第11話 記憶の中に3 宇宙種族達の決意(キャラ名版)
食事を取り終えて、本店へと戻る。今もラジオブースでは、ミツキ達がラジオの生放送をしている。本当にタフネス過ぎる女性陣だわ・・・。
それでも、そこに生きる彼らの存在に、今まで戦ってきた事が無駄ではなかった事を痛感させられる。何気ない一念ではあるが、その一念によりどれだけ自身を支えてくれるのやら。
そして、周りあっての自分自身である事も痛感させられる。特に数多くの事変を乗り越えて来たからか、その恩恵を余計感じるようになった。これが今の俺のレミニッセンスでもある。
今は大きな事変は終わりを告げたが、次なる事変に備えて構えておいた方が良いだろう。どの道、警護者の道に終わりなどない。あるのは永遠の厳守の戦いである。
デュリシラ「これからどうしましょうか?」
ミスターT「そうだな・・・。」
お互いにカウンターの前へと座ると、ボソッと語り掛けてくるデュリシラ。大事と言える事変を終えた今は、休息を取っても良いのだろう。しかしながら彼女もそうだが、止まる事を知らないのが警護者道と言える。そうして何らかの目的を見つけては動き続けるのだ。
まあ実際問題は課題は山積みだ。各事変で起こった弊害が数多くあり、それらを解決していかねばならない。方々で起きた事変を終わらせるだけではないのだから。
ミスターT「例の映像に関しては、スミエさんから受け取っているのか?」
デュリシラ「いえ、まだ受け取っていません。ですが、既に用意はしてあるとの事です。」
ミスターT「そうか。」
徐に一服しつつ、先に挙がった映像の一件に思いを巡らせる。俺が記憶を失う前の様相を撮影した記録映像らしい。俺自身は本当に思い出せないでいるため、実際に当時の映像を見る事で過去を窺い知れるだろう。
これを一同が視聴したいと語っている事から、何れ喫茶店を貸し切って試聴会を行うとも言っている。俺の過去を知れるとあってか、周りの面々はかなり興味津々のようだ。
だが、本当に触れて良いのかと思う部分がある。ミツキTとの戦いらしいが、それが壮絶な様相であると窺えたのはヘシュナの言動である。俺の過去を知った彼女が、あれだけ取り乱すのだから相当なものだろう。
それでも、今後の俺達には必要な概念と思われる。壮絶な様相を知れば知るほど、俺達はその様相を己の力に変換させられる。そして、痛みを知れば知るほど、他者への敬い・労い・慈しみの一念も力強くなる。
しかし、だからといって態とその境遇に至る事はしたくはない。できる事ならば、全ての存在を何事もなく守り通す事。これこそが、俺達警護者の真髄なのだから。
ミスターT「よう、元気そうだの。」
デュヴィジェ「こんにちは。そちらもお変わりなく。」
サーバーブースへと戻ったデュリシラ及び、喫茶店本店の常駐マスターが離れたため、今は俺が喫茶店の担当を行っている。もしもの非常時は、ラジオブースにいるミツキとナツミAに加勢して貰う事は可能だ。
そんな中、喫茶店に入店してくるはデュヴィジェ。他にはヘシュナとナセリスも一緒だ。何時もは戦闘服に近い様相だが、今は何処にでもいる女性の出で立ちである。何だかんだで地球に馴染んでいる事に嬉しくなってくる。
ナセリス「こちらは色々と大変でしたよ。今もミュセナ様が悪戦苦闘中ですし。」
ヘシュナ「諸々の事変の当事者連中の後始末、これが一番厄介でしたからね。」
ミスターT「ふむ、“でした”と言う事は終わった感じか。」
カウンターへと座る3女傑に紅茶を振舞う。各事変の後処理に追われていた部分からか、幾分か窶れている感じに見える。だがそこは宇宙種族か、無限大のスタミナが相殺させているようだ。
その中でヘシュナが挙げた事が気になった。各事変で悪事を働いた連中の後始末だ。一応の所は記憶操作により罪滅ぼしをさせているらしいが、それで解決するのかどうか悩む部分と思われる。
ミツキ流の不殺の精神故に、その様な愚物であっても殺害だけは控えていた。しかし、何れ火種となるのなら抹殺すべきである。その為の警護者の存在なのだから。
ヘシュナ「ええ、今貴方が思われた通り、本当であれば抹殺すべきですよ。」
ナセリス「今回は相手側が他者を殺害するなどの行為に至っていなかったので、記憶操作による罪滅ぼしに処した次第で。」
デュヴィジェ「烏滸がましい限りですが、誰かがその役を担わなければなりませんからね。ならば、徹底的に無慈悲に動くのみです。」
3人の発言に苦笑いをするしかない。だが、これこそが宇宙種族故の観点である。この点は警護者に通ずる部分があるため、見習うべきだと心から思う。
ただ、ミツキによるストッパーが全てにおいて抑えてくれている。この部分は宇宙種族の面々も有難がっている様子だ。このストッパーにより、人としていられるのだから、実に皮肉な話である。
デュヴィジェ「それとこれは別の話になりますが、最近時空の歪みを感じるのです。大きな事変が起こるかも知れません。」
ミスターT「非常時こそ俺達の真骨頂なのが皮肉だわな。」
ヘシュナ「フフッ、本当ですよね。」
ナセリス「今では私達総意も警護者の仲間入りと。」
デュヴィジェが語る懸念材料に不安を抱くも、その懸念材料自体が警護者らしいという部分に笑ってしまった。こちらの言動に3人の方も小さく笑っている。
ナセリスが言う通り、彼らの存在は今や警護者そのものである。むしろ、宇宙種族だからこそ合うのかも知れない。地球という限定的な場ではなく、宇宙空間という広大な場で活動しているのだから。
まあ今は殆ど地球圏を活動の場にしているため、この部分は当てはまらない。と言うか、殆ど地球に移住し切っている感じである。だからこそ、警護者の役割が必要となるのだろう。
大きな事変は終わったのだが、先にデュヴィジェが挙げた通り、今後も不測の事態は十分起こり得る。宇宙種族の面々の直感と洞察力は、決して嘘を付かないしな。
ミスターT「何時か聞こうと思ってたんだが、この後は何処かに行ったりはしないのか?」
ふと思った事を挙げてみた。宇宙種族は流浪の旅路を繰り返してきている。故に1つの場所に永住する事は希である。それが目の前にいる彼女達は、殆ど地球に永住するかの様子だ。まあその理由は薄々と分かるには分かる。
デュヴィジェ「まさか。言葉は大変悪いですが、この様な紛争や抗争に溺れている地球人を、我々宇宙種族は見過ごしませんよ。」
ヘシュナ「本当ですよね。目を離した隙に何をしでかすか分かったものではないですし。」
物凄い怪訝そうな表情を浮かべるデュヴィジェとヘシュナ。ナセリスは苦笑いを浮かべるに留まっているが、それでも雰囲気は2人と全く同じである。
これに関しては、実際にミュティナ達やルビナにも同様の事を聞いた事がある。地球圏に到来した際、世上のその危うさには痛烈なまでに危機感を感じたのだと。故に地球から離れる事は考えていないとも語っていた。
これはギガンテス一族やドラゴンハート一族がそうなのだから、他の宇宙種族のカルダオス一族・ガードラント一族・デュネセア一族も同様の一念を抱いていてもおかしくはない。
この点からして、地球人の1人の俺としては、心から申し訳ない思いになる。ただ、今の俺が警護者の生き様を貫けているのは、この一念があるからではあるが。
ナセリス「大丈夫ですよ。貴方がそう思われる限り、我々も可能な限りの実働部隊を演じ続けます。先の話になりますが、貴方達が亡くなった後も、その意志は必ず受け継ぎますので。」
ヘシュナ「ですね。これも何かの縁でしょうし。」
デュヴィジェ「小父様の成し遂げようとしている意志は、私の寿命が尽きるまで貫き通します。」
ミスターT「・・・恩に着るわ。」
自慢気味に語る部分に違和感を感じるが、彼女達の心意気には心から感謝するしかない。更には彼女達が長寿の生命体故に、その意志を永く受け継いでくれる事に安堵する。
この手の受け継ぎ事に関しては、俺達は敏感にならねばならない。特に今の警護者の存在が調停者である以上、途中で途絶えるのは非常に危険極まりない。下手をしたら、再び愚物共が湧き上がってくるだろう。
今となっては5大宇宙種族の力を大いに活用するしかない。嫌な言い回しだが、調停者を地で行く彼らであればこそ、警護者の生き様を受け継ぐには打って付けの存在なのだから。
その後も俺達はカウンターを介して雑談を続けた。こうして落ち着いて会話ができるのは嬉しい限りである。今まではその時間すらなかったしな。
ただ、先にも挙げた通り、デュヴィジェ達は次なる不測の事態にアンテナを張り巡らせている。人間を超越する直感と洞察力を持つ彼女達なら、その様な不測の事態に対して敏感になるのは言うまでもない。
ただし、それが何時起こるかなどは全く分からない。故に何時でも動けるように下準備を続けていくしかない。まあそれこそが警護者道と言えるのだが。
何はともあれ、こうして休める時は休むに限る。何れ必ず訪れるであろう、今まで以上に困難な旅路に向けて・・・。
第11話・4へ続く。
1ヶ月振りですm(_ _)m 相変わらずの雑談的な流れですが、目玉はこの後の様相となるので、その間までの小休止といった感じでしょうか@@; この目玉の流れは、風来坊のラスト直前にも帰結する部分があるので、覆面シリーズの根幹となると思います。
しかしまあ、その都度創生しながら描くのは骨が折れますね><; 前は勢いに任せて一気に書き綴れたのですが、今は局地的にカキカキする事が多くなっていますし@@; 話の流れがチグハグしている部分は、間違いなくそれが影響していると思います><;
ともあれ、拙い作品ですが、ご拝見下されれば幸いです。今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m




