海軍特別救助隊2 -中攻隊救済作戦-(プロローグ)
それは奇妙な夕焼けだった。
血のように赤く、というほど不気味なわけではない。しかしその赤い色は、確かに「まがまがしい何か」を発散している。
夕暮れ時や夕焼け自体からは、普通ならば一日を終えた安らぎや、大自然の創り出す芸術のすばらしさなど、人間をホッとさせる何かが発散しているはずである。しかし、この夕焼けから発散されているものは、安らぎとは対極にあるものだった。そう、あえて表現するならば、それは「怒り」とか「絶望」という言葉がピタリあてはまりそうだ。
上のほうを見上げると、そこはすでに真っ暗な空が広がっている。星が見えるわけでもないし、月も出てはいない。ただ空の一部分、水平線の近くが日没の残照で赤く染まっているだけなのだ。
いや、そもそも日没でも夕焼けでもないのかもしれない。
夢の中
台湾の基地らしき場所
中攻隊のクルーが車座になって話している。
「お偉いさん」の脱出のために、比島への連絡飛行の命令
「すぐに夜戦の餌食だ」
「どうせ死ぬなら夜間雷撃で死にたい」
絶望と怒り
本編は、以下続きますのでよろしくお願いします。
海軍特別救助隊2 -中攻隊救済作戦-
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