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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
四章 闇の鼓動
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第123話 日本政府の視察

「冴賢、早まるなよ。相手は生きた人間なんだ。自衛隊員だって命令に従っているだけだ。直ぐに殺して良い訳じゃないんだぞ」

「うん、わかってるよ……」


パパが僕の肩に手を置いて、冷静な声で僕にだけ聞こえる声で話す。

僕は怒りで頭に血が登っている状態だった事を自覚して返答した。


パパは直ぐに向きを変え、政府の人達に告げる。


「ここホワイトフォート内を見たいと言うなら見せても良いが、人数は四人までにしてくれ。俺の車に乗れないからな。あとこの集落内にゾンビはいない事は保証するから、許可なく発砲はしない様にな!」


「権限の無い民間人の指示は受け入れられない!」


上官の男が険しい顔でパパを睨みながら話した。

自動小銃で武装しているんだ、武力では自分達の方が上だと思ってるんだろう。


「冴賢、あの木だ。そうだな……雷を落とせ。もし燃えたら消火してくれよ」

「うん、わかった!」


パパが一本の木を指して僕に力を見せるように言った。

スーツ姿の男女や自衛官達はパパが何を言っているかわからないようだ。


(ズゴゴゴオオオン!!)


僕はパパの指示により電操能力(エレクトロキネシス)で木に雷を落とした。

中空に現れた雷が真下にある木を直撃し、木はパチパチと燃え上がった。

燃えてしまったので水操能力(アクアキネシス)念力(サイコキネシス)で木を氷漬けにして直ぐに消化する。


口を開けて唖然とする政府の人と自衛官達。

パパが追い打ちを掛けるように自衛官達に告げる。


「大人しくしないと、次はそのヘリに雷を落とすぞ。お前達、ゾンビだらけの中を歩いて帰りたいか?」


自衛隊の上官が驚愕した顔で、小さく首をフルフルと横に振るのだった。





ーーーーーー





「えっ! 何ですか、この品揃え!」

「卵や牛乳まであるじゃないか! それに冷蔵庫が使えている!」


僕達はまず、集落にある集約店舗に政府の人達を案内した。

後ろには自衛隊の上官と隊員一名が護衛として着いてきている。


「卵は集落の養鶏場でも採れるが、牛乳とかは秘密だ。それ以外にも肉とか魚、もちろん米もあるし、畑から採れた新鮮な野菜もあるぞ。今のところ住民達には無料で配っている。もう金なんか意味がないからな」


パパが政府の人に少し辛辣に説明する。

政府の人達は品揃えや、動作している冷蔵庫を見て驚愕しているようだった。

続いて洋服や下着類、生活用品、雑貨などもあるところを見て、さらに驚く。


「ここには街に残っていた物を集めて置いてある。バリケードで囲ってからは安全になったが以前は命懸けで集めたもんだ。お前達の様に銃なんか持ってなかったんでな」


パパが最後は自衛隊の上官を睨んで説明した。

上官は嫌みだとわかると、ばつが悪そうに下を向いた。





ーーーーー





「ここは集落の者が無料で利用できる食堂だ。無法状態で虐げられていたところを助け出した女性達が頑張って運営してくれている。メニュー数はそんなに多くないが、カツ丼、親子丼、ラーメン、カレー、うどん、蕎麦、ハンバーグ、餃子、生姜焼きとか主要な外食メニューはいつでも腹いっぱい食べられるぞ」


「そんな……」

「凄い……」

「「……」」


またもや政府の人達は驚いていて言葉も段々少なくなってきているけど、写真だけは撮り続けている。


自衛隊の護衛は言葉も出ない様だ。

それとも声を出さないようにしているのかな?



「ここは高校生達が運営しているパン屋だ。注文すればピザとかも焼いてくれるし、ここで焼いたパンは学校給食にもなっている」


これで食堂、パン屋も終わったので、次は学校だ。

僕たちは白蛇学園の前まで車で移動した。



「ここは白蛇学園という学校だ。ここではいくつかのコンテナハウスに別けて、幼児から中学生までの義務教育を行っている。教育は大切だからな。そこの冴賢もそうだが同じ高校生が何人かいるんで教師になってもらっている。それから昼食にはさっきのパン屋が卸してくれたパンをメインとした給食も出しているぞ」


政府の人達はふんふんと頷いている。

まあ学がある人なら教育の大切さはわかるだろう。


後は、美容院、治療院、田畑や井戸、川などを説明し、最後に土壁のバリケードを説明した。



「ここがバリケードにあるゲートの一つだ。このバリケードは戦車でも破れないほど強力な物だ。詳しい説明は出来ないが、元は土とだけ言っておこう。ゲートの外側に一時避難場所を設けて随時、避難民の保護も行っている。怪しい奴は入れないがな。以前ここに来た自衛官は追い返した」


夕食前に一通り集落の説明を終えた僕たちは、パパの車で政府の人達をヘリの場所まで送って行った。





ーーーーー





政府の人と自衛隊は今日は集落に泊まるという事だったので、パパが自衛官達には今夜に限り食堂を利用する許可を出した。


自衛隊員達は美味しい物を食べるのが久々だったのか、ラーメンやカレーライスを大盛りにして貪る様に食べていた様だ。


パパと僕も栗山(くりやま)さん、大河内(おおこうち)さん達と食堂で食事しながら話し、基本的には日本政府および自衛隊の駐留などは拒否する旨を伝えた。


ここホワイトフォートは日本政府や自衛隊に頼らず、独自に暮らしてゆくと。


そして翌朝、朝食後に政府の視察団とも呼べる者達は自衛隊のヘリで拠点に帰っていった。


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