表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
四章 闇の鼓動
119/220

第116話 明人君の頼み

僕達の集落の名前はホワイトフォートに決まり、パーティの次の日には集落の回覧板や掲示板で一斉に告知が行なわれた。


正式に名前が決まった事で皆が良い方向で結束し合い、より一層助け合って生きてゆければと思う。


ホワイトフォートの代表がパパなのは変わらないけど、何か重大な決定については住民投票や、必要があれば代表選挙を行なう事も合わせて告知が行われている。


それは完全な独裁体制になってはまずいからとのパパの判断だったけど、今後の政治体制についてはおいおい考えて行ければ良いかなと思ってる。





ーーーーー





壁の外で活動する救助隊の人数も最初は僕だけだったけど、もう僕を入れて五人になった。


僕以外のこの勇敢な四人は壁の外では常に危険と隣り合わせとなるけど、なるべく無事でいて欲しいと願っている。

その為、全員にライダースーツを支給して防御力を高める努力はしているけど、大勢の感染者に囲まれたりするとかなり危ないだろう。


特に遠距離担当の悠理さんとかは背後から襲われないかと心配になってしまう。

僕はこの課題を解決するために超能力で何とか出来ないかとずっと考えていた。

白蛇さんも念力(サイコキネシス)はいくらでも応用が出来るといっていたはずだ。


「武器が作れるのに、バリアとか張れないの?」


莉子さんの疑問のようなアドバイスで、僕は念力(サイコキネシス)を纏わずに独立して存在させる訓練を行なった。

確かに武器が作れるなら壁や球状など、囲うように強度のある念力(サイコキネシス)を発生させればバリアみたいになるだろう。



それから救助活動の合間に修行をして何日か掛かったけど、何とか使えそうなそれをモノにする事が出来た僕は、それをサイコバリアと名付けた。


サイコバリアは一旦張って何もしないでも一時間ぐらいは残っているようで、もちろん僕の意思で直ぐに消すことも出来る様だった。

感染者で少し実験してみたところ、サイコバリア内には例え何体であっても侵入する事は出来なかったので、感染者から人を守るにはかなり有効な様子だった。


また、救助隊の皆にも試してもらっているうちに、超能力で作ったサイコ武器を持って念じるだけでも、凄く薄い膜のような感じで同じ様にサイコバリア的な物が張れる事もわかった。


但し、サイコ武器の場合はバリアというよりも纏うという感じであり、まさかとは思ったけど身体能力が通常よりもかなり向上している様子だった。

僕ほどではないけど、力が増したりジャンプ力が上がったり、移動速度や反射神経が速くなったりとした効果もある様子。


その代わり防御面は最初から硬いサイコバリアよりも数段劣るようだ。

まあ纏ったまま動ける方が機動力を確保出来るので、救助隊としてはこの方が良いのかも知れない。


何にせよこれで救助隊の機動力や攻撃・防御力が飛躍的に高まる結果となった。

そんな中、明日奈さんを通して明人君達からの依頼が舞い込んで来たんだ。





ーーーーー





「じゃあ、避難所に残してきた学校の仲間を迎えに行きたいという事?」

「はい。一緒に学校から避難所に逃げて来た仲間なんで、出来ればホワイトフォートに迎え入れてあげたいんです……」


それは以前、明人君達を避難所に迎えに行った時、着いてくるのを断わった仲間をここに迎え入れたいという相談だった。


「でも前回迎えに行った時には断られているんでしょ?」

「それは……あの時は冴賢さんの力も知らなくて、ある種賭けの様な感じだったんで強くは言えなかったんですよ。でも、今なら説得出来る自信があるんです!」


「冴賢くんお願い。明人達の願いを聞いてあげて」


明日奈さんからも手を合わせて頼まれる。


「う、うん、もちろん。ただ……あそこでは最後に少し暴れちゃったので、僕は顔を出せないかも知れないね……」


「はら、ふぉれがふいてふぃってやふよ(なら俺が着いて行ってやるよ)」


「……虎太郎さんが来てくれると言ってるみたい」

「本当ですか!」


明人君が虎太郎さんが来てくれると聞いて喜ぶ。

確かに虎太郎さんが着いていてくれれば安心かも知れない。


虎太郎さんは、今日たまたま鈴花ちゃんを連れて家に遊びに来ていて、好物の大きな羊羹を口一杯でモグモグしながら名乗りを上げてくれたんだ。


「じゃあ、これからパパの許可を貰っておくから、明日の朝から迎えに行こう! 虎太郎さん、よろしくお願いしますね。鈴花ちゃんはその間、実家で面倒見ますから」


「(ごくん!)ああ、明日だな。わかった」


「ありがとうございます!」

「冴賢くん、ありがとう! 虎太郎さんも、ありがとうございます!」


明人君は仲間を迎えに行けると聞いて本当に嬉しそうだ。

もしかしたら、ずっと悩んでいて言いだせなかったのかも知れない。

僕としても若い力が増えるのは大歓迎だし、明人君達の親しい仲間なら尚更だ。


だけど、あの避難所には良い思い出が無いし、僕と敵対した警官達もいる。

穏便に済めば良いんだけど……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ