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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第1部・生き様の理
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第10話 骨董品の威力3(通常版)

 既に出航準備は整っているようで、俺達の乗船が最後の積荷的感じになった。このレプリカ大和の処女航海は大々的に広めたようで、桟橋には物凄い見物客が溢れ返っている。俺自身もミリタリー好きの気質もあるため、レプリカであれ伝説の戦艦大和に乗れる事は本当に光栄の極みだわ。


 ちなみに驚いたのが、船尾の偵察機の搭載である。従来の仕様なら、零式三座水上偵察機と零式水上観測機になる。合計7機らしいが、実際に見たのはプラモデルや文献のみなので詳細は不明だ。


 で、レシプロ偵察機がある場所には何と恒例のハリアーⅡが3機鎮座していた。確かに同機なら狭い場所でも難なく離着陸が可能である。ただ第2次大戦時の戦艦に近代的な戦闘機の搭載、この様相はどうもパッとしない・・・。


 更に驚いたのが同艦の兵装である。確かミズーリ号も近代兵器を搭載していたと思ったが、レプリカ大和にも同様の追加武装が施されている。トマホーク32基・ハープーン16基・ファランクス4基との事。また船体装甲・レーダー各種・動力機関なども大幅に超強化されているようで、オリジナルのスペックを遥かに超える様相になっているとか。


 この手の兵装には疎いのでよく分からないが、確かなのはイージス艦などの現行兵器に引けを取らないという事だろう。決め手はアレだな、46cm主砲9門か・・・。


 多くの見物客に見送られ、広島は呉港を出港するレプリカ大和。このまま太平洋へと出て、東京に向かうようである。流石は戦艦なだけあり、少々の波では微動だにしない。水が苦手な俺でも、あの超大型豪華客船の様にドッシリといられるのは有難いわ・・・。




 半日ほどの航海との事なので、甲板に出て到着まで待った。その間に復元された様相を見て回りたい。戦争兵器という部分を除外すると、その実に見事な様相には惚れ惚れしてしまう。


 その中で思ったのが、何処からともなく現れて襲撃を繰り返す特殊部隊。その何処からでも出現する姿に、ギガンテス一族の転送装置の一件が脳裏を過ぎった。このレプリカ大和も宇宙で建造して地球に運んだそうだしな。


「・・・特殊部隊の親玉は宇宙人なのかね。」

「実に否めませんよね。突然現れて平然と消えていく。ハワイの時も親玉が乗る大型ヘリが突然現れたそうです。」


 特殊部隊の連中に地球人が絡んでいるのはほぼ間違いない。しかもそこにギガンテス一族の超絶的なテクノロジーが含まれているのも確かである。となると今後は更に局地的な戦いが起こり得る可能性も否めない。


「そう言えば、治療した兵士の方々から何か伺ったりは?」

「強制尋問は一切していません。それをしたら私達も連中と全く変わらなくなってしまいますし。ただ相手の方が口を開いてくれるなら、根掘り葉掘り以外での尋ねはしていますけど。」

「何らかの情報は掴めている感じだな。ただそれが出ないという事は、機密扱いという事になる訳か。」


 この部分は一端の警護者が口を出す事ではない。上層部の方で対処すべきである。ただし、もし倫理に反する事をするのなら・・・。その時は俺の方も黙ってはいないが。


「ええ、私も貴方が思う事に同調します。最近は独断で動く傾向があるようで。」

「あら、見抜かれたか。」

「まあ半々ですが。その半分は手前の実際に行われた事です。三島ジェネカンとその大企業連合に所属している方々には、それこそ痛烈な掟の如く戒めています。戒律にも似ている感じですが、そうでもしないと罪を重ねるのが人の業ですから。」

「最終的には、やはり人に掛かってくるのですよね。」


 物凄い落胆気味のエリシェとビアリナ。この両者、それだけ人の闇を見てきた証拠だろう。そして今やっと分かったのが、2人が非常によく似た属性を持っている事だ。今にして気付くとは、俺の目も節穴なのかも知れない。


「顕著なのがギガンテス一族への対応です。生体兵器を扱うが如くの対応、ここに人としての倫理などありません。彼らが地球外知的生命体なら、地球人は野蛮で殺伐とした存在に見えますよ。」


 凄まじい怒りを顕にしている。ナツミYUが言うには、エリシェとラフィナはこの手の人としての道を外れた行いに超絶的に激昂するとの事。まあこれは俺も心から同調する。強いては警護者としての生き様に反するものだ。


「ミュティナ様方がマスターとお会いして、その人として接した姿に心から安堵しました。地球人・地球外知的生命体、そんなの上辺の形だけのもの。根底の偉大な生命体という部分を考えれば、全て兄弟姉妹そのものです。」

「常に肝に銘じなければならない概念だわな。」

「マスターの様に生き様が定まっている方なら問題ありません。大問題なのが、それ相応の実力を持つも人としての道を外れた愚者ですよ。対処し辛い事この上なしで。」

「あの特殊部隊も正にそれなのですよね。」


 再び落胆する両者。本当にこの姿は似ているわ。ただ彼女達が言う、人としての道を外れた愚者。これらは今後も出続けるだろう。いや、永遠に続く闘争とも言えるのか。だからこそ俺達警護者という陰の存在が必要になる訳だ。


「・・・恩師の生き様とミツキの生き様が問われる、か。」

「誰彼がどうこうじゃない、自分自身がどうあるべきか。それが重要だ、ですね。そして、敬い・労い・慈しみの精神を。持ちつ持たれつ投げ飛ばす、と。」

「相反する属性に近いが、根底は全く同じだからの。」


 一服しながら思う。シルフィアとミツキ、この2人の生き様は見方によって相反している。しかし根底の目指すべき場所は全く同じである。むしろナツミAを併せて3人で初めて1人の存在に近いと言える。何度も言うが、真女性は強いわ・・・。


「彼女達の生き様が、今の世上には必要だ。彼女達のためなら、俺は命を差し出しても構わない。そのための警護者の力だ、思う存分暴れてやるわ。」

「はい。貴方のその生き様は、ナツミYU様やシューム様からも重々伺っています。純粋無垢の師弟の理と。師匠が偉大だからこそ弟子が奮起できる。この姿勢は我が大財閥も常に念頭に入れ、強く心懸けているものです。」

「個々の力は弱くとも、一致団結すれば凄まじい力に至る。特に異体同心の理が、解決不能に近い難題をも攻略できる。皆様方の生き様を見ていれば痛感できます。」


 一念を据えて突き進む。簡単に思えるも、実は物凄く難しい理にもなる。しかし、だからこそ貫き甲斐があるというものだろう。


「ますます奮起せねばならんわな。」

「いえ、問題ないと思いますよ。ありのままの姿で生き様を刻む。それこそが貴方自身の唯一無二の存在になりますから。」

「だな。」


 己が生き様を刻むのは、自分自身しかできない。しかしお互いに支え合う事はできる。その一念が彼女達からも沸々と伝わってきた。頑張らねば張り合いがないわ。



 しかしまあ、レプリカ大和の様相は凄まじい。確かに現行兵器よりも火力の点では劣っているだろう。航空機が主力の現状、更にイージス艦や原子力空母・原子力潜水艦など。


 レプリカ大和の火力はそれらに遠く及ばないが、存在感では遥かに超越している。威風堂々とした様相は、見るからに戦う艦だと否が応でも認識させられる。


 過去の大戦で実際の大和で戦われた方々のご冥福を祈ると共に、このレプリカ大和で新たな時代を築ける戦いに貢献できるなら幸いだ。それに特殊部隊には正に特効薬だろうからな。


 奴らを叩き潰さねば、日本はおろか世界が危うい。更には宇宙にも火種を飛ばしかねない。地球外知的生命体のギガンテス一族と共に、何としても連中の愚行を阻止してやる。




 数時間後、無事東京湾に到着した。今は品川埠頭に停泊している。レプリカではあるが、本物ソックリの戦艦大和が現れたとあって大賑わいだ。確かに平和のモニュメントとしての役目もあるが、こうして観光地としての役目もできそうだ。動く誘致場所とも言えるか。


 経緯はどうあれ、最終的に世界の平和が最大の目標。地域や国を盛り上げてこその安寧だ。軍事兵器がその役割を担うのは問題がありそうだが、最終的に丸く収まれば問題はあるまい。


 考え方だけで全てが一変する。ミツキ縁のポジティブシンキングで進むべきである。


「・・・圧巻わぅ。」


 物凄い見物客でごった返す品川埠頭。その様相を遠巻きに見つめる俺達。流石のミツキもレプリカ大和の姿に圧倒されている。昭和生まれの俺なら馴染み深いが、平成生まれの彼女には言わば異世界の代物にも見えなくもない。今時のイージス艦郡とは一線を駕している。


「様相ではアメリカのミズーリ号に匹敵しますよね。いや、もしかしたら超えているかも。史上最強の戦艦と称されるだけありますよ。」

「火力だと現代兵器には敵わないわぅけど。」

「俺は現代兵器は邪道にしか思えんがね。」


 電子機器で構成された最新兵器の数々。確かに戦闘力の規模では凄まじいものだが、洗練さは全く感じられない。兵器とは武骨感があってこそのものだとも言える。


 時代の流れに乗れず、大きな活躍ができずに沈んだ戦艦大和。しかしその様相は今現在のミリタリーマニアには大絶賛されている。この差が正に存在感の格差と言えるわ。


「でで、これからどうするわぅ?」

「エリシェの話だと、今後レプリカ大和を警護者専用のガンシップに位置付けるそうだ。例の特殊部隊への宣戦布告とも言っていた。言わば威圧感だな。」

「威圧の部分で絶対悪の兵器を持ち出さない部分、ここにプライドがありそうですね。」

「ああ、アレは人類を滅亡に追いやる最終兵器そのものだからな。」

「戦争は悪わぅよ。」


 物凄い矛盾しているわな。警護者の道が護衛に始まり、強いては乱れた世上を落ち着かせる存在だとする。その警護者が必要以上の武装を持つのは、要らぬ火種を起こしかねない。このレプリカ大和の出現で、連中はどう動くか。


「それでも、己が生き様を示すのも必要わぅ。それがこのレプリカ大和ならば、後の用い様で全て決まるわぅ。人を・世上を支える力になるなら、それは絶対善わぅね。」

「そうだね。むしろそれは私達の生き様次第よね。マスターが仰るように、尚更頑張らねばならないわ。」

「このレプリカ大和は俺達の決意表明でもある訳だな。」


 一服しながら思った。やはり最後は己自身の生き様に決まってくる。そしてそれにより善悪が出てくるのだ。できる限りは善の方には進みたいが、どういった形で曲がるとも限らない。だからこその“持ちつ持たれつ投げ飛ばす”なのだろうな。


 何よりも、これだけ周りに戒めてくれる存在がいるのだ。曲がった方に進む方がおかしい。彼らと共に戦えば、確実に中道へと進んでいくのは言うまでもないわ。


    第10話・4へ続く。

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