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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第4部・大切なものへ
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第11話 記憶の中に6 原点回帰2(キャラ名版)

 若かりし頃の俺とミツキTとの闘病生活は続く。とは言っても、病室でのやり取りが多い。だが、日を増す毎に彼女の調子は悪くなっていった。見ていて本当に辛くなるが、それでも彼女の生き様を心に刻み続けた。


 そんな中、不意の来訪者に驚いた。若かりし頃のシルフィアとスミエである。更には少女姿のデュヴィジェだ。シルフィアとスミエは面影があるが、デュヴィジェの方は完全に少女の様相である。


 まあスミエの場合は、俺と同じ肉体の老化が訪れない特異体質なので、若いというも外見は今と全く変化がない。羨ましいぐらいの美貌を誇っているからか、映像を視聴している女性陣は羨望の眼差しを向けているのが分かる。


 そう言えば以前、俺はデュヴィジェの幼少時に出逢い、面倒を見た事があると伺っている。また、生誕時に立ち会ったのはヘシュナとの事だが、その後は俺が多かったとの事である。それに、デュヴィジェの娘達の生誕時にも立ち会ったと伺っている。


 今の俺の記憶の状態では、宇宙種族と初めて出逢ったのはギガンテス一族である。しかし、実際の所はデュヴィジェ達デュネセア一族が初めてであった。本当に不思議な流れである。


 タラレバになるが、もし当時のデュヴィジェやヘシュナの実力があれば、病魔に苛まれているミツキTを完全治癒ができたかも知れない。それをしなかったという事は、何らかの一念があったのだろう。


 力があるのに使わないのは、時として不幸を招く事になる、か・・・。既に過去の出来事に至っているが、今後は形振り構わず力量を使うべきだと痛感させられる思いである。



若きミツキT「宇宙種族と言うも、実際には私達と何ら変わらないのは驚きですよね。」


 デュヴィジェとトランプゲームに興じるミツキT。出逢ってから数日が経過するが、改めてデュネセア一族の存在に驚きを示している。


 彼女が語った通り、地球人と容姿は全く変わらない。逆に恐ろしいぐらいに酷使している。過去にギガンテス一族と出逢った時に、ナツミYUとシュームと全く同じ見解に至っていた。


 よく挙げられるのが、グレイといった灰色肌の宇宙人の様相だ。身内の宇宙種族を見れば、完全に地球人による偏見そのものである。下手をしたら宇宙戦争が起こるかも知れないわ。


若きデュヴィジェ「本来であれば、そういった偏見は起き難いのですけど。」

若きシルフィア「所詮は人間のエゴによるもの、これだから人間は・・・。」

若きミツキT「とは言いますが、私達もその人間ですから。」

若きシルフィア「ハハッ、その通りね。」


 出逢って時間が浅いデュヴィジェが、怖ず怖ずといった感じで語っている。その彼女に現在の本人と同じ雰囲気で語り返すシルフィアとミツキT。特にシルフィアはギラついた雰囲気が色濃い。


 まあ当時の俺は更にギラついた雰囲気を放っているため、人の事を言えた立場ではないが。前にも挙げたが、抜き身の真剣とはよく言ったものである。


若きミスターT「極端に汚い行動をする阿呆は、始末するに限る。」

若きスミエ「アハハッ、Tちゃんらしい考えですよね。」


 若い俺がボソッと語る内容に、流石と言うか何と言うかといった思いになる。この頃の俺は間違いなくオンオフで考える事からか、弊害となる存在は始末すると語ったのだ。


 警護者の真髄は、弊害となる存在は問答無用で排除する。それが罷り通る世界でもある。当時の俺はまだ警護者ではないが、その極端な考えは警護者の真髄そのものだ。それ故に後に警護者に至るのだろうから。


 そんなギラついた雰囲気の俺を、見事なまでに激変させたのが若きミツキTである。本当に見事としか言い様がない。


若きシルフィア「ふむ・・・君も警護者になった方が理に適うかも知れないわね。」

若きミスターT「ああ、何れ機会があれば、その道に進みたい。俺の力で変革をもたらすのなら、思う存分暴れてやる。」

若きミツキT「ハハッ、Tさんらしいです。」


 シルフィアの語りに、当たり前の如く語る過去の俺。この雰囲気からして、合理的に物事を判断する部分もある。実に理に適ったものだが、人間性は破綻しているとも受け取れた。


 またこの雰囲気は、全ての物事に対して絶望感を抱いているに違いない。言い知れぬ不安や恐怖に対して、怒りと憎しみを抱いているのが痛烈なまでに感じ取れた。


 リアルのミツキ達がネタとして挙げている、某宇宙戦争の力の概念のそれだ。恐怖が全てのマイナス面に通じているというそれである。それがあるから、今以上に力を持とうとする。今の世上の様相は、正にこれに帰結している。


 今の俺なら、それは誤りの考えである事を痛感している。だが、こうして警護者の道に身を置いている事に、皮肉さを感じずにはいられない。



 和気藹々とする病室の様相は、何気ない日常の様相に見える。だが、刻一刻とミツキTの病状が悪化しているのが垣間見れた。


 顔色は無論、体力的な衰えに雰囲気の浮き沈み。それが決定的に現れたのは、映像を視聴しだしてから数週間後の流れだった。


 とある日、若い俺が何気なく病室へと訪れていた。恒例の如く、ビデオカメラを起動し、ミツキTの様子を窺っている。すると、何時もは明るく見つめ返す彼女が、ベッドの中から出ようとしなかった。


 当時の俺が異変に気付き、徐にベッドに掛かっている上掛け布団を取り除く。そこで愕然とする様相が現れた。彼女が寝ている周辺が、真っ赤に染まっていたのだ。間違いなく血液であり、その規模からして吐血したのだと分かった。


 直ぐさまナースコールを行えるボタンを押して、遠方の看護士達を呼んだ。致死量に近い吐血だ、生死に関わる様相である。


 前々から病状の事は、当の本人から伺ってはいた。それは喫茶店にいる面々の誰もが伺ってもいる。実際にその現状を目の当たりにして、どの面々も絶句していた。しかし、その誰もがモニターから目を背ける事をしていない。


 映像の彼女の姿は、筆舌し尽くし難い様相だ。凡人であれば、目を背けてしまう現状だ。だからこそ、そこに重要な概念が込められるのが分かる。


 何故彼女が、自身の病状を映像で記録してくれと挙げたのか。一部始終を通して、生命の大切さを知って欲しい。これが最大の願いだと思われる。事実、今の彼女の生き様に、正にこの概念が根付いているのだから。



 何とか一命を取り留めたミツキT。かなりの吐血をしたため、その分の血液は輸血に頼っていた。この時の彼女の心境は、今の俺には到底理解できないものになる。だが、数週間前の気迫さは今も健在だった。彼女の眼光は全く衰えていない。


 むしろ、自身の生命が燃え尽きようとしているからか、物凄い落ち着いた様相を醸し出している。今の精神体の彼女の気質からしても、当時からかなりの強さを持っていたのが窺えた。


 ミツキTという人物の生き様は、存在そのものが警護者に通じる部分がある。決して折れる事がない心を持ち、何事も不屈の精神で突き進む。少し矛盾しているかも知れないが、実際はそんな矛盾さを含んでいるのが現実の世界なのだから。


 彼女との共闘は続いていく。膵臓ガンによる身体への蝕みは、時間が経てば経つほど悪化していった。あの後も何度か吐血をしたのだが、先刻の時よりは少量だった。


 その中で驚いたのが、若いデュヴィジェの取り乱し様だ。最初の吐血の時は、泣き止まないかと思うぐらいに泣きじゃくっていた。今のデュヴィジェの落ち着き様を考えれば、当時はまだまだ幼少であったと言えるのかも知れない。


 シルフィアとスミエも愕然としていたが、流石は肝っ玉が据わった人物である。心配はしていたのだが、“全ての物事には意味がある”といった具合で見守るだけに留まっている。


 若い俺はと言うと、相変わらず無機質な雰囲気が色濃く出ていた。心配していないのかと思われるぐらいのブッキラボウさである。まあ後の俺自身が今の気質に至るのだから、内心は相当心配しているのは窺える。


 ミツキTとの共闘は、生命とは何なのかを伝える旅路だと痛感させられた。また、当時の様相を窺っている周りの面々も、自分自身の存在がどれだけ大切であるのかを痛感させられているようである。


 スミエがミツキTの生き様を見るべきだと挙げたその理由。その真髄が徐々に理解しだしてきている。だが、まだまだその域には至っていない。ミツキTがこの事を予測して遺そうとしたのなら、本当に先見性があるとしか言い様がない。


 その後も、モニターに映し出される過去の流れを凝視し続けた。彼女の生き様を最後まで見届けるのが、今を生きる俺達の使命である。


    第11話・7へ続く。

 1ヶ月振りですm(_ _)m 恒例な挨拶になっていますが@@; 先月からの話の流れは、14年前に実際に盟友に降り掛かった様相を模写しています。劇中ではミツキT嬢ですが、リアルではナツミさんでした。


 描こうかどうかと非常に悩んだのですが、“忘却ほど恐ろしいものはない”という部分から、烏滸がましいながらも、更に言葉は悪くなりますが、ネタ化して具現化させました。忘却させる方が遥かに罪深いですからね。


 皮肉にも今月は彼らの13回忌。その彼らと共闘させて頂けたのは、生前で健在だった14年前。警護者の劇中の展開を、14年後にこうして記載させて頂く事になるとは不思議な縁だと言わざろう得ません。


 まだまだ続きますが、この部分は覆面シリーズの根幹概念ともなる部分なので、何卒よろしくお願い致しますm(_ _)m


 話は反れますが、その都度思い出しながらのカキカキは大変です><; あの時の事を1日たりとも忘れた事はありませんが、流石に14年も経つと記憶が薄らいでくるのが何ともで@@; まあその場合は、メッセンジャー経由でセーブチャットをした履歴があるので、それらを見直す事はできますが。


 今後も頑張らねばと思いつつ、カキカキさせて頂いている次第ですm(_ _)m 頑張らねばね。

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