第11話 艦隊決戦4(通常版)
(一応だが、有事はレプリカ伊400で戻ってきてくれ。パール・ハーバー近くに待機していると思う。)
(分かります、こちらからも目視できていますので。今もこちらの会場に睨みを利かせていますよ。しかも獲物は超長距離弾道ミサイルですし。)
(・・・レプリカ伊400に原子力潜水艦の武装をか・・・。)
驚異的な内容だった。化け物的な武装を施されていたのはレプリカ大和だけではなかった。レプリカ伊400もそうだと言うのだ。
レプリカ大和の従来の武装は、現在の科学技術やギガンテス一族のテクノロジーで超強化されている。更にミズーリ号の様な近代兵器も搭載されており、攻守共に隙がない。
レプリカ伊400もそうだとの事だ。超長距離弾道ミサイルとはこれいかに。船首に魚雷発射管が8門搭載されているのは知っているが、外装となる砲門は甲板に合計4門しかない。それを補う形にもなる超長距離弾道ミサイルとは・・・。
(動力機関は従来のディーゼルエンジンです。原子力機関では大問題を起こしかねません。しかしそのディーゼルエンジンでも、ギガンテス一族テクノロジーの応用で超強化をしてあります。)
(お姉様の発想力には驚嘆します。従来の兵器でいかに効率を出せるか、それを言わば仮想現実の世界の発想を取り入れている形で実現と。)
(俺からしたら・・・ギガンテス一族とドラゴンハート一族のテクノロジー自体、仮想現実から出た産物としか思えないんだがね・・・。)
本当にそう思う。重力制御の理しかり、バリア機構しかり。地球上の概念を覆す超越的な要素ばかりである。更にはルビナの一族も凄まじいテクノロジーがあるとの事で、どうしてこう凄まじいものか・・・。常識を逸脱した様相とは正にこの事である・・・。
(力は誤った使い方をしない限りは、何でも用いるべきだと思います。皆様方が思っている罪悪感も、その一念で後手に回り敗退しては意味がありません。)
(そうだな。今ある力を使ってこその勝因だ。勝たねば意味がない。その勝利で得られた結果がどうなるかは、歴史の采配に委ねるわ。)
(そう言う事よね。奮起せよ、正にここに至る。)
念話中も戦闘は続く。敵艦を撃沈していってはいるが、何処からともなく現れるのには驚愕せざろう得ない。そんな簡単に大規模な軍勢を調達できるものなのか。実に謎である・・・。
「こちらのダメージは皆無だが、総残弾数はどうだ?」
「総残弾数は全体の2割まで低下しています。最低限の弾薬でいましたので。」
「マズいな・・・弾数が枯渇したら逃げ回るしかないか。そう言えば、搭載のハリアーⅡ群だけで敵艦の撃破は厳しいか?」
「航空戦力に対しては申し分ありませんが、艦船となると迎撃程度にしか。」
「殲滅を狙うなら、大和の主砲・副砲・ミサイル郡を用いるしかありません。」
武装自体は重装だが、弾薬に関しては最低限の準備しかしていなかった。このレプリカ大和の威圧感だけで不戦勝を勝ち得ていたのが実状。その中でバリアの恩恵が如実に現れている。ただ今の現状だと弾薬の枯渇は非常に厄介になる。
(・・・エリシェさんや、船体の強度は超強化されているのかね?)
(船体ですか? どちらの艦も地球上の兵器では、そう簡単に傷は付けられませんよ。)
(・・・つまり船体自体はダイヤモンド以上という事か。)
う~む・・・地球上の兵器では傷を付けられないとは・・・。それだけ堅固であるという事になるわな。これなら最悪の手段は使えそうだ。
「・・・仕方がない、面々に伝えるぞ。最悪は大和自体を敵艦にぶつけて乗り込み攻略していく。相当な衝撃やダメージがあると思われる。その時は十分注意してくれ。」
「ハハッ、肉弾戦法ねぇ。まあこの巨艦の防御力を考えれば、イージス艦は紙装甲だから問題はないかな。」
「俺は構わない。ただお前や一同に傷でも負わせたら申し訳が立たない。しかし敵には容赦ない鉄槌、これが俺の生き様だからな。絶対引いてなるものか。」
語り終えた後、艦内に轟く様な雄叫びが響き渡る。どうやら今の呟きを一同が聞いており、更に同調してくれた形か。ここにいる面々は、もはや異体同心そのものだ。尚更頑張らねば意味がない。
その後も殲滅戦は続く。相手が無人兵器群とあり、容赦ない一撃を放てるのが強みである。そりゃそうだろう。今までの特殊部隊は人間を用いていたが、彼らも意思のある集合体だ。人間として扱われなければ離反するのは言うまでもない。
金目当て・殺戮目当てのカスであれば参戦するだろうが、全部が全部そうではない。他者の痛みを知れる人間なのだ。俺達もそこを肝に銘じないといけないわな。
しかし・・・この短期間でイージス艦や航空兵器をよく集められたものだ。しかも無人兵器として仕立て上げている。この技術力だけでも相当なものである。そもそもイージス艦自体が多く建造できるものではない。航空兵力もしかり。それこそ過去のレシプロ戦闘機なら話は変わってくる。
ハイテク集合体の近代兵器を製造するには、相当の技術力や資金力が必要になってくる。となると軍服連中は裏で提携している連中がいるという事だ。しかも地球人という事になる。
結局、最後は地球人同士の戦いに至る訳か・・・。
八の字蛇行で航行しながら飛来する航空兵器を撃墜、遠方の艦船を撃沈して回るレプリカ大和。暫くするとこちらの攻撃が止んでしまう。どうやら残弾が尽きたようである。
「マスター、本艦の総残弾数が尽きました!」
「・・・やるか。総員、乗船の準備をしてくれ。レプリカ大和を敵艦に近接し、最悪はぶつけて乗り込み攻撃を仕掛けていくぞ!」
「止むに止まれぬ戦術よね。」
何時もは気丈の彼女の身体が震えている事に気が付いた。1対1の戦いではなく、戦艦という本来在り得ない環境での戦いだ。それに少なからず恐怖が沸いているのだろう。その彼女の肩に左腕を回し支える。咄嗟の行動に驚いた様子だが、直ぐに身を委ねる部分は見事だわ。
八の字蛇行を止めて、近場のイージス艦に接近を開始。しかし直後、目標が大爆発して飛散した。立て続けに近場の敵艦も大爆発していく。艦橋から周りを見渡すと、何と同じく併進するレプリカ伊400が猛攻撃を加えていたのだ。
新たに搭載された装備の超長距離弾道ミサイルが発射されていく。正に原子力潜水艦顔負けの様相である。また甲板に搭載されている4門の砲台も火を吹いている。火力としては牽制程度にしかなっていないが、それでも目眩ましには申し分ない。
(マスター、無茶しすぎですよ。)
「ビアリナが指揮を取っているのか。」
無線装置からビアリナの声が聞こえてきた。どうやらレプリカ伊400を指揮しているのは彼女のようである。最近はエリシェやラフィナの参謀を務めるだけに、その手腕は目を見張るものだと言っている。
(追加の弾薬の補給はお任せを。密閉棟に可能な限り積んできました。)
「それは有難いが、弾薬の方は合うのか?」
(フフッ、三島ジェネカンを舐めるなとの事ですよ。)
こちらの不安を小さく笑う事で掻き消してくれた。どうやらエリシェは全てを見越していたようである。
大和の46cm主砲には三式弾という代物が使われている。ミズーリ号の砲弾よりもデカいものだ。当然新たに作らねばならないのは言うまでもない。レプリカ大和を呉の工場で拝見した時には、既にこれら追加弾薬などは作られていたようである。
ただ積み込みと再装填までの時間を考えると、今直ぐにできるものではない。それまでの時間稼ぎをどうにかしなければならない。
そんな思いを巡らせていると、突然爆音が響き出した。何事かと表を見ると、艦上を複数のハリアーⅡが飛来していたのだ。しかも今の爆音からして、突然その場に現れたようだ。
(その思いは実力で捻じ伏せる、ね。)
「は・・はぁ・・・。」
(時間稼ぎはお任せを!)
(暴れてやりますぜ!)
無線装置から懐かしい声が聞こえてきた。遠方は日本で待機中の恩師シルフィアである。更にエリミナとレビリアの声もした。機数からして彼ら全員と、航空自衛隊の精鋭中の精鋭が集ったようである。転送装置を意図もまあ・・・。
数十機に及ぶハリアーⅡ郡が航空兵器とイージス艦を攻撃していく。しかし航空兵器は一撃必殺を狙えるも、イージス艦の方は足止め程度にしかならない。レプリカ伊400の超長距離弾道ミサイルが決め手だが、こちらも有限である以上限界が来るだろう。
「マスター、ここをお任せしてもよろしいですか?」
「どした?」
「弾薬の補充に人手が必要で、私達も加勢に赴きます。」
「あ、つまり短期間で弾薬を運べばいいのですね? 私達が代わりますよ。」
躯屡聖堕メンバーが総出で弾薬補給を行うとの事。それに意味有り気に語るルビナ。これは彼女の持つ特殊能力が窺えそうだ。ここは彼女に付き従い、その力を見せて頂くとしよう。
躯屡聖堕メンバーの実力は凄まじいものがあり、以後の攻撃は独断で行って貰う事にした。俺はナツミYUとルビナと共に艦外に出て、隣接するレプリカ伊400の密閉棟から弾薬の補給に向かう事にする。
第11話・5へ続く。




