第8話 国家間外交2(キャラ名版)
ミスターT「・・・暇だ・・・。」
どれぐらい経過しただろう。粗方大会議場へと入っていた首脳陣。それから会議らしい事が行われている。内容はノータッチだが、一時期の物凄い重厚な警備が薄くなっていた。
ミスターT「そう言えば、ミュティ・シスターズ達は何処に行ったんだ?」
エリシェ「アリゾナ記念館にいます。ミュティ姉妹様方が地球の歴史を知りたいと申されまして。」
ミスターT「アリゾナ記念碑、パール・ハーバーか・・・。」
かつて旧日本海軍が奇襲攻撃をした港、日本人として絶対に避けては通れない場所の1つだ。ミュティ・シスターズにとって、その歴史はどう見えているのだろうか。
ミスターT「同じ日本人として申し訳がないな・・・。」
ラフィナ「確かに。しかし今、アメリカとは友好国の関係です。過去を振り返るのも大切ですが、本当に大切なのはその遥か未来。」
ナツミYU「そうね。それに警護者を行う以上、端から見れば傭兵そのものだからね。忌み嫌われたとしてもおかしくはない。」
シューム「それこそ、今後をどう尽くしていくか。ここが大切よ。幸いにも警護者としての力を駆使すれば実現可能だし。」
ミスターT「女性は偉大だわ・・・。」
何度も思うが、真女性は偉大だ。対して野郎は破壊と混沌をもたらす存在でしかない。先に触れた世界大戦の流れも、結局は愚かな野郎が引き起こしたもの。同性として恥ずかしいわ。
ミツキ「野郎は破壊と混沌をもたらす存在、ですか。」
ミスターT「あら、読まれちまったか。」
ナツミA「読むも何も、物凄い神妙な面持ちを見れば直感できます。しかし同時にマスターが何を抱き、そして突き進もうとしているのかも理解できますよ。」
ものの見事に心中を看破してきたナツミツキ姉妹。また傍らにいるナツミYU・シューム・エリシェ・ラフィナも小さく頷いている。
エリシェ「マスターはそうして胸中に常に問い掛けをなされている。当時の方々が行った事を我が身に移し、贖罪として受け止められている。だからこそ先に進む起爆剤と化している。」
シューム「そうよ。君が言った、男は破壊と混沌しかもたらさない。そして女は創生と誕生と司る、とも。男の君には分かり辛いかも知れないけど、女は絶えず未来を見据え動いている。」
ナツミYU「貴方がそれだけ見定めているなら問題ないと思います。そしてさっき先輩も仰られていました。私達には変革をもたらせる力を有していると。これらを駆使してでも、少しでもより良い世上作りに貢献できれば幸いです。」
ラフィナ「その生き様は、私達を中心とした大財閥にも通じる部分があります。眼前の悪口罵詈など捨て置き、今ではなく遥か未来を見据えて活動を繰り広げる。今を生きる方々に憎まれようが、未来の方々に感謝されるような存在になりたいもの。」
それぞれの女傑が言葉を述べる。殆ど彼女達の胸中の決意でもあろう。かく言う俺も同じ強い思いを抱いているが。
シルフィア(それこそアレよ。誰彼がどうこうじゃない、自分自身がどうあるべきか。それが重要だと。)
突然の恩師の言葉に驚いた。しかもそれが脳裏に聞こえるのだ。ヘッドセットは装備しているが、そこから聞こえるものではない。
ミュティナ(あ、これですか。お渡ししたペンダントの能力ですよ。持たれる方の脳波に影響し、念話としての会話が可能という。)
ミスターT(・・・全部聞かれていた、という訳か。)
俺のボヤキにニヤける周りの面々。これ、どうやら脳裏に思った事が伝わるようだ。というかこのペンダントにその様な能力があるとは・・・。
ウエスト(俺は皆さんの様に賢くないから詳しい事は言えない。だが1つだけ言えるなら、マスターが概念の己が生き様を貫き続ける。これしかないよ。)
サイバー(ですよ。過去の業の贖罪は大切です。しかし姉さん方が言う、今よりも先を見つめよ。ここしかありません。)
ナッツ(過去の業に縛られ停滞するか、過去の業すらも糧として前に進むか。どちらが正しいか、頭の悪い俺でも痛感できますぜ。)
エンルイ(振り返りの原点回帰は大切なもの。それが済めば、後は簡単ですよ。我武者羅に前に突き進め、これに限ります。)
ミツキ(それに皆さんが言ってます。幸いにも私達にはそれらを成し遂げられる絶大な力がある。更にミュティ姉妹方のお力が加算されれば、この世上から悲惨の二文字・孤児の二文字を無くす事に近付ける。)
ナツミA(孤児を無くすの淵源も、元は悲惨という概念から発せられるもの。それらを無くしていくのが、強いては世上を安定させる何よりのものだと思いますよ。エリシェさん方が挑んでいる生き様が正にそれです。)
ナツミツキ四天王とナツミツキ姉妹が胸中の思いを述べる。それは正に自分が思っている事と何ら変わりない。6人は1人の人間が分かれたような様なものであり、6人1組でなければ全く意味がないのだ。
エリシェ(6人方の胸中を伺って、私達の生き様が間違っていないと何度も思います。私達の力はあまりにも強大過ぎて、一部の勢力からは目の敵にされていますので。)
シルフィア(それこそ“だから何?”で蹴散らしなさい。そもそも、その連中が貴方達の様な生き様を刻んでいるのか。その本質を問い質せば黙りするわよ。批難中傷するだけで何もしてないのが実状だし。)
脳裏に一同の会話が響く。現状は黙って任務をこなす様に見えるが、実際は現状の通信機器を超える代物で会話しているのが何とも言えない。
ミュティナ(皆様方は地球上での目線でしか捉えていないと思われます。しかし私達地球外生命体の目線からすれば、荒波の中を進む兄弟姉妹船そのもの。お兄様が言われた・・・あれ、何でしたっけ?)
ミスターT(ああ、異体同心だな。異なる己らだが、目的・目指すべき場所が同じ故に団結できる。逆に同体異心や同体同心・異体異心では何も成し得ない。)
ミュティナ(ですね。私達ギガンテス一族も異体同心を心懸けています。この広大な宇宙を流浪するからには、身内でのイザコザで諍いを起こすのは愚の骨頂。もっと大切な事があるのを知らねばなりませんから。)
あの幼子たるミュティナが語る内容とは思えない。やはり10万年生きているだけはあるわ。だからこそ、彼らギガンテス一族は長い旅路を続けられるのだろうから。
ミュティヌ(アレですよ、ミツキ姉の生き様が世界を平和にする感じで。)
ミュティラ(“持ちつ持たれつ投げ飛ばす”。正に我が意を得たり、そのものです。)
ミツキ(ウッシッシッ♪ この生き様に回帰すれば、後は敬い・労い・慈しみの精神でデコわぅ。)
ナツミA(デコレート、ね。まあ貴方の生き様が正に両方とも含まれるから、後は突き進むだけになるけど。)
ミツキ(ウッヘッヘッヘッヘッ♪)
外見上は座ってノホホンとしているが、念話では絶好調のミツキ。俺や周りは笑いを堪えるのに必死である。ただ確実に言えるのは、ミツキのその生き様が今の世上の特効薬になるのは間違いない。多少強引過ぎるが、このぐらいがいいのだろう。
シルフィア(とまあ、道が定まってるなら簡単よね。上辺の右往左往、表からの悪口罵詈や横槍。そんな妨害要素では止められない概念だしね。)
ナツミA(今の世上ほど、己の生き様を問われる時はありません。それだけ殺伐としており、何かを求め彷徨う流浪の旅人そのものでも。)
ミツキ(茶菓子を追い求めるワンコ参上わぅ!)
シューム(ぶっ・・アッハッハッ!)
この美丈夫はまあ・・・。最後のミツキの纏めで、堪えるのに必死だった笑いが爆発した。俺達はその場で大爆笑してしまう。それに近場にいた警備員の方々は驚愕している。
ナツミYU(何というかまあ・・・この生き様あれば怖れなし、ですよね。)
ミュティナ(私達も肖りたいものです。)
ミスターT(俺達なら、やってやれない事はないわな。)
俺が自然と一服しだすと、釣られてナツミYUとシュームも一服しだした。任務中だというのに緊張感が無さ過ぎる。まあ逆を言えば、これが妨害者にとって特効薬になるのだろうな。
ウエスト(ちなみに、某作品などがありまして。)
ミスターT(あー、例の作品か。)
ウエストが言うのは巷で有名な作品だ。多分アリゾナ記念館に赴いた流れで思い出したのだろう。同記念館には当時敵国だった日本の、しかもパール・ハーバーを奇襲した部隊の旗艦“空母赤城”の模型が展示されている。本当に凄い事だわ。
ナツミA(そう、マスターが思われたそれ。戦争の風化とか言われているけど、私からすればどんな形であれ知って貰う事の方が遥かに重要だと思うけどね。淵源がどんな出来事だったのかと回帰できるかどうかが重要だし。)
シルフィア(そうよね。昔は連合艦隊や戦艦大和などの映画があったけど、今は特別でなければ放映される事がない。近くでは、山本五十六さんのもあったね。)
ウエスト(戦争は絶対悪だ。しかし絶対悪に位置付けるには、過去に起きたそれらを語り継がねば意味がない。ナツミA嬢が言った、戦争描写が不謹慎うんたらかんたら。そんな事ではなく、今の世界の流れでどう表現して語り継ぐか。)
ミスターT(戦後生まれの自分からすれば、何を語っているのだと言われかねない。しかし、戦後生まれだからこそ語らねばならないのもある。それがどんな形であれ、だ。その要素があるだけ素晴らしい事だと思う。強いては平和だからこそ、某作品が誕生できた訳になるしな。)
一服しながら思う。過去の歴史は確かに重要である。しかし今を生きる自分にとっては、明日を勝ち取らねば意味がない。幸いにも警護者という絶大な力がある。これらを駆使してでも、少しでも世上から悲惨や孤児の二文字を無くせるなら何だって行ってやる。
シルフィア(・・・T君のその思い、確かに受け取ったわ。ならば師匠として、貴方達に降り掛かる火の粉を全部払い除けていくから。青髪の鬼神を見縊るな、とね。)
ウエスト(汚れ役なら一緒に担っていくよ。こう見えても実力主義なので。それなりに力はある。)
ナツミA(そうね、力があるなら使ってこそ。その布石になる戦いなら、一切の私情は不要。後は前に進むのみ。)
意思の疎通・念話により、彼らの痛烈な決意が伝わってくる。これは警護者に至った俺達総意の決意に等しい。だからこそ起爆剤として前に進めるのだ。
シルフィア(まあ、更に根底に“敬い・労い・慈しみ”の精神が必要不可欠だけどね。)
ミツキ(そうですね。そこの起爆剤に私が役立てるなら、今後も無双を演じますよ。)
ナツミA(演じるというか、素体でしょうに。)
ミツキ(グッヘッヘッヘッヘッ♪)
最後はまあ、この3人に締められた。相変わらずのミツキ節で不覚にも爆笑してしまう。この美丈夫の理があれば、後は前に進むのみだわ。
マンガ・アニメで原点回帰か、不思議なものである。しかしそれで先に進めるのなら、本当に素晴らしい事だ。これらの作品を創生してくれた作者の方々に、心から感謝したい・・・。
第8話・3へ続く。




