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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
四章 闇の鼓動
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第125話 集落でのお正月

「「「 明けましておめでとうございまーす 」」」


「おう、来たな。明けましておめでとう! 上がってくれ」


1月1日朝、僕は明日奈(あすな)さん、莉子(りこ)さん、秀彦(ひでひこ)君を伴って、パパの家に新年の挨拶に来ていた。

ママや玲奈(れな)にも挨拶し、皆でおせち料理を食べる。


少しすると、光司(こうじ)君、美久(みく)ちゃん、早苗(さなえ)ちゃん達、虎太郎(こたろう)さん、鈴花(すずか)ちゃん、明人(あきと)君達の中学生組も予定通りやって来たので、部屋のふすまを外して大きいテーブルをいくつか出して皆でおせち料理を囲む事になった。


おせち料理のセットを追加で出して皆でつついている間に、ママと明日奈(あすな)さん、莉子(りこ)さんでお餅を焼いたりしてお雑煮を作ってくれる。


ママ曰く、もう二人ともうちにお嫁に来たような物との事で手伝わされているんだけど、明日奈(あすな)さんも莉子(りこ)さんもそれを聞いて凄く嬉しそうだった。


美久(みく)、栗きんとんの栗ばっかり食べちゃ駄目だぞ!」

「え〜いいでしょ! この栗が美味しいの!」


美久(みく)ちゃんがいつもの様に光司(こうじ)君にたしなめられているけど、兄妹で不平を言い合えるのも平和だからこそだろう。


「ほら、これを食べろ」

「うん」


虎太郎(こたろう)さんは妹の鈴花(すずか)ちゃんを甲斐甲斐しくお世話している。

普段はぶっきらぼうな虎太郎(こたろう)さんだけど、本当は凄く優しくて面倒見が良いんだ。


明人(あきと)達、お雑煮出来たよ〜」


明日奈(あすな)さんが明人(あきと)君達のテーブルにお雑煮を運んで来た。


「ありがとう、姉さん! しかし、皆でこんなに平和なお正月を迎えられるなんて、避難所にいる時は全然思わなかったよ!」

「本当にそうよね。まるで夢みたい」

「ああ、俺達は凄えラッキーだぜ!」

「ホント、ホント! みんな食べよう〜!」


明人(あきと)君と彼女の柚葉(ゆずは)さん、赤羽(あかはね)君と彼女の(みどり)さん、仲間の他の中学生組も良い正月を迎えられたようで喜んでいる。


「は〜い、こっちにもお雑煮だよ〜」


今度は莉子(りこ)さんが光司(こうじ)君達と早苗(さなえ)ちゃん達のテーブルに、お雑煮を持って来てくれる。


「ありがとうございます!」

「美味しそ〜」


光司(こうじ)君と美久(みく)ちゃんがお雑煮を見て目を輝かせる。


「みんな、熱いからふーふーしてから食べてね。陽翔(はると)君と(こよみ)ちゃんは、私がふーふーしてあげるからね」

「うん! ふぅーふぅー」

「は〜い! ふぅーふぅー」

「おいちそう」

「たべたい」


小学生の武史(たけし)くんと(ひかる)ちゃんは自分でお雑煮をふーふー出来てるけど、早苗(さなえ)ちゃんはまた幼児達のお世話で忙しそうだ。

でも、これはこれで嬉しい忙しさなのかも知れない。


「こっちもお待たせ〜。さあ、明日奈(あすな)ちゃんと莉子(りこ)ちゃんも食べましょ! 秀彦(ひでひこ)君も、玲奈(れな)も!」


最後はママが僕達のお雑煮を持って来てくれる。

僕達は美味しいお雑煮を笑顔で味わって食べるのだった。





ーーーーー




その後、皆で白蛇さんの祠にお参りに行った後、パパと僕は続々と挨拶にやって来る人達の対応に追われた。


集落に元からいた人達や、平坂(ひらさか)家の人達、細井悠理(ほそいゆうり)さんと川上京子(かわかみきょうこ)先生、小谷静香(こたにしずか)さん、武田(たけだ)さん一家など、入れ替わり立ち替わりでの挨拶だ。

余談だけど、僕と真理(まり)は直接目言葉を交わす事は無かった。


坂部避難民グループの代表の坂部さんと副代表の奥田さんも挨拶に訪れ、年末の不始末を詫びてきたんだけど、追放の件についはパパは考えを曲げなかったので、坂部さんは肩を落として帰って行くのだった。



お昼頃になり、僕達は街の中央広場で餅つき会を行なって、出来立てのお餅や正月に遊べる子供用のおもちゃ等を配っていった。


ママが餅米を炊いてくれて、炊きあがった餅米を僕と虎太郎さんが杵でつく。

明日奈さん茉莉さんがパパに教わりながら良いタイミングで返しを入れてくれる。


お年寄りはその光景を懐かしそうに眺め、子供達で希望する子には介助しなかがらだけど、餅つきを体験してもらった。


僕と同じ救助隊のメンバーである細井悠理(ほそいゆうり)さん、平坂綾音(ひらさかあやね)さん、平坂茜(ひらさかあかね)さんが、熱々のお餅をきな粉餅、醤油餅、餡ころ餅に仕上げ、住民に配ってゆく。


光司君や明人君達が羽子板セットや独楽など、お正月用のおもちゃを子ども達に配布し、子供達は古き良き遊びを楽しんで笑顔を見せていた。


僕は皆のこの笑顔を守ってゆこうと改めて誓うのだった。


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