第14話 息抜きと言う名の非日常1 カウンターでの一時(通常版)
壮大な催したるアキバ・コミケが終わった。数日間の流れだったが、集客数は歴代最高人数を叩き出したとの事である。一般的なコミケよりも各段に多かったようだ。
それはそうだろう。こちらも一般的なコミケの内容は当たり前だったが、それ以外に警護者専用ガンシップを登場させたのだ。レプリカ大和とレプリカ伊400である。これが最大の目玉だったと言うしかない。
ヲタク気質の方々からは、暫くは中央通りに配置しておいて欲しいと言う要望を多数受けたのだが、流石に長期間の交通規制は不可能である。ここは諦めて貰うしかない。
そんな中、待ったの声を挙げたのが大企業連合と宇宙企業連合の面々。前者代表のエリシェとラフィナ、後者代表のヘシュナとナセリスが新たなプランを打ち立ててきた。それは、2隻のガンシップを東京湾に数週間ほど配置してはどうかというものだった。
これには大変呆れ返ったのだが、警察機構のトップたるウインドとダークHも太鼓判を押す流れになってしまった。そもそも、警察機構の資金出資先は先の2大企業連合だ。否が応でも話が通ってしまうのは何とも言い難い。
まあ数多くの事変をほぼ無傷で勝ち越えてきた手前、世上の意見は俺達サイドに賛同してくれている。惑星事変と黒いモヤ事変が顕著で、アレは俺達が活躍しなければ全ての終焉に至っていたのだと声を挙げてくれた。
烏滸がましい事この上ない感じだが、それだけあの各事変は総意には絶対的に対応外の様相だった証拠である。俺も一介の警護者の立場であれば、間違いなく総意の意見と同じだ。誰も地球規模やそれ以上の大災害を抑え切れる筈がない。
5大宇宙種族の存在には、本当に心から感謝せざろう得ない。もし彼らがいなければ、今をこうしていられなかったのだからな・・・。
そんな事で、向こう数週間は東京湾にてレプリカ大和とレプリカ伊400が展示される事となった。運営の方は躯屡聖堕チームが担ってくれるとあり、こちらは余程の事がない限りは対応する事はないと言う。
ちなみに、同艦群への入場料だが無料だ。儲ける事が仕事ではないのだから当然である。運営費も全部2大企業連合が出してくれるとあり、とにかく無事故で運営をするのがこちらの唯一の仕事であろう。呼ばれるほどのヤバい事変に遭遇しなければ、だが・・・。
警護者専用ガンシップが、各抗争後にこうして役に立てるのなら万々歳と言うしかない。
ディナリアとティリナの母娘だが、先の誘拐事変を踏まえて地元に住まわせる事にした。諸々の手続は同族のデュヴィジェが行ってくれている。まあ大多数はエリシェとラフィナに頼ってはいるが。
2人には他に家族はおらず、今まで細々と暮らしてきたようである。しかし、ディナリアが至上希に見る力作を開発した事から全てが一変した。それ故に誘拐事変が起こったのだから。となれば、手前で挙げた通り、近場に住まわせた方が遥かに安全である。
そこで、喫茶店2号の上階に住ませる事になった。同建物は喫茶店以外での使用がなかったため、誰かしらが寝泊りして警備に当たっていた。ディナリアは宇宙種族なため、警備の面は全く以て問題ない。
更には母娘が住まうという事から、トラガンの女性陣が交代で一緒に泊り込む事になった。これも警備の関係だが、どちらかと言うと警護になるのだろう。まあ先にも挙げたが、この母娘は宇宙種族なので、戦闘力に関しては彼女達を超越しているのだが・・・。
そう、驚いた事があった。身内の中で一番幼子のティリナだが、何とミツキに近い格闘術を学んでいた。合気道1段と走り立てではあるが、一介の人間程度なら軽く蹴散らすぐらいの力量があるという。
アキバ・コミケで泣きながら彷徨っていた彼女だが、もし有事の際はとんでもない力を発揮して暴れたかも知れない。言葉は何だが、腐っても宇宙種族という事だ。何ともまあ・・・。
ディナリアは格闘術は学んでいないが、見様見真似での業物は持ち得ていると言う。特に俺達が好んで用いているプロレス技が顕著で、近接戦闘ならそれなりにやれるのだと言う。何と言うか、やはりぶっ飛んでいるとしか言い様がない。
そんな母娘なので、余程の事がない限りは有事に至る事はないだろう。先の誘拐事変ではディナリアの誘引戦法により引き起こしたものでもあったのだから・・・。彼女の女王たるデュヴィジェもそうだが、デュネセア一族は色々とぶっ飛んだ行動を取る事が多いわ・・・。
「・・・・・。」
喫茶店本店のカウンターは隅にて、物思いに耽っている。この一見すると無駄に思える行動だが、それすらできないぐらいの忙しさが先の各事変だった。特に終盤は俺達の生命以上に、地球や太陽系、果ては天の川銀河の生命群を守る戦いに発展したからだ。
推測の域だが、あの事変以上の出来事が起こるとすれば、恐らく他惑星内でのイザコザに巻き込まれるというのが考えられる。それに脳内の何処かに、“それらしい流れ”を経験した記憶があったりしている。
それが本当に何なのかは分からないが、他の事変に関してあるとすれば他惑星だろうな。まあでも、本当に起こるかどうかは分からない。今はこのノホホンとした一瞬を享受したいと心から思う限りである。
「・・・はぁ。」
各事変を思い巡り、自然と溜め息が出てしまう。常人には考えられない出来事が立て続けに発生していた。だが、それらは己の血肉や経験となったのは言うまでもない。なかんづく、警護者の生き様はそうしたものである。
そして、心からの安穏を願うも、心の何処かでは新たな旅路や戦いを望んでもいた。一種の冒険心とも言えるのかも知れない。まあこれは誰しもが持ち合わせているものだろう。
「また自己嫌悪の類ですか?」
ふと背中に抱き付いて来る人物がいた。恒例的な厚意をしてくれるのはナセリス、最早常套手段とも言える。他の女性陣は、流石に彼女ほどの力量はないようだ。と言うか、隙あらば背中に抱き付いてくるのが恒例的とも言えた。
「んにゃ、今までの流れを思い巡っていたわ。」
「ああ・・・色々とお疲れ様でしたね。」
「ハハッ、すまんな。」
思い巡っていた様相を知り、同じく経験した者として同意の声を挙げる彼女。それだけ先の各事変は筆舌し尽くし難い様相だったのだから。
ただ、これは地球人は人間としての見解であって、ガードラント一族のナセリスからすれば朝飯前的な感じだったかも知れない。他の宇宙種族達も同様のようで、確かに大変ではあったと思うが、まだまだ暴れられるといった雰囲気を醸し出してもいる。
現に背後のナセリスも同様で、何か興味を引く事を探している様子だ。それが偶々目の前に黄昏れている俺を見つけ、“バックアタック”をカマしたのだろうな。何ともまあ。
第14話・2へ続く。
3ヶ月振りの更新です><; しかし、蓋を開けたら前日まで数行までしか完成していなかったという@@; 慌てて何とか今回の分の流れは構築できました><; まあ今後はラストに向けての後日談的になるので、今までの各事変などを振り返る事が多いと思います。布石は次作の探索者へと。
自分も何度か読み返しているのですが、まだ警護者の世界では“引き金を引く”事はしていないという。対して探索者では本来の警護者の姿に戻ったという感じでしょう。劇中での言葉を借りるとすれば、所詮警護者軍団は人殺しの集まり、と言えますし。それを覆す旅路が、この覆面シリーズの真髄なのかも知れませんね。




