第11話 艦隊決戦1(通常版)
特殊部隊、強いては軍服連中の狙いは俺やミュティ・シスターズ。そのため、日本国内に留まるのは要らぬ火種を起こしかねない。そこでレプリカ大和とレプリカ伊400を用いて、今は日本を離れる事となる。向かった先は軍備に関して最強となるアメリカ。日本から一番近いハワイに赴き、その近辺で活動を行う事にした。
できれば他国に要らぬ火種を持ち込みたくはないが、軍事面での補佐が必要になってくる。幸いにもアメリカなら日本ほど厳しい様相ではない。むしろ突然の襲来者には徹底的に交戦をする部分が大いに助かる。ここは領土を日本からアメリカに変え、来るべき軍服連中との決戦に備える事にした。
日本の守備の事を考え、9女傑やエリシェ・ラフィナは残って貰った。警護の事も考え、ナツミYUとシュームにも残って貰っている。ナツミツキ姉妹と四天王もしかり。
今このレプリカ大和にいるのは、俺以外にミュティ・シスターズにビアリナのみになる。シルフィアはデュリシラと共に別行動をしているようだ。トラガンの参謀にはデュシアLを派遣している。
俺や3姉妹は言わばお尋ね者。できれば何の被害を起こさない洋上での生活が無難だろう。しかしあえてハワイを選びアメリカを巻き込んだのは、彼らの絶大な戦闘力の恩恵を得るためでもある。ここはエリシェが何やら画策しているようで、気にせずハワイに留まるようにと勧められた。
今現在はパール・ハーバーの沖合いにレプリカ大和を停泊中。船底にはレプリカ伊400が鎮座している。海上と海底に睨みを利かせる様相は、特殊部隊への揺さ振りとも言える。
それにこの2大レプリカは姿こそオールドウェポンだが、構成されている材質や内部構造は現行兵器と同じである。更にはギガンテス一族のテクノロジーも兼ね備えているため、言わば地球上で一番強い兵器と言えるだろう。
見た目は第2次大戦時の遺物で、更に歴史的な最強戦艦の大和。それがパール・ハーバーの沖合いに停泊しているとあり、船舶や航空機を使った観覧者が数多い。それだけこの遺物が今では伝説的な存在になっている証拠だろう。
かつてはアメリカにとって敵国の、しかも最強兵器に等しい日本の大和。それが今では自他共に認められる存在なのは、日本人の俺からして嬉しいものだ。そして今はこのレプリカ大和が特効薬的な存在になっている。
あの軍服連中は如何なる手段を投じてでも攻めてくるだろう。世界中の現行兵器はあまりにも強過ぎるため、この過去の遺物を模した兵器を繰り出した形か。
警護者としての位置付けを利用した、完全な戦闘可能な船。まさかその白羽の矢が大和になるとは不思議なものだわ。武蔵や長門などでも良かったのだろうが、やはり日本となれば大和が相応しかろう。それに伊400もだ。
未来はまだまだ分からないが、そこに俺達の存在が一役買えるなら何でもすべきである。その礎を築くための力が、このレプリカ大和とレプリカ伊400となる。
ますます以て奮起していかねば、戦いで倒れられた英霊の方々に失礼極まりない。
「動きはなし、か。」
「大々的に動いているのが、逆に取っ付き難くさせているのでしょうね。」
レプリカ大和は船尾でハリアーⅡの調整に携わっている。ミュティ・シスターズの力業があれば、この巨体も難なく持ち上げられるのが怖ろしい。驚いた事にビアリナ自身も戦闘機のライセンスを持っているようで、このハリアーⅡも難なく操縦できるとの事だ。
「推測なのですが、今度は大規模な軍勢で押し寄せてくる感じがします。東京での襲撃はこちらの戦闘力を窺った形でしょう。」
「俺達がレプリカ大和やレプリカ伊400を持ち出した事、だな。向こうも今まで以上の軍事物を出してくるに違いない。」
「何だか警護者の道を逸脱している感じがしてなりませんね。」
「規模が規模なだけにね。まあ軍服連中と決着が着けば、この過去の遺産はお役ご免になるだろうし。以後はモニュメントとして配置すればいい。」
レプリカ大和とレプリカ伊400の保管場所となれば、それは物凄い集客を集める事にもなるだろう。そしてそれがかつて世界大戦があった歴史を忘却させないための、戦争遺物としての大事な記録にもなる。パール・ハーバーのミズーリ号と共にその役を担えれば、この2隻のガンシップは大役を担えるだろうな。
「気になったんだが、全てが終わった後はどうするんだ?」
「お邪魔でなければ傍にいさせて下さい。母船と大母船の方は妹達が引き継ぐとも述べています。それにパートナーのレシュスさんも一緒に。」
「あー、以前彼女達を助けた青年か。」
ミュティナ達の妹も3姉妹なのだが、その彼女達が過去に一度地球に下りて来た事がある。その時に特殊部隊の襲撃を受けたのだが、同時に助けてくれた人物がいた。レシュスという青年である。また相棒のラーデュという青年もそうだ。何でも物凄い力を持つ3姉妹、その妹が双子で面識があるとか。姉の方は良く分からないが、ミュティナ達も知っているという。
「その話は伺っていますよ。レシュス様の相棒はラーデュ様、その彼と面識があるのは双子姉妹のルビア様とルビラ様。その姉妹の姉のルビナ様も含めた3姉妹も、ミュティナ様方と同じ凄い力の持ち主らしいです。」
「超人的能力の持ち主か、人間泣かせだわな。」
皮肉を込めて語ると、苦笑いを浮かべる3姉妹。この3人の逸脱した力は本当に凄まじい。目の前のハリアーⅡを片手で持ち上げ振り回す様はモンスターそのものである。多分だが、彼女達の力ならレプリカ大和とレプリカ伊400すらも持ち上げられそうだな・・・。
「ちなみにルビナ様はトラガンに訪れているそうです。シルフィア様やデュリシラ様とも面識があるそうで、その流れから来日されたようです。」
「へぇ・・・何れ会う事がありそうだの。」
「私達と同じ常識を逸脱した力の持ち主なのでしょうかね。ちょっと変な興味が湧いてきます。」
「お前達からしても興味が湧く、か・・・。」
あのギガンテス一族の3姉妹ですら興味津々といった感じである。ルビナや双子の妹の力は相当なものなのだろう。一体どんな一族なのやら・・・。
「あと、私も全てが終わったら日本に在住します。貴方の傍にいられれば幸いです。」
「・・・周りの女性陣に殺されるわな・・・。」
3姉妹はおろかビアリナにまで好意を抱かれている現状。ナツミYU達が殺気立っているのは言うまでもない。本当に殺されそうな雰囲気である・・・。
「ちなみに私達の一族は一夫多妻制なので、他にパートナーがいらっしゃっても全く問題ありませんよ。」
「はぁ・・・最悪はギガンテス一族にお世話になるか・・・。」
怖ろしい事になりそうだ・・・。まあ地球では一部の国でしか一夫多妻は認められていない。かつては日本でも一夫多妻制だったそうだが、今は一夫一妻制である。今の流れだと、何れ大変な事になりそうだ・・・。
「まあ今は目の前の壁を乗り越える、だ。恐縮ながらも、俺達の双肩には地球の運命が掛かっているとも言える。」
「大丈夫です、私達ギガンテス一族も最大限お力になります。何処の馬の骨とも分からぬ輩に、この大自然育む地球を壊させたりはしません。」
「ギガンテス一族と地球人が一致団結すれば、怖いものなどありませんね。」
彼女達が語る内容には心強いが、逆を言えばギガンテス一族をも巻き込んでしまっている気がしてならない。しかし今となっては対決せねば地球に戦乱を巻き込みかねない。最後の最後まで戦い抜かねば意味がないわな。
「今は待つしかない、だな。」
ハリアーⅡのメンテナンスに追われる女性陣を尻目に、一服しながらその場に座った。この広大な地球に蔓延る軍服連中。特殊部隊はその尖兵として捨て駒にされているに過ぎない。
一体何処でどう出没するかも分からない現状、常に後手に回らねばならなくなる。出所さえ分かれば攻撃を仕掛ける事も可能だが、今は後手に回るしかないのが現状だ。
まあこのレプリカ大和とレプリカ伊400があれば、それなりの活動は可能だろう。更には地球上での超大国たるアメリカの加勢が得られれば大助かりである。日本は政府の対応問題で動くのは更に後になりそうだしな。これが日本の島国根性のマイナス面とも取れる。
結局の所、最後は警護者同士の戦いになるだろう。連中も地球上で一番強い警護者を雇い、俺達にぶつけてくるに違いない。ただ相手先に最強の警護者たるシルフィアがいるため、本気で攻めて来るかは微妙な所だが・・・。それだけ恩師の力は絶大である・・・。
翌日、レプリカ大和にエリシェが訪れてきた。ラフィナはナツミYUと共に本社の運営があるとの事。シュームはナツミツキ姉妹と喫茶店を切り盛りして貰っている。
エリシェが訪れた理由は、今後の流れを決定付ける会議を行うのだとか。そう、アメリカ合衆国の軍事部門のトップと会談するという事だ。大統領の影武者ディルヴェズではなく、海軍の艦隊司令長官との謁見らしい。
と言うか俺にはこういった頭の役割はご免蒙りたいものだ。それを周りに言ったら、何とミュティナがリーダーを務めると切り出してきた。3姉妹の中では頭脳に長けているため、ミュティラとミュティヌも賛成している。う~む・・・ここは任せるべきか・・・。
第11話・2へ続く。




