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忘却ノ世界  作者: しんしん
1/11

プロローグ

——結局、世界なんて簡単に壊れるモノなんだ。

——世界が壊れた理由は色々あった。

——様々な不祥事が重なり合って、

——そうして……、

——世界は簡単に壊れた。


一説には


——戦争が起きた。

——開戦の引き金は些細なもので、隣国同士の領土問題の悪化。

——しかし、その小さな火種は各地へ飛び火し、拡散し、隣国から隣国へ……。

——気が付けば世界規模の戦争となっていた。

——第三次世界大戦の始まりである。

——そして、ある国が長き戦争に終止符を打つべく核兵器を戦争に投入した。

——世界の歯車はここで狂った。

——人間の想像をはるかに超える威力を有した破壊兵器は、終わるはずだった戦いを助長することとなる。

——国が焼かれ、生物の命を一方的に奪う死の権化は、人間が扱うにはあまりにも強大すぎたのだ。

——それでも人間は、核兵器を使うのをやめなかった。

——なぜなら、それが一番効率的だったから。敵を国ごと焼き払う、それが一番簡単で、迅速な終戦への道だと信じたから。

——しかし、戦火はとどまるところを知らず、むしろ拡大していった。

——そして世界は、完全なる核戦争へと突入していく。

——そうして……、

——世界は崩壊した。


一説には


——ある日、爆発が起きた。そこは大国の研究所だった。

——近年発見された殺人ウイルスのワクチン製作研究所。

——爆発の原因は煙草の不始末。

——よくある火災の原因だった。

——爆発により蔓延した殺人ウイルスは人々を悉く殺していく。

——しかし、世界各国の対策は遅かった。

——何故なら、その大国はウイルス蔓延の事実を隠蔽したから。

——人が正体不明のウイルスで死んでいく。

——各国が対策会議を開いたころにはもう完全に手遅れだった。

——ウイルス研究を行っていた大国が輸出入大国であったこともこの地獄を加速させる引き金となった。

——そして、大国内、隣国、またまた隣国へとウイルスは殺人を繰り返す。

——目には見えない死の化身はあっという間に世界に広がった。

——そうして……、

——世界は崩壊した。


一説には


——ある日。とある国の宇宙研究者は地球に接近する小惑星を望遠レンズに捉えた。

——これを公表したが世間の反応は冷たかった。

——「嘘だ」「気を引きたいだけのじじいだ」「結局地球とぶつかることなんてないんだから」

——など。否定的で楽観的な意見がネット上に溢れる。

——確かに、小惑星が接近しているだけで地球と接触するかなんてその研究者も分からなかった。

——けれど。もしかしたら、万が一にも地球と衝突することがあるかもしれない。

——善意でこれを公表したのにこの仕打ちだ。

——ネット上に溢れる罵詈雑言。

——しかし、研究者は諦めなかった。

——大国の宇宙研究所に自ら出向きこの事実を訴えた。

——しかし、帰ってきた言葉は「お帰りください」の一言だった。

——なぜ大国の研究所は彼を突っぱねたのか。答えは簡単だ。

——ただの一研究者が発見できる小惑星を大国の研究所が発見できないはずがない。

——つまり、研究所は小惑星の接近など研究者が発見するずっと前から知っていたのだ。

——それでも公表することはせずに。

——着々と崩壊のカウントダウンは進む。

——確かに、小惑星の接触を回避することなど人の力ではできない。

——生き残る方法は一つ、惑星の接触地点から離れること。

——公表してしまうと必ず混乱が生まれる。できるだけ安全な場所へ行こうと人々が移動を始めるのは目に見えている。

——だから、公表はしない、身内だけを安全な場所に避難させて沈黙を貫き通す。

——それが研究所とその大国の結論だった。

——結局その事実が世界中に認知されたのは肉眼でその小惑星が捉えられるようになったその時だった。

——そうして……、

——世界は崩壊した。


一説には……

一説には……

一説には……

一説には……

一説には……

 以下略


一説には


——とある少年がある選択をした。

——そうして……、


——世界が崩壊した。


繰り返そう。世界なんて簡単に壊れるモノなんだ。

この物語は世界が崩壊した後の話。

崩壊の真実は忘れ去られ、崩壊し灰に覆われた世界でそれでも人々は生き続けた。

——崩壊した世界。常識など一切通用しない世界で、人は何を思い、何を考え、何を願い、生きるのだろうか。


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