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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第1部・生き様の理
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第9話 変装の潜入捜査2(キャラ名版)

 約1週間ほど、女性の触りの修行をこなす。その後、早速潜入捜査を開始した。場所は都内にある秘密組織“トライアングル・ガンナー”の日本支社だ。これ、例の特殊部隊とは全く異なるという。


 そもそも通称トラガンは警護者の下請け的な傭兵組織で、シークレットサービスでは担えない厳しい依頼を受け持つ。特に力を入れているのは女性警護だと言う。だから男人禁制になるのだとか。


 このトラガンには運転手や裏方にしか野郎がいない。完全な男人禁制ではなく、メインが女性中心という事になる。エリシェが述べていた事とは若干異なる。ただし、彼女が俺に大役を任せたのは意味があるだろう。


 恐らくだが、トラガンの内部調査は今後の特殊部隊への対策である。もし同調できる存在であれば、ゆくゆくは共闘を視野に入れている筈だ。自分達だけで何とかなるだろうが、ここは数多くの協力者を募りたい所だな。


 それに俺が動いたとなれば、恩師や弟子達総出で動く事も在り得る。力があるなら可能な限り使う、エリシェのその考えは非常に的を得たものだろう。その根底の一念が世上から悲惨の二文字を無くす事に繋がるのなら、俺も心から賛同したい。




秘書「こちらです、少々お待ち下さい。」


 秘書さんに案内され、応接間に通される。俺が一時的に女性という事もあり、すんなり潜入する事ができた。というか雰囲気的にギラ付いたものは全くない。ただエリシェもそうだと言うが、不透明な部分が色濃いとの事だ。だからこそこうして潜入捜査に至った訳だが。


女性「ようこそ、オーナーのエルシェナと申します。本日は如何様のご用件で?」


 非常に慣れない女性座りで待つ事数分、先程の秘書さんと一緒に別の女性が入室してくる。エリシェに近い雰囲気だが、彼女より凄まじい覇気を感じる。警護者の道で培った戦闘力が、身体から滲み出ている感じだ。


ミスT「ミスT=ザ・オールラウンダーと言います。元シークレットサービスを担っていまして、失礼ながらこちらなら食み出し者の自分を雇い入れてくれるかと思った次第で。」

エルシェナ「なるほど、そうでしたか。」


 ハスキーボイスが役立っている感じだ。元来から男性声と言うか男性口調なのに、これで女性口調なら大変な事になりそうだ。1週間ほど修行をしたのは正解だったな。


 その後は簡単な素性を語った。これはミツキが設定した素性で、実際は架空のものとなる。彼女、小説家とかの方が合うんじゃないかね・・・。


エルシェナ「了解致しました。先ずは見習いという事で様子を見させて頂きます。その後、どの様な任務に合うのか考慮しましょう。」

ミスT「ありがとうございます。」


 立ち上がり右手を差し出す彼女。すると無意識にその手を取り、手の甲に優しく口づけをしてしまった。それに顔を赤くしている。男性時のクセが見事に出た形になる。ただその行為をヨーロッパ風の作法と勘違いしている様子だが。




ミツキ(あらま~、野郎時のクセが出たわぅか。)


 追って任務依頼が入るまでは待機となるようで、今は喫茶店に戻る事にした。移動に関してだが、移動のスペシャリストたるウアイラを用いた。帰路に着いている最中、ミツキから念話が入る。心情が伝わっているとなると、全て見られていた感じか。


ミスT(無意識だったからなぁ・・・。まあしかし、粗方の内情は把握したよ。)

エリシェ(こちらが懸念していたほど、厄介な所ではなかった感じですね。)

ミスT(ただ確実に分かったのは、その実力は俺達に勝るとも劣らない凄いものだという事だな。)


 運転しつつ、一服しながら思う。トラガンの戦闘力はかなりのものだ。しかもその大多数のメンバーが女性とあれば、野郎にはない武器も使える。ある意味オールマイティに依頼を行う事ができるか。各国のシークレットサービスには担えないものだろう。


ミスT(とりあえず、今後も様子を見ていくとするよ。)

エリシェ(よろしくお願い致します。)

ミツキ(わたもミュティナちゃん十八番の体躯変更で、潜入捜査するわぅか?!)

ミスT(案外お前の方が合うかもな。例の吸血鬼姫嬢の口調を用いれば・・・。)

ミツキ(お任せ下さいですの!)


 う~む、ミツキのネタのバリエーションは凄まじい。そしてそのボケもだ。不覚にもそれに笑ってしまうのは、案外彼女の術中にハマってしまった証拠だろうな。



 それから数週間、トラガンへの通いが続いた。彼らの素性は、警護者より表沙汰で動ける警護者的な存在と言えた。俺達よりも世間体を気にせず動けるのは羨ましい。


 世間体を気にせずと言うのは、警護者が闇の存在であるのとは真逆だからだ。トラガンは通常の警備員的な流れとも言うべきか。ただシークレットサービスが合法で動いているのに対し、トラガンは半合法で動いていると言える。警護者は完全に非合法で動いているがな。


 当然実力は真逆に位置する。最高峰・・・いや、最強の実力を持つのは警護者だ。次いでトラガンになり、最後はシークレットサービスとなる。戦闘技術は無論、個人兵装の問題によりこの流れに至るのは仕方がない。特に日本は武装に関して厳しすぎるからな。


 これも逆になるが、海外だと3つとも最高峰の力を有する事になる。当然その中で最強は警護者になるが。やはり戦闘技術と個人兵装が大きなウェイトを占めている。だからこそ、ここぞと言う時に警護者が使われるのだ。ナツミツキ四天王が武装製造に没頭しているのは、正にここに至るだろう。


 今後も警護者の存在は廃れないわな。社会的に武装云々の面で厳しい目線で見られるほど、非合法組織となる警護者が半ば暗躍するのは言うまでもない。仕舞いには警護者同士の対決も十分在り得る。まあその時は容赦なく叩き潰すに限るがな。




ミスT「こんな所でしょうか。」


 エルシェナや秘書さんが絶句している。ある程度親しくなってから、俺の戦闘レベルを窺いたいという流れになった。そこで何時も動いている部分を軽く披露した。その結果がこれだ。


 相手はトラガンの精鋭と言われる面々を相手に、実戦形式で対決するものだった。当然相手のレベルも凄まじいものだが、ハワイでの特殊部隊の連中と互角かそれ以下というのが厳しい所だろう。


 つまり・・・もしトラガンが連中とぶつかった場合、その後の結末は火を見るより明らかになる。これは彼らを猛特訓する必要があるかもな・・・。


エルシェナ「こ・・これ程の差があるとは・・・。」

ミスT「率直に申し上げると、状況は非常に緊迫している。貴方達の実力はシークレットサービスと互角なのだろうが、それは日本国内でのレベル。先日ハワイでとある連中に襲撃された件があったのだが、その連中より劣っているのが現状だ。」


 怪我人がいないか見て回る。模擬弾とはいえ、半ば本気で動いたためだ。ただ面々に負傷者は全くいない。それにこのぐらいの流れを見せねば今後が危うい。


エルシェナ「え・・・まさか、ハワイの一件とは国家間外交の・・・。」

ミスT「知ってたのか、なら話は早い。今はこれが現状だ。」


 できれば彼らのプライドに傷を付けたくはない。しかしそのプライドで死者が出てからでは遅い。ここは敢えてヒール役を演じ、彼らを根底から揺さぶって成長させる必要がある。


ミスT「しかし、貴方達とあの特殊部隊のカス共と決定的に違う点がある。」

エルシェナ「・・・人間味、ですか。」

ミスT「流石だ、その通り。連中は人の命をゴミ同然に見ていた。倒れている仲間を踏み付けての進軍という。アレではいくら実力があろうが、本来の力は永遠に出せない。」


 粗方見て回るも、全員無傷のようである。しかし彼らのプライドに致命的なダメージを与えたのは間違いない。全ては味方全員生存、かつ敵対者の全員生存を勝ち取るためのものだ。


ミスT「自分が心配しているのは、連中から貴方達に横槍がないかという部分。今の実力だと対峙した時が非常に危ない。幸いにも貴方達の連携は逸脱するぐらいの素晴らしいもの。ここを根底に据えて、更なるレベルアップを狙った方がいい。相手はこちらを殺すつもりで来ているのだからな。」


 俺の言葉で対峙した面々は身震いしている。今の試合がもし実弾なら、彼ら全員負傷しているのだから。そして俺が不殺の一念を解いていたら、と想像したのだろう。確実に殺されていたのは言うまでもない。


エルシェナ「・・・今の私達に必要なのは何なのでしょうか?」

ミスT「活人技と武装強化かな。お互いの連携は凄まじいものがあるから問題ない。ただ総じて後手に回っているのが厳しい。時には先手を取る必要もある。」

エルシェナ「そうでしたか・・・。薄々は感じていたものでして、それを明確にご指摘して頂いたのは貴方が初めてでした。」

ミスT「決して貴方達を貶しているという事ではない、そこだけは理解してくれ。日本国内での戦闘レベルでは最高峰に近い。しかし自衛隊の方々や警察の方々を考えると、まだまだその領域には至っていない。互角にならない限り、特殊部隊の連中には太刀打ちできないだろう。」


 一服しながら思う。シルフィアが奮起させたのだろう、自衛隊と警察の方々の戦闘レベルが凄まじいまでに上がっているようだ。それだけ特殊部隊の戦闘レベルが逸脱している証拠になる。更に相手はこちらを殺しに掛かってきているのだから尚更だ。トラガンの面々も互角かそれ以上の実力まで引き上げたいものだ。


ミスT「どうする、今以上の実力を目指してみるか?」

エルシェナ「愚問です。正直な所、ここまで差が開いているのなら尚更です。貴方指導の元、私達全員のレベルアップをして頂ければ幸いです。」

ミスT「了解した。ただ1つだけ条件をくれないか。」


 彼らの今以上の実力を望む姿勢が痛感できた。悔しいという一念よりも、下手をしたら相手に殺されるという部分が拍車を掛けた形だ。これならそれ相応の実力を持つ軍団に成長できる。それと最後に提示した条件は、まあ後日分かる事だろう。


    第9話・3へ続く。

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