第7話 怒りの一撃4(キャラ名版)
リュリア「ひろ~い!」
ミツキ「うぇ~い! 2回目わぅね!」
エラいおおはしゃぎのリュリア。ミツキは何時もの事だから問題ないが、リュリアの喜ぶ姿を初めて見るわ。アサミとアユミもエラい喜んでいる。何時もは留守番が当たり前なだけに新鮮なものなのだろうな。
ミスターT「はぁ・・・一段落だわ・・・。」
シルフィア「こちらの方が戦々恐々だったわよ。」
エリシェ「本当ですね。」
船だろうが飛行機だろうが、地面が安定している場所なら全く問題ない。そして高々度や水に関するもの自体が見えない限り、こちらも全く問題ない。本当に安らぎの一時だわ。
その中でフラフラなエリシェ。時差ボケで眠気が凄まじいようで、今にも倒れそうである。その彼女を呼び寄せ、お姫様抱っこをしてあげた。当然ながら物凄い慌てている。
エリシェ「あ・・あの・・・。」
ミスターT「小切手の礼がまだだったからの。それのホンのお返しさ。」
エリシェ「あ・・はい、すみません・・・。お言葉に甘えさせて頂きます・・・。」
最初はシドロモドロの彼女も、その心地良さからか直ぐに寝てしまう。推測するに、相当眠たかったみたいだ。その彼女に着用していたガウンを被せるシューム。
シューム「見事な采配ね、この場合は君の肩を持つわ。」
ナツミYU「相当眠そうでしたからね。」
本来なら相当なヤジを飛ばすであろうシュームとナツミYU。しかしエリシェの現状には同意できるようで、今は俺の肩を持ってくれた。
ミスターT「この小さな身体に、会社に携わる世界中の人の命が掛かっているんだよな。本当によく頑張っているよ。」
ラフィナ「エリシェ様はマスターと同じく、我が身を省みず動く癖がありますので。今回の作戦の念入りな準備を寝ずに行っていましたし。」
ナッツ「縁の下の力持ちを労え、ですな。俺達の工場の運営費も、今ではお嬢の力で賄っているとも言えますし。」
エンルイ「あ、部屋はどちらで? 先回りして待機していますよ。」
ラフィナ「あ、はい。こちらです。」
ラフィナ先導の元、ナツミツキ四天王が裏方に動き出す。彼らはこういった裏の行動の方が性分に合うとの事だ。また10人の女傑達も同じく裏方の行動に出だした。俺達はゆっくりと動く事にする。
ミツキ「そう言えば3人は寝た事はあるわぅか?」
ミュティナ「私達ですか? ここ数年は全く寝た事がありません。」
ミツキの問いにミュティナが答える。が、その内容に驚愕する俺達。確かに3人は宇宙人とあり、人間の常識が一切通用しない。
ミュティラ「僅か数分の仮眠だけでも充分な時間が取れますので。」
ミュティヌ「動きまくりっす。」
リュリア「遊びまくりだねぇ~。」
この半永久機関たる3姉妹はモンスターだわな・・・。そしてその彼女達とノホホンとするリュリアもまた凄いものだ。ミツキも合わせた5人は本当の姉妹そのものである。
ミスターT「・・・宇宙人と人間の縮図、か。」
ミツキ「むむっ、寿命云々の部分わぅ?」
ミスターT「そう。リュリアはあと10年もすれば、お前と同じ大人になっちまう。ところが3姉妹の方は10万年以上経過しないと変わらない。その頃には俺達は既にいないしな。」
シューム「その華奢な身体でどれだけの苦痛を見てきたか、よね。」
シュームの纏め言葉が正にそれである。ミュティ・シスターズの永遠とも言える生の時間で、どれだけの苦痛を味わってきたのか。俺達のそれとは雲泥の差である。リュリアと一緒にいる3人を見ていると、居た堪れなくなってくる。
シルフィア「ん~、でもないんじゃないかな。確かに宇宙空間に出れば、ミュティナさん達の強さは発揮されるでしょう。年齢も時の流れもそう。しかし地球にいる限りは、私達と同じ時間が流れていると思うわ。」
アサミ「外なる宇宙・内なる宇宙ですね。」
アユミ「私達人間の中にも小さな宇宙が存在している、と。」
殆ど口を出さないアサミとアユミが明確な一撃を放つ。外なる宇宙・内なる宇宙、人の内部にも小さな宇宙が存在するという例えのものだ。
ナツミA「この地球が浮かぶ宇宙空間は、大きな人の体内の中という現れよね。そしてそれは私達の体内の宇宙とも繋がっているというもの。」
アサミ「そうですね。理路整然と解釈できるものではありません。しかしそれが感じられる場面は、やはり生命を実感した瞬間でしょうか。」
アユミ「皆さん方の中にも宇宙がある。それ即ち、宇宙は1つの生命にも繋がりますから。」
もはや生命哲学の論理に至るものだろう。現役の学生であるアサミとアユミなら専売特許だ。流石の総合学園校長たるナツミYUにもチンプンカンプンのようである。
エリシェ「・・・小宇宙・大宇宙、全ては生命体そのもの。」
ミスターT「すまん、起こしちゃったか。」
エリシェ「いえ、大丈夫です。ただ難しい話に反応する癖は今もありまして・・・。」
バツが悪そうにするエリシェ。彼女も学びながら大企業連合の総帥をしているようで、双子の発言に呼び起こされた形になるという。しかし今も俺の胸の中にいるのは、余程心地が良い様子だ。
エリシェ「私達の大企業連合も生命哲学に基づかなければ動く事ができません。数多くの人々を養い続けている面から繋がるものもありますから。」
シューム「それだけの大企業を維持し続けられるのも、人としての当たり前の回帰に至り続けるからこそよね。」
エリシェ「ですね。じゃないと一歩間違えば破滅をもたらす可能性もありますので。」
ナツミYU「力の使い方も、誤った方向に行くと破滅よね。」
恒例の一服する面々は自然と一服をしだす。俺は両手がエリシェで塞がっているため不可能である。しかし、力も一歩間違えば破滅をもたらすというのが怖ろしい話だ。
ミツキ「命の力ほど最強の力はありませんよね。上辺では資金面の方が速効性があって強みですが、根底の部分を見つめると生命力の方が遥かに強いですから。」
ナツミA「私達はそれをあの時に見つめたのよね。人は極限状態に陥らない限り、生命の有難みを感じる事ができない。皮肉と言えば皮肉よね。」
珍しく真面目言葉で語るミツキ。そして結論的発言を語るナツミA。数年前に出会った時のナツミAは病弱で、明日がどうなるか分からない状態だった。それが今ではこの様相である。
ミツキ「姉ちゃんが苦しんでいた時ほど、その生命の有難みを知る事ができた。その後のTさんと出会ったのもそう。姉ちゃんが言う様に、人間は極限状態にならないと有難みか感じれない存在になってしまったんですかね。」
ミスターT「こうなると心構えの問題に近いがね。常日頃の一念次第で、生きるという歓喜を知る事ができる。ナアナアに生きるなら誰でもできる。しかしそこに歓喜は一切ない。」
エリシェ「ですね。私達の社の方針も、とにかく生命尊厳を最優先事項としています。でなければ皆さんが仰る様に、超絶的な力の前では堕落するのは言うまでもありません。」
俺の両手が疲れだしているのを伺ったのか、ミュティナが代わると言い出した。この華奢な身体で大丈夫かと思うも、例の重力制御の理で簡単にエリシェを肩に乗せるのだ。これには周りの面々は驚愕してしまう。
エリシェ「何かすみません・・・。」
ミュティナ「いえいえ、お気になさらずに。お兄様を支えていらっしゃるお礼でもあります。もしそれがなかったら、私達は今こうしていません。」
ミュティラ「ミツキさんのお姿が正にそれですよ。」
ミュティヌ「そうだよね。私達が独立行動する事で、諸々が危なそうだとは思っていたけど。でもみんなとワイワイしたい。」
ミツキ「そこは任せて下さい。Tさんと同じく、一度守ると言ったからには徹底的に動きますから。生半可な考えで動くぐらいなら、最初からこの道には進みません。」
物凄い気迫のミツキに周りは驚くも、その限りない優しさも含まれる部分に安堵を覚える。ミツキが体現する、敬い・労い・慈しみの精神。これがもはや彼女の生き様そのものになっていると言えるわな。
ミスターT「そんなお前達を纏めて守り通すのも、俺の役目だわな。覆面の風来坊・・・警護者か。俺は伊達じゃないぜ。」
両手が解放したので、一服しながら内情を語った。ナツミツキ四天王のナッツが名言の、“纏めて守り通せば済む”である。俺も彼に心から同調するわ。
シューム「へぇ・・・覆面の風来坊、物凄くいい響きよね。」
ナツミYU「今は覆面の警護者でしょうけど、むしろ覆面の風来坊をコードネームにするのがいいかも知れませんね。」
シルフィア「ランジェリーマスターはどうするのよ?」
ミツキ「それはアレわぅ、覆面の風来坊・ランジェリーマスターでいいわぅ。」
ミスターT「俺の名前はランジェリーマスターなのか・・・。」
ミツキの茶化しで周りは爆笑する。ランジェリーマスターの称号は、今では警護者の世界で轟いている様子だ。覆面の風来坊もいいが、嫌な称号だがランジェリーマスターも恐怖度を撒くなら申し分ないだろうな。
会話をしながらも、目的の場所へと向かう。が・・・とにかく広い。先に四天王とラフィナが向かったが、走って向かっても数分は掛かったそうである。
俺達が到着した頃には、上船から1時間ぐらい経過していた。既に超大型豪華客船は目的地のハワイに向けて出航を開始している。この海上とは思えない安定感は見事だわ。
ちなみにハリアーⅡ隊の面々をシルフィア直々に紹介してくれた。部隊長のエリミナを筆頭として、レビリア・セデュラ・ミュデラ・ラシュナ・トーマスMの6人である。まだ10代の面々が多いが、その腕は警護者クラスというのだから怖ろしい。
というか高校に入った辺りから飛行訓練を開始したとか。その後は猛特訓でライセンスの取得も至り、最短でハリアーⅡを扱えるに至ったという。特にエリミナの操縦技術は凄まじいらしく、シルフィアしても敵わないと言うのだ。
やはり時代は若い世代である。今じゃ中堅に至る自分も、何れ彼らの様な若い世代に譲る時が来るのだろうな。
第7話・5へ続く。




