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サイキック・オブ・ザ・デッド  作者: ぴっさま
四章 闇の鼓動
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第109話 自衛隊員の訪問

僕達が休日としている日に、バリケードに設けたゲートを監視している守備隊の人達から僕とパパに連絡があった。


基本的に壁の外から来た人の対応は守備隊とパパで行っていて、中に入れる時だけ僕が呼ばれるシステムになっている。


もし助けを求める人が来た場合、ゲートの脇にかんぬきでロック可能な小部屋が用意してあるので、そこで安全に待機できる様にしてある。


どうやら今回はやって来た人が特殊みたいだった。





ーーーーー





「お待たせしました。この集落の責任者の荒井です。何か御用でしょうか?」


パパはゲート横の少し開けられた穴から話し掛けた。

僕も横に立って透視(クレアボヤンス)で壁越しに彼らに目を向ける。

何か変な動きがあればサイコアクセルを発動して僕が直ぐにパパを守れるだろう。


迷彩服にプロテクターを付けて小銃を保持した自衛隊員と思われる五人が、壁の外側に立っていてこちらを見上げる。

うち三人は会話には参加しないスタンスで周囲を警戒している様だ。


「我々は陸上自衛隊員で、この辺りを調査してる者です。ここを開けて壁の内側に入れて貰えませんか?」


自衛隊員は全員男性で、その中でも一番年配の隊員が話した。


「申し訳ないが中に入れる事は出来ません。パンデミック以降、我々は独自に生活しているので。今後も含めて戦力的な助けも不要です」


パパが少し冷たい感じで断ると、何やら小声で相談している様子だった。

少しして先程の年配の隊員がまた話した。


「この土壁は一体どうやって築いたんですか? 街を全て囲っている様ですが」

「土木工事ですよ。他に手段がありますか?」


僕の超能力を知られる訳には行かないのでパパが誤魔化す様にそう言った。

隊員の中にはサンプルを取りたいのか、軍用ナイフで壁を削ろうとしている人がいたけど、土は固定してるから刃が通らなくて苦戦しているみたいだった。


「荒井さん。とにかく中に入れてもらわないと調査が出来ないんですよ。我々は日本政府の指示で動いています。日本国民であれば従う必要があるんです! 後で罪に問われる事になりますよ?」


「何を言ってる。もう政府だってロクに機能してないはずだ。後でもクソもあるか! 国民を守るのが政府の義務なのに、それをしないで権限だけを振りかざすんじゃない! こっちだって何もわからない子供じゃないんだぞ!」


「……」


無言でこちらを見つめる自衛隊員達。

こちらを言葉で少し恫喝したつもりが正論で返され何も言えなくなったみたいだ。

自衛隊員は言葉を間違えてしまったという後悔の見える表情だ。


「もう二度とここには来るんじゃないぞ。無理に入ろうとすれば実力で排除する」


パパがそう自衛隊員達に告げ、話は打ち切りになった。





ーーーーー





確かに義務を果たさないで権利・権限だけを主張する事は出来ないだろう。

自衛隊の人数は限られてるし日本国民の全てを救う事は出来ないのもわかる。

仮に全員を保護出来たとしても全員を食べさせてゆく事はきっと出来ない。


だけど恐らく政府や高級官僚などの要人は真っ先に保護されているだろうし、その他大勢の一般人達の多くが見捨てられたのは確かだ。


パラパラと避難先に少人数の自衛隊員がいた事はあったけど、首都圏に大規模な治安出動をしたという話は、どの避難所でも聞いたことが無かった。


白蛇さんが言っていた様に、これからこの世界の大部分は終わりを迎える。

僕のように神の加護を与えられでもしない限り、生き残るのは難しいだろう。


この半年弱で多分だけど世界人口の八割ぐらいは失われたんじゃないかと思う。

まだまだパンデミックは終息していないけど、後に残された僕達はこの神様に与えられた素晴らしい命を大切にして、助け合って生きてゆくしかないんだ。


そこには旧態依然とした組織や体制は不要だし、政府などはその最たるものだ。

政治は僕には良くわかっていないけど、パパは日頃から政治家もとい政治屋と化した者達を蔑んでいたはずだ。


選挙の時だけ補助金などのバラ撒きや甘い政策を囁き、それが過ぎると自分達や特定の団体、富裕層のみを優遇するための政治を行なう。


そのような人やそれに連なる人達とは、今後もなるべく関わり合いにならない方が良いと思う。


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