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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第1部・生き様の理
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第8話 国家間外交5(キャラ名版)

 海岸に倒れていた兵士達は、全員無事病院へと搬送された。最後の救急車両が去っていくのを見つめ、徐に一服をする。と同時にドッと疲れが出始めた。


ミスターT「・・・命の大切さを分からぬカス共、か。」

シルフィア「連中は使い捨ての駒にしか考えていない。これでは成せる事も成せないわね。」


 その場に座る俺の隣に、同じく座り込む彼女。エリシェやラフィナは後始末に追われているようだが、先程のギラ付いた殺気がまだ残っている様子である。


ミスターT「そう言えば、彼らは誰なんだ?」

シルフィア「あー、自己紹介がまだだったわね。」


 数々のシークレットサービスに守られるスーツ男達。その彼らに手招きをするシルフィア。それに気付くと怖ず怖ずといった雰囲気で近付いてきた。それに気付いたエリシェやラフィナも同じく近付いてくる。


シルフィア「はい、アメリカ大統領・ロシア大統領・イギリス首相の面々。」

ミスターT「うぇ・・・。」


 物凄く素っ気無く語る彼女に絶句した。大会議場にいた各国の首脳の中の代表格だった。その彼らが恩師に戦々恐々としている姿が何とも言えない。


ラフィナ「イギリス首相のデュシアE様、ロシア大統領のアマギH様です。そしてアメリカ大統領のディルヴェズ様になります。お3方とも、元シークレットサービス所属ですよ。」

ミスターT「へぇ・・・。」


 大暴れしていたせいか、エリシェのストレートヘアーがエラい乱れている。それに気付き、彼女を近場に手招いた。座り込む彼女の髪の毛を撫でる形で整えていく。顔を赤くするも、まるで幼子のように嬉しがっていた。


シューム「櫛ぐらい使いなさいな・・・。」

ナツミYU「本当に女性キラーですよね・・・。」


 エラい殺気立った表情を浮かべるも、持参していた櫛を使って髪の毛を整えだすシュームとナツミYU。その手際の良さは娘達にもそうしていたからだろう、心の篭った厚意そのものに見える。そして大企業連合の総帥たるエリシェも、こうして見ると普通の女性にしか見えないのが何とも言えない。


ミスターT「失敬。改めて、ミスターT=ザ・レミニッセンスです。」


 エリシェの身嗜みが整った所を見計らい、その場に立って彼らに自己紹介をした。すると俺の素性を知った事で一段と驚き、逆にその場で敬礼をしだしたではないか。国家の首脳陣らしからぬ行動である。


シルフィア「あー、補足ね。彼らも君が記憶を失う事変となった、あの飛行機に乗ってたのよ。」

ミスターT「あら、そうだったのか。」

ナツミYU「まだ大統領や首相になる前の話ですけどね。」


 今度はラフィナの髪の毛を整えだすナツミYUとシューム。このお節介焼きは何時もの事のようである。そう言えば船旅時でも、娘達や9女傑の身嗜みに気を配っていたな。


デュシアE「その節は大変ありがとうございました。」

アマギH「俺達があるのは貴方のお陰ですよ。」

ディルヴェズ「本当に感謝しています。」


 それぞれの国家首脳が頭を下げてくる。それだけ記憶を失う前の俺は、彼らを命懸けで救おうとしていた訳だ。今では窺い知る事はできないが、彼らの言動が何よりの証である。


エリシェ「実はお3方は本当の大統領や首相じゃないのです。言わば影武者的な存在でして。」

ミスターT「そりゃそうだわな。どう見ても日本人の血筋が流れているし。」

シルフィア「でもそれらが罷り通るのは、彼らが実際に築き上げた力の賜物よ。大統領や首相から絶大な信頼を寄せられているから。」


 薄々影武者とは感じていたが、それが罷り通るのも見事なものだ。しかも国家間外交での頭として派遣されている。代弁者とも言えるだろうが、それで外交が通るのだから凄い事になるわな。


ミスターT「実際の首脳陣は知らないが、彼らの方がよっぽど国を纏めてくれそうな感じだがね。」

シルフィア「それは言ってはダメよ。」


 俺や彼女の愚痴に3人は苦笑いを浮かべている。しかし肯定している部分もあるようで、実際は覇権争いやら何やらで喧騒な雰囲気なのは否めない。彼らの方が確実に国を纏め上げる力があるのは言うまでもないわ。


エリシェ「えー・・・ぶっちゃけ、不可能ではないですけど。」

ラフィナ「地球規模の大企業連合の力を以てすれば、現首脳陣の退陣などお手の物ですよ。」

ミスターT「・・・真顔で言うから怖ろしいわ・・・。」


 エラい不気味な笑みを浮かべて語る。先程の激昂の余波がまだ残っているようで、エリシェもラフィナもかなりのダーティ状態だ。ただ今語った行動が実際にできる力があるのだから怖ろしい。地球上で最大規模の大財閥というのは伊達じゃないわ。


エリシェ「まあそれは冗談として、今後の展開が読めずにいますけど。」

ミスターT「ああ、カス共ね。」

シューム「お3方の実力を以てしても、連中の動向は読めないの?」

デュシアE「残念ながら・・・。」


 影武者と言えど、今のその実務力からして実質の運営を担っているのは間違いない。その彼らしても特殊部隊の動向が読めずにいるようだ。


ミスターT「・・・そうか、だからか。なるほど・・・今回はエサとして利用された形だな。」

アマギH「申し訳ない、それが本音です。連中には、かなり前から妨害工作などを受けています。」

ディルヴェズ「姉御方が護衛対象とされている、ギガンテス一族の方々が来訪される前からです。以前東京に向かわれ、その後種子島から飛んだ時からがピークでして。」

ミスターT「なるほどね、当時はそういった経緯からか・・・。」


 3姉妹が地球に残ると言ったのは予想外だったのだろう。しかしそれが今回の発端に至ったのではなさそうだ。既にファーストコンタクトを取る前から、特殊部隊に目を付けられていた形のようだ。


 ふと3姉妹の方を見ると、海岸から砂浜に出てビーチボールで遊んでいる。多分発案者はミツキだろう。3姉妹と一緒に暴れていた。


 驚いた事に9女傑が付き合わされているのが何とも言えない。雰囲気や強面で取っ付き難い彼女達が、である。まあミツキの殺気と闘気の前では、応じざろう得ないだろうが・・・。


 その近くではハリアーⅡのメンテナンスをするナツミA・四天王・エリミナ達。不測の事態への対処は万全に、だな。しかし海岸なのによくぞまあ・・・。



ディルヴェズ「局地的な支援活動なら今後も可能です。むしろ手伝わせて下さい。あれだけコケにさられたら反撃しない訳にはいきません。」

アマギH「こちらも同じく。ただ他の国家間の目もあるので、表立った行動ができません。そこはご了承下さい。」

デュシアE「貴方には返し切れない恩があります。シルフィア嬢と同じく、今後もできる限りの支援をしていきますので。」


 3人の決意に心から頭を下げた。記憶を失う前の俺が彼らを支えたのだ。今の俺も彼らを支えねば、当時の自身をも否定しかねない。


シューム「国家や軍隊が動けない以上、切り札となるのは企業と警護者のみね。特に警護者なくして連中を抑える事はできない。」

エリシェ「少しでも平和な世上に近付けるのなら、私達も支援は一切惜しみません。そのための我々の力ですし。」

ミスターT「力の賢い使い方だわな。」


 影武者だが各国のリーダーがそれぞれ決意を述べる。それに大企業連合総帥のエリシェも。彼らは表の戦いに投じてくれればいい。裏の戦いは俺達警護者の役割である。特に汚れ役こそ真骨頂だわな。


 現状を考えれば、誰が間違っているかなど一目瞭然だ。しかしそれぞれの価値観、強いては生き様があるのが人間。生き様推奨派の俺は他人のそれを否定はできない。


 ただし、間違った行動に関しては徹底的に否定する。そして、盟友・友・大切な人物を悪口罵詈するカスは断じて許さん。


 あの特殊部隊の連中、いや・・軍服男が首謀者か。奴等がいる限り、今現在の安寧は絶対に掴めない。ならば、徹底抗戦あるのみだ。必ず叩き潰してやる。




シューム「さって、本題は片付いたし・・・。」

ナツミYU「そうですね・・・。」


 一服しながら一同を見つめていると、静かに立ち上がるシュームとナツミYU。その表情を見てゾッとした。エラい妖艶な瞳で見つめてくる。先程の戦いの興奮が今も冷めていない様子である。これはあの特殊部隊を相手にするより厄介だわ・・・。


エリシェ「お2方、すみません。まだ国家間外交が終わっていないため、マスターをお借りしてもよろしいですか?」

シューム「・・・さっきの爆発事変で中止になったんじゃないの?」

ラフィナ「立て前はそうしました。むしろ皆様方には態と待って頂いた次第で。」

シルフィア「連中を引き寄せるエサとして、ね。」

ナツミYU「・・・了解です。」


 非常に不満そうな雰囲気の2人。まあエリシェ達の横槍がなければ、俺を強奪したのは間違いない。この場合は彼女達に助けて貰った形か、何とも・・・。


ナツミA「と言うか、お2人さん。暇があったら最低限の武装以外、全部コンテナに収納よろしく。後でハリアーⅡ群で船に運ばないといけないから。」

ミツキ「断らないわぅよね?」


 うわぁ・・・姉妹のドギツイ殺気と闘気が放たれ出したわ・・・。それに周りの面々は顔を青褪めだしている。免疫がある俺や恩師には全く効いていないが。



 とりあえず、一度解散という形になった。使った武装郡は大型コンテナに入れて、それを超大型豪華客船に戻さねばならない。不測の事態に備えて手持ちした方がいいのだが、先程の戦闘で大体の武装形態を窺い知れた。それだけでも儲けものだろう。


 また予てから計画していたバカンスも実行するようだ。何時でも日本に戻れる準備をして、それから行う様子である。彼らの言い分だと、折角ハワイにいるのだから楽しまねばとの事。まあ確かに一理ある。


 仲間達が行動をしている間に、本当の国家間外交を行う事になった。今回はエリシェ達も参加するようで、専属の警護者として俺も抜擢される。というか先程のアレは、シュームやナツミYUから引き離す手法だったようだが・・・。


 ちなみにミュティ・シスターズには、ナツミツキ四天王が専属として護衛を担当している。ナツミツキ姉妹自身は単独で守れるとあり、今は3姉妹の方が最優先になる。何時あの特殊部隊の連中が現れるか分からない。俺としては3姉妹に全護衛を着けたい所だが。


 まあ今となっては警護者の触りも得だしているため、自身の種族絡みの戦闘力も相まって半端じゃない力を出せ始めている。何れ俺達が守られる様になるのは言うまでもない。


    第8話・6へ続く。

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