく」
「「「アイジスさん、よろしくお願いします」」」
ママ、茜さん、綾音さん、虎太郎さん、その他の人達もアイジスに応えてくれる。
これでアイジスも僕達の仲間だと認識してくれればと思う。
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その後、僕達救助隊は活動を再開し、半月ほどの間に壁外から助けを求めて受け入れた人達と合わせると、ホワイトフォートの住民は1,000人を超えることになった。
パパが管理している住民台帳によると内訳は以下のような感じだ。
・真理と家族を含む集落の元からの住民205人
・荒井家および親しい少人数グループ(パパ、ママ、玲奈、僕、明日奈さん、莉子さん、秀彦君、光司君、美久ちゃん、早苗ちゃん達5名、明人君達9名、虎太郎さん、鈴花ちゃん、平坂家4名)29人
・壊滅した真里の元避難所の人達(第一〜第八班)101人
・小谷静香さん達武装グループから救出した女性達(第九班)の21人
・細井悠里さん達の高校生と先生の48人
・坂部避難民グループの328人
・バリケード内にいて合流した住民と外から救出した避難民の274人
正月を挟んで、段々と坂部避難民グループの人達も落ち着いて来ている様子なので、一部の人達にはパスを発行して買い物が出来る様になっている。
パスとはいっても今は買えなくなった物に名前を書いた簡単な物だ。
これからも平和な集落であって欲しいと思う。