第13話 母と娘と6 不安材料を思う(通常版)
「先日マスターに挙げた通りの展開になりましたね。」
「ああ、アレか。」
近場の椅子に腰を降ろし、和気藹々と雑談する面々を見つつ紅茶を啜る。これも身辺警護の一環だが、それにしては気が抜けている感じではある。
まあ同じく紅茶を啜るデュリシラは無論、周辺の身内の目は何時になく光り輝いている。ディナリアやティリナの護衛は無論だが、彼女達が開発した作品への一念もあったりするのが実状だろう。それに、デュリシラが挙げた通り、ディナリア達が開発した海王の艦隊は注目の的だ。
これも前に挙げたが、そもそもVRMMOはRPGを主軸とした流れが多い。それを艦長にダイヴし艦船を操艦するとはな。その発想には恐れ入るとしか言い様がない。注目を浴びるのは目に見えていると言える。
それに、この作品は日本国内に留まらず、世界規模でリリースするとの事。つまり、結構な大所帯になるのは言うまでもない。それだけ身内達にとっては垂涎のものと言えるだろうな。かく言う俺も全く同じ思いである。
「実際にリリースされたら、真っ先にプレイしてみますよ。」
「はぁ・・・お前さんのヲタク気質には脱帽だわな・・・。」
本当である。デュリシラのヲタク気質は身内達の中で群を抜いている。追随してミツキ達がいるのだが、その度合いは遥かに異なると言い切れた。まあこれも彼女がプログラミングに精通しているのもあると言える。
そう言えば、身内では彼女以外にナセリスやデュヴィジェ、ナツミAやウエストやサイバーがプログラミングに精通している。他にもいるにはいるのだが、この5人に敵う者はいない。本当に身内のプロフェッショナル度には度肝を抜かされっ放しだわ。
ちなみに、ミツキとナッツとエンルイはプレイする方が主流のようで、プログラミングは不得意らしい。しかし、彼らの言わばテスター的な視野は非常に有益のようで、色々な詳細を伺っているとの事だ。
もし、この警護者の戦いがなかったら、彼らはゲーム会社を創設していたかも知れない。過去に彼らが今の一種の野望を挙げていたのも懐かしい。それに、エリシェとラフィナも結構なゲーマーなようで、大企業の総帥と副総帥を担わなかったらゲーム会社を創設していたのは言うまでもない。
何と言うか、身内の娯楽に対しての姿勢は、ある意味で警護者のそれと殆ど変わらない。唯一変わっているとすれば、それが一般的に認知されているかどうかの差である。
言葉は悪くなるが、所詮警護者は人殺しの集団。この概念は絶対に覆る事はないのだから。だからこそ、俺達はそのレッテルを覆すために戦い続けるのだ。
「そのうち・・・ティリナさんも暴れるとか言い出しそうだわ・・・。」
「そりゃそうですよ。あの母ありて、あの娘ですからね。私の双子の子供達も同様な感じですし。」
「ハハッ、そりゃそうだな。」
自分達が良い例だと挙げるデュリシラ。双子の子供たるデュシアEとデュシアLも、非常に母親に似ているのだから。ただ、それは子供達がプログラミングが得意と言う事ではなく、特化した得意分野を見出し易いと言うべきだろう。
まあこれは彼女達に当てはまる事ではなく、身内達全員に当てはまると言えるが・・・。本当に身内のスペシャリスト度には心から脱帽するしかない。
「それに、デュヴィジェ様も危惧されているようですが・・・。」
「ああ、これで終わるとは思えない、だな・・・。」
今の懸念点はこれである。既にデュヴィジェが何らかの様相を察知しているようであり、デュリシラや他の面々も徐々にその度合いを強めている。かく言う俺もしかり。それに、今度の事変はかなりの長丁場になりそうな気がする。
凡人なら思い過ごしで済むのだろうが、デュヴィジェは5大宇宙種族のデュネセア一族。しかも、先の黒いモヤ事変では単独で監視任務に当たるほどだ。そしてキレ者でもある。
5大宇宙種族の誰もが、これで全てが終わったとは思っていない。同様に警護者に所属する俺達総意も全く同じ思いである。不測の事態に備えて、心構えは常に持っておきたい。
「まあでも、今後何が起ころうが、何でもこざれで構えていますけど。」
「オフコース、その気概じゃないとやってられないわ。」
本当である。今までもどんな様相が舞い降りようが、彼女が挙げた通りの何でもござれの気概で乗り越えて来た。今後もその流れで突き進むのは言うまでもない。それに不器用な俺としては、この気概で進む方が遥かに気が楽である。
更に言えば、そこに助けを求める存在がいるのであれば、形振り構わず手を差し伸べるのが警護者の生き様だ。これも今後も一切曲げるつもりは無い生き方である。
その後もアキバ・コミケは続く。突発的に発生した誘拐事変になったが、ほぼ模倣犯とも言うべきお粗末なものだった。俺が主犯格であれば、ディナリアを誘拐するのではなく、娘のティリナを人質に取る。その方が色々と意見が通り易いからな。
過去の大きな事変の主犯格はその流れを汲んでいた。人質は地元の方々や、仕舞いには世界の人々を盾に使ってきた。もし5大宇宙種族の面々がいなかったら、間違いなく右往左往のシドロモドロに陥っていただろう。幾ら警護者の力が万能であっても、世界規模の抗争を抑え込むのは不可能だ。
幸いにも、この特効薬的な存在は5大宇宙種族の面々だった。ギガンテス一族を筆頭に、ドラゴンハート一族やカルダオス一族、そしてガードラント一族にデュネセア一族である。彼らがいなかったら、今こうして娯楽に興じる事は不可能だったわな。
特にデュネセア一族のデュヴィジェの存在は常識を逸脱している。何度も挙げるが、彼女の手腕は俺達が考えられないレベルに至っている。その彼女が俺の娘的な存在なのには、本当に驚かざろう得ない。そして、その手腕は五つ子の娘に受け継がれている。
大事変を乗り越えた現在、5大宇宙種族の後継者達は表立って動く事を控えだしている。注目度はデュヴィジェを筆頭にリーダー格の面々に浴びせている感じだ。色々と思惑があるのだろうが、これはこれで仕方がないとは思う。それに、あれだけのドデカい事変を乗り越えたのだ。世界中から注目を浴びるのは絶対に避けられない。
これは俺達にも当てはまるのだが、そこは躯屡聖堕フリーランスの力が幅を利かせている。更には大企業連合の底力も同様だ。そして極め付けは、世上の論議を黙殺する警護者の存在。5大宇宙種族の面々が普通の生活をおくれているのは、警護者の存在が大きいのだろうな。ミュセナ達がスミエには頭が上がらない筈だ。淵源たる立役者は彼女なのだから。
ちなみに、スミエを祖母に持つ俺ではあるが、遠縁の存在となるので血筋は非常に薄い。しかし、彼女は俺の紛れもない血縁者の1人である。
だが、結局の所は、血縁者の理は大事ではない。本当に大事なのは魂の絆の繋がりだ。俺がミツキ達を敬愛するように、血筋ではない純粋無垢の繋がりだ。概念でもあり理でもある。
ディナリアやティリナとも出逢えたのは、こうした魂の絆の集大成とも言えるのだろうな。2人とも既に俺達のファミリーの一員だ。本当に不思議だと言うしかない。
第13話・7へ続く。
次なる事変への思いを巡らす。警護者の後の流れは探索者に繋がるので、劇中の彼らは既にそれを察知していたのかも知れませんね。まあこれは創生者視点からすれば後付け設定になりますが@@;
そもそも、警護者と探索者を執筆しだした当時は、後の大艦長や次の作品などを考える事はありませんでした。それが今では続編に次ぐ続編という感じになっていますので><;
ともあれ、広げた風呂敷はしっかりと閉じたい所です。最後まで突き進んで参りますよ(=∞=)




