第12話 壮大な催し12 大局的な流れ(キャラ名版)
デュリシラ「・・・ははぁ、そう言う事ですか・・・。」
雑談をしながら待つ事数十分後、何かを掴んだ様子のデュリシラ。小型ノートパソコンに表示された内容を見せてくる。それを窺うと、そこには大規模VRMMO作品に関しての文献があった。
専門用語などの細かい事は分からないが、その作品が相当な力量を費やして制作されている事が伝わってきた。事実、検索に走っているデュリシラ自身が興奮気味になっている。
ミスT「・・・これって、あの作品か。」
デュリシラ「ええ、あの作品です。」
あの作品とは、艦長にダイヴして艦船を操艦するVRMMOだ。何故にそこに行き着いたのかだが、その重役の中の1人の娘にティリナの名があったからだ。何故彼女の名が挙がったのかだが、彼女の母親が開発に関わる人物らしい。
と言うか、プライベートに関して挙げて良いのかと思ってしまうが、同作の開発会見時に母娘一緒に参加しているのが挙がっていた。ティリナの名前は伏せていない。ちなみに、母親の名前はディナリアだ。
そして、何故に娘を放置してまで行方を眩ましたかだが、何と同作の極秘情報を強奪されたという。本当なのかを傍らのデュリシラを窺うが、彼女の方も呆れるしかないようだった。
ナツミA「・・・娘を放置して仕事を優先、と。でも、この様子だと社運を賭けた作品だと思われるので、どうしても動かざろう得なかったのかも知れませんね。」
ヘシュナ「言い方はアレですが、大局的に物事を見よ、でしょうかね。」
ミスT「作品創生に関わった人物達の努力を無駄にさせないため、か。」
なるほどな・・・。これが地球人の母親なら、ほぼ確実に娘の事を取るだろう。しかし、ティリナの母親はデュネセア一族だ。宇宙種族の根底概念には、大局的に物事を見よ、という一念が根付いている。
先にも挙げたが、恐らく同作に関わった方々の事を考えれば、自分の家族を投げ打ってでも対応せざろう得なかったのだろうな。下手をしたら関わった方々が露頭に迷うかも知れない。
何と言うか、理に適った事と言うべきか。それとも、娘を蔑ろにして動いているに過ぎないと言うべきか。実に悩ましい感じである・・・。
シルフィア「・・・はぁ、君が溜め息を付く理由が分かるわね・・・。」
ミスT「地球人視点なら、ディナリアさんの言動は理に適っていない。しかし宇宙種族視点なら、実に理に適っている。まあだからと言って、絶対的に許されるものではないが・・・。」
デュヴィジェ「私も母親である以上、もしディナリア様と同じ境遇に置かれたら迷います。確かに愛娘は大切ですが、苦楽を共にした戦友達全てが露頭に迷うなら・・・。」
ヘシュナ「家族を投げ打ってでも行動をする、と。」
・・・何ともまあ、な感じである。ともあれ、不幸中の幸いだったのは、俺達がティリナを保護できた事だ。母親のディナリアの心境は大変なものだろうが、その今の心境をティリナを放置した事への罪滅ぼしとして代えさせて貰うしかない。因果応報の理だ。
それに、ティリナ自身が何となく分かっているような気がしてならない。初遭遇時は泣いていたのだが、それは一時的なものだとも思える。現にミツキと和気藹々としている姿を見て、その肝っ玉の据わりは尋常じゃないものだ。
ミスT「・・・ディナリアさんには、後で“メッ”をしないとダメだな。」
デュリシラ「アハハッ、本当ですよね。」
デュヴィジェ「そこは大いに同意できます。」
ディナリアの境遇からして、大きく批難ができない事を踏まえると、現状はこの一撃が無難な感じだろう。それをネタ的に挙げると、苦笑いを浮かべるデュリシラとデュヴィジェ。2人は共に母親なため、ディナリアの心境が手に取るように分かるようだ。
まあ何にせよ、それだけ事が大事である証拠でもあろう。それを窺うと、無意識に動きだす面々だった。ただ、今のアキバ・コミケの催しの問題もあり、ここを離れる訳にはいかない。そこで、先ずは情報収集から開始する事にした。
デュリシラはネット仲間に情報の呼び掛けを行いだす。相手は日本全国にいるヲタク気質の面々だ。過去のコミケ事変などで大変お世話になった方々である。裏で色々と情報のやり取りをしているらしく、“持ちつ持たれつ投げ飛ばす”な関係らしい。
ヘシュナとデュヴィジェは、世界中に在住している同族達に情報の呼び掛けを行いだした。特にこの2人は一族の女王とあるからか、その威厳は一種の強制動員そのものである。まあその大多数がヲタク気質の面々と化しているため、喜び勇んで加勢を申し出ている様子だ。
また念話経由で他の宇宙種族にも情報収集を依頼した。ミュティナ達・ルビナ達・ナセリス達である。こちらも世界中に“ヲタク気質”の同族達がいるため、喜び勇んで加勢を申し出てきているようだ。何ともまあである・・・。
短期間ながらも、事の次第を直ぐに察知しだした面々。幸いにも大事にはならなかった様子である。ただ、リリース前の作品で起こった出来事なだけに、その火消しは結構厄介との事だった。これに関しては開発関係者に任せるしかない。
ミスT「・・・暇だな・・・。」
ディナリアの探索に乗り出した身内達。とは言うものの、それはアキバ・コミケの催しを楽しみつつの流れである。それを成し遂げられるのだから凄いと言うしかない。万般に渡って動けるという姿を、ここでも遺憾なく発揮していた。
俺はと言うと、身内達ほど力量がないため、今はティリナと共に色々なブースを探索している。探索事は彼ら総意に任せ切るしかない。
そんな中、俺の小さなボヤきに傍らのティリナが小さく頷いている。まだまだ幼子だというのに、俺の発したボヤきの内情を窺えたようだ。何と言うか、幼子ながらも幼子に非ず、と言うべきか。
そもそも、彼女はデュヴィジェと同じデュネセア一族である。上辺的な言動はあれど、内情の一念は相当据わっていると思われる。事実、過去の話になるが、幼子だったデュヴィジェ自身、ミツキTとの流れ以後はかなり化けた事を考えれば十分合点がいく。
それに、例の作品がディナリア達の命運を分けるものなら、その娘であり関係者でもあるティリナは自然と察知してしまうのだろうな。だとしたら、本当に母親思いの娘だわ。
ミスT「お前さんには大変申し訳ないが、ディナリアには後で叱るのでそのつもりで。」
ティリナ「・・・はい。」
それでも、言うべき事は言うべきか。実際にティリナを放置した事実には変わりはない。よって、厳しい発言に聞こえてしまうが、彼女に母親への叱責はすると挙げた。すると、一瞬だけ身構える姿勢を見せるも、その真意を察知して頷いてくれた。
徐にティリナを抱き上げ肩に担いだ。今は臨時の母親役を担うしかない。大局的に物事を見よ、か。宇宙種族の生き様には、本当に理解するのに苦労させられるわ・・・。
第13話へ続く。
迷子の保護からドエラい展開に至りつつあるという。こちらは後の大艦長へと通じていくので、その前哨戦とも言えるのかと。今だから断言できますが、大艦長を先に執筆しださなければ、アキバ・コミケの流れは和気藹々で終わったと思います><; 何ともまあですわ(-∞-)
しかし、リアルでの体調不良は参りモノです><; 健康がどれだけ有難く、そして維持するのが困難である事を痛感させられる次第で。皆さんもお身体には十分お気を付けて下さいね><;




