第9話 変装の潜入捜査4(キャラ名版)
後日、臨時の社長代行を担う事になった。エリシェはラフィナとナツミYUに合流し、海外の連携を強めるのだとか。今は俺以外にデュシアE直属のシークレットサービスが補佐をしてくれている。ビアリナという銀髪の女性だ。
他にもエシェム・リティム・エリヒナ・セオリアという人物がおり、この5女傑はさながらエリシェ直属のシークレットサービスたる9女傑に似ている感じか。まあ違うのは頭が男性という事だが。何とも・・・。
デュリシラ「お・・お久し振りです・・・。」
ミスT「何時ぞやは世話になったね。」
不意の来訪者が訪れた。以前、都心の暗殺者ことデュリシラを海外に逃がした経緯がある。その彼女がホトボリ冷めた頃合いを見計らい、日本に戻ってきたのである。また傍らには初見の女性がいるが、彼女にソックリな容姿に驚いた。
ビアリナ「あら、デュシアL様じゃないですか。」
デュシアL「どもです。それと、初めまして。デュシア=リムティレスといいます。」
ミスT「デュシアEの双子とか?」
ビアリナ「はい、双子の兄妹ですよ。」
ハワイでデュシアEと対面したが、目の前のデュシアLも全く同じ雰囲気である。違うのは性別だけか。彼女の方が兄よりしっかりしていそうだ。ディルヴェズとディルヴェズLKの双子の兄妹と同じ感じだな。
デュシアL「以前は母や兄を助けて頂いて、本当にありがとうございました。」
ミスT「ハワイの一件か。いや、逆に助けられた感じだったけどね。」
デュリシラ「例の特殊部隊の一件ですね。情報が掴み難いと警護者の間では敬遠されている次第で。ただ失礼ながら、今は貴方や3姉妹の近場にいれば確実に出現すると。それを伺って来日しました。」
デュリシラは警護者の中では異端児に近い。ゼロから叩き上げで今の実力を掴み取った猛者である。だからこそ特殊部隊を捉える力を持っているとも言えた。
そう言えば彼女の叩き上げの戦闘力には、ナツミツキ四天王にも由来する。彼らも姉妹を支えたい一心に努力した結果がこれである。今では全ての分野においてのスペシャリストに至っていた。
またシュームとナツミYUも基礎戦闘力は独学で学んだとの事だ。それが今では警護者界最強クラスの猛者に至っている。本当に凄いものだわ。
ミスT「む・・・双子が先に警護者の道に?」
デュリシラ「はい。私の本業はシステムエンジニアでして、それらから今の情報を掴んでしまったのが淵源です。」
社長室のチェアーは非常に慣れないため、近場にあった簡易椅子に反対座りしながら座る。背もたれに胸を預ける形だ。この姿を見た社長のエリシェは呆れていたが・・・。他の女性陣はソファーに座っている。流石は生粋の女性だけあり、その気品は羨ましさが出てくるわ。
デュシアL「母は警護者の道は浅いですが、情報分析力などは私や兄を超越しています。今さっき言われましたが、それが原因で目を付けられたようで。」
デュリシラ「身の危険を感じ、ウインド様やダークH様に逮捕という形で保護して頂きました。後に貴方に守って頂いて・・・って、何故に女性の姿に?」
ミスT「文句はエリシェに言ってくれ・・・。」
粗方、彼女達の流れは掴めた。逆にデュリシラは俺が女性化した事にエラい違和感を感じているようだ。俺はエリシェから託された作戦の内容を語り、今に至っている事を伝えた。
デュシアL「なるほど・・・ギガンテス一族の秘伝の技でしたか。」
デュリシラ「人間離れした技術力を有しているのは伺っていました。まさか性転換まで可能だとは思いもしませんでしたけど。」
ミスT「この数ヶ月ほどこの調子だの。」
一服しながら語る。身体は女性化していても、気質は野郎のままなのがネックだろうか。今もこうして男臭さ溢れる言動をするのが最もたるものである。まあ変に形作れば疑われるのは間違いない。女性化をしても、俺は俺なりの姿を示すべきだな。
デュリシラ「それで、女性化の本題がトラガンへの潜入捜査と。」
ミスT「エリシェは最悪の事態を考えての行動だったみたいよ。相手の素性が分からない以上、万全の体制で潜入させたかったようだし。まあ今は殆どファミリーに近くなってるけど。」
トラガンのリーダー・エルシェナや仲間の女性陣の素性も十分窺えた。彼女達がエリシェに近い生き様を刻んでいる事、そして特殊部隊を敵視している事もだ。利害一致に至るなら、後は共同戦線を張るだけである。
デュリシラ「特殊部隊の行動理念が良く分かりません。今もギガンテス一族の力を欲している事が、目に見えた欲望なのですけど。それ以外に何か別の要因がある気がしてなりません。」
ミスT「大雑把に考えると、ミュティナ達の技術力を片手に世界征服が関の山かね。」
デュリシラ「いえ、それよりも別の何かに感じますが。」
手持ちのノートパソコンを起動させ、何やら調べだす彼女。この姿はナツミAやウエスト・サイバーに本当によく似ている。彼らも本来の姿はゲーマーやプログラマーだからな。これらパソコンを使った作業は得意中の得意だろう。
デュシアL「マスター、今後の行動に関してですが。」
ミスT「デュリシラと一緒に来たという事は、共同戦線を張る事にしたのだろう?」
デュシアL「ハハッ、既に読まれてましたか。」
バツが悪そうに苦笑いをする姿は兄と全く同じだわ。この場合だとデュリシラはトラガンと一緒に活動した方が良さそうだな。それに向こうはブレインたる存在がいなさそうだ。彼女こそ適任だろう。
ミスT「デュリシラはトラガンのブレイン役を担ってくれるか?」
デュリシラ「もちろん、そのために参りましたから。雑用などはデュシアLに押し付けて下さい。彼女は裏方の方が得意ですので。」
デュシアL「兄と同じで最前線で戦うのは少し苦手です。ただ纏め上げなら喜んで担いますけど。」
ミスT「あの兄ありて、この妹ありか。そして双子ありて、この母ありだな。」
デュシアEもそうだったが、生粋のリーダー格という雰囲気が色濃く出ていた。彼の妹ならば同じ気質を持っていてもおかしくはない。むしろ彼女の方が兄を超える力を持っている感じがしてならない。
早速、デュリシラにはトラガンに飛んで貰った。今後の流れを知って貰うため、デュシアLも同行して貰った。俺は引き続きビアリナと共に三島ジェネカンの経営を担う。数日後にはエリシェが戻ってくるそうなので、それまではこの流れが続きそうである。
それと分かった事がある。野郎の時では気にも留めなかった事が、女性化する事でハッキリと見えたという事だ。これがシューム達が言う、女性目線なのだろう。野郎時の俺からだととても理解できないものだが、今の俺であれば明確に理解できる。
これが先見性溢れる女性ならではの目線だろうな。周りの女性陣が先手を取る生き様は、正にこれがあったればこそだわ。元は野郎の俺だが、この部分は元に戻っても常々心懸けたいものである。
その時は突然訪れた。今し方連絡が入り、トラガンの遠征中部隊が特殊部隊の襲撃を受けたとの事だ。同伴でナツミAとウエスト・ナッツがいるが、押され気味との事。こちらも直ぐに部隊を編成し、彼らの加勢に加わる。
その中で初の戦闘となるデュリシラとデュシアL・ビアリナの3人。かなり緊張の面持ちだが、未知との遭遇に嬉しさも抱いているようだ。この姿勢が強大な敵に立ち向かう強い一念になるだろうな。些細な事でもいい、それが起爆剤になるなら特効薬である。
ミスT「はぁ・・・取り越し苦労だったか・・・。」
劣勢と聞いていたため、迅速に現地に到着する。が、俺はトラガンの遠征部隊を過小評価し過ぎていたのかも知れない。俺が彼らと修行を打ち出してから数ヶ月が経過していたが、まさかここまでレベルアップしているとは・・・。
ウエスト「殆ど俺達が加勢する事もありませんでしたよ。しかも活人技で相手を不殺で制する。」
ナッツ「危ない方のみ加勢しましたが、それは初戦闘という事でぎこちない動きからの不測の事態。その流れは直ぐに消え失せましたけど。」
一服しながら一同を見守る2人。ナツミAは弾丸の補充が必要な人物に、迅速な追加作業を行っている。しかもトラガン遠征部隊は模擬弾、特殊部隊は実弾だというのにな・・・。
デュリシラ「なるほど、この一念が以前のミツキ様の生き様ですか。」
ミスT「ああ、敬い・労い・慈しみの精神ね。その一念に回帰すれば、相手の人間自体を責めず、その行動を責めるに終始できるからな。それに連中の言動は、どう見ても悪役そのものだ。どちらが正しく、どちらが間違っているか。火を見るより明らかだわな。」
デュシアL「確かにマスターが仰られる、裁定者とは図々しいかも知れません。しかし明らかに相手がおかしいなら、ここは別の調停者として制する方がいいかも知れませんね。」
ウエスト「調停者か、それ頂きですな。」
暴れたくてウズウズしているウエストとナッツ。我慢の限界か、自然と突撃を開始しだした。それに同調するデュシアLとビアリナ。俺はデュリシラと一緒に、不測の事態に備えて待機する事にした。
四天王の2人と女傑2人の参戦は、戦況を更に一変させた。どうやらこの数ヶ月の間の修行により、特殊部隊の実力と明確な差が生じている。連中は恐らく今の現状でもなると思い、何もせずいたのだろう。
対してこちらはトラガンの面々と半ば激闘に近い修行を繰り返し続けていた。相手が何時何処に現れるか分からない以上、単独で撃破できるだけの戦闘力へ昇格させ続けた。これはミツキが発案し、ナツミAが戦術・戦略を考案したものである。
そんな修行者の中の師匠役がウエストやナッツだ。師匠が共にあると、弟子はそれだけ奮起しだす。その相乗効果が目覚ましく出始めだしたのだ。この場合はもはや誰も止める事などできるはずがない。
ちなみにサイバーとエンルイは、地下工房で新たな得物の開発を行っている。トラガンの女性陣でも扱える武器を製作中との事。それを三島ジェネカンの力を使い、大量生産させる算段のようだ。
デュリシラ「・・・貴方様の淵源はここにあるのでしょうね。」
ミスT「彼らの生き様か。いや、俺も彼らと同じだっただけの事だよ。だから同調できた。むしろミツキ流の概念をすれば、“持ちつ持たれつ投げ飛ばす”だろうけど。」
その概念は不思議なもの。彼らの中に俺がおり、俺の中に彼らがいる。理路整然と解釈する事はできないが、それは確かに存在しているのだから。そしてそれが今の世上への特効薬になるのも確かである。その対極に位置しているのが特殊部隊や軍服の連中だ。
ミスT「それでも、己が定めた生き様は貪欲なまでに貫き通す。それができるのも己自身だわな。」
デュリシラ「本当に心から尊敬します。私では貫けるかどうか分かりません。仮に進んだとしても、右往左往しながらのものでしょうから。」
ミスT「ハハッ、右往左往は人の業だよ。シドロモドロもそうだけど。しかしそれこそが人の姿、人である何よりの証拠だわな。要はそれに溺れて堕落するか、糧として食らい付くかだ。俺なら可能な限り後者を選びたいものよ。」
生き様とは本当に奥が深い。だからこそ人生は楽しいのだ。ここに回帰できるかどうかで、人としての生き様は全く変わってくる。俺もそんな中に加わりたいものである。
ハワイの時と同じく、何処からともなく現れる特殊部隊の連中。いくら相手を圧倒しているとはいえ、実戦経験が乏しいトラガン遠征部隊では荷が重いかも知れない。ここは俺の方も暴れるとしよう。幸いにもウエストがマデュースシールド3挺を持参しているようだ。
脳波で人口腕部を起動すると、恒例ながら背中のスーツを突き破って黒色腕部が姿を現す。重力制御ペンダントは常備しているため、背後に待機中のマデュースシールド3挺をそれぞれの手に持った。その様相にデュリシラは驚愕している。
俺も激闘を繰り広げている面々の中に飛び入り参加をした。ただ今回は野郎の身体ではないため、幾分か動きが厳しいかも知れないが・・・。
第9話・5へ続く。




