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覆面の警護者 ~大切な存在を護る者~  作者: バガボンド
第4部・大切なものへ
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第6話 生き様を示して6 特効の機械筐体の少女(通常版)

 ブックマーク登録、ありがとうございますm(_ _)m こちらは何とか進めていますが、最終話周辺が未完成なので何とかしませんと><;

(ええ、そうですよ。Tさんの気質の変化を、どれだけ望んだ事か。私が逝去するまで、全く動じる事がなく、更に涙も流した事がありませんでしたし。)

(・・・ごめんな。ただ推測だが、当時の俺ならそこで動じていたら、恐らく周りに迷惑を掛けていたかも知れない。己を押し殺し、冷徹なまでに行動に徹する。当時から警護者の気質で動いていたのかも知れないわ。)


 周りが騒がしいので窺うと、何時の間にか喫茶店本店にメインメンバーが出揃っている。しかし、主役たるミツキTの姿はなく、俺の胸の複数のペンダントが淡く輝くだけである。


(ぬぅーん! Tちゃんの心境が読めるわぅ。何とかしてしんぜよう♪)


 近くで茶菓子を漁っていたミツキが、瞳を輝かせつつ俺の胸の複数のペンダントを取り外していく。それを大切に持ちながら、店内の奥へと向かって行った。


「あ・・・そうか、各ペンダントがないと、念話が使えないのか。」

「フフッ、そうとは限りませんよ。」


 何時の間にか俺の背後にいるナセリス。背中に抱きつきつつ、俺の頭に右手を添えてきた。それを見た周りの女性陣から、殺気に満ちた目線で睨まれる。出遅れた感じだ、と言えた。


(念話の概念は、その各ペンダントか能力を持つ方が、持たない方に触れるだけでも発動させる事ができます。これは私達宇宙種族の常套手段ですし。)

(と言いながら、態と狙ってやってるだろうに。)

(アハッ、バレバレでしたね。)


 愛おしそうに背中を抱き締めてくれるナセリス。そこに限りない愛情が込められているのを、念話を通して痛烈なまでに感じ取れる。そして、そこに他の女性陣の愛情も重なっていく。念話は、各人の胸中を見事なまでにシンクロさせるものだろうな。


(はぁ・・・この何とも言えない安堵感は、日に日に強くなっているわよね。できれば、個人的に触れ合いたいものだけど、この安堵感がそれら欲望すらも打ち消していくし。)

(本当ですよね。不安や恐怖が薄らいでいきますよ。)

(・・・問題ない。貴方達に降り掛かるその概念は、俺が全部引き受ける。そして何れ必ず、その不安や恐怖の淵源を必ず叩き潰す。)

(でも・・・貴方の生命と引き換えに・・・。)


 黒いモヤの消滅作戦は、俺の生命を賭しての戦いとなる。俺自身の犠牲がなければ、消滅は不可能というのが現状だ。それを再認識する女性陣は、再び落ち込みだしていく。



「だから、そうとは限りませんと言いましたよね?」


 数十秒の沈黙後、それを破ったのはミツキTの声色だった。と言うか、合成音声による生音だったのだ。声の先を見つめると、そこには呆れ仕草をする機械兵士が立っていた。


「ふふり、ワンコロ軍団の応用が利いたわぅね!」

「本当にすみません。まさかこうして、自らの意思で歩く事ができるようになるとは。」

「礼なら茶菓子1日分で即決わぅ♪」


 何ともまあ・・・。どうやらミツキは、各ペンダントを機械兵士の筐体の首に装着させ、意識を持たせたようである。それが罷り通る事自体が不可解極まりないが、こうして念話などの有り得ない力がある以上、罷り通ってしまうのだろうな。


「全盛期の私だと、宇宙種族の皆様方の力を操るには、各ペンダント効果がないと不可能だったと思います。しかし、不思議な縁からして生命の次元に至れば、それら力を難なく操る事もできます。ただ、発動のキーは各ペンダントが必要ですけど。」

「何と言うか、実に馬鹿げてますよそれ・・・。」

「フフッ、世上には言わば馬鹿げたものも存在しますからね。しかし、これこそが黒いモヤへの特効でしょう。」


 表情は機械兵士故に無表情のままだが、筐体の仕草から誇らしげに語る様相が感じられた。これ、今度は身内により表情の改良とかしそうだわ・・・。


「・・・1つだけ言っておくが、その特効が貴方の犠牲であるなら看過せんよ。」

「ご冗談を。生命の次元からすれば、あの黒いモヤはマッチ棒程度の炎です。私が帰結した生命の流れは、もはやビッグバンに等しい超火力の強大な炎でも。一息で消す事が可能ですよ。」

「はぁ・・・やはりその力が存在していましたか・・・。」


 淡々と語るミツキTの言葉に、俺達より宇宙種族の全員が驚愕と共に呆れ顔になっている。ただ、ヘシュナとデュヴィジェは何となく気付いていた感じではあるが。それでも実際に存在する力に、驚きの表情は浮かべている。


「大宇宙は生命そのもの。私達自体の中にも小宇宙がありますからね。それは大小問わず、非常に密接な関係に至っているとも。その概念自体、実際に見た事がないものでしたが、まさか貴方の存在で窺う事になるとは思いもしませんでした。」

「これも全て、総意を守りたいという一念が生み出した力ですよ。その大役を私が担っているようなものですし。」

「はぁ・・・小母様の力には脱帽させられっ放しですよね。」


 もはやこれは、完全に常識を覆す非常識そのものだ。しかし、その非常識が存在しているのもまた事実である。これらを踏まえて、特効と述べたのだろうな。


「ただ、全力を以て動くと、皆様方の戦いには至りません。私は不測の事態として存在しているに過ぎませんので。最終的には皆様方に委ねる事になります。」

「そうだな、総意の力を以て戦うしかないわ。」

「ミツキ様が概念、持ちつ持たれつ投げ飛ばす、ですよ。」


 恐れるものは何もないと、気迫で語るミツキT。この力があれば、間違いなく黒いモヤを消滅させる事ができるわ。


 物凄い力を持った人物の加勢に、周りの面々は大いに沸き立ちだす。劣勢の劣勢だと思っていたのが、完全に覆された感じである。俺の方は呆れを通り越して脱力気味だが・・・。


 ただ、彼女が挙げた通り、それは不測の事態の一撃である。要は俺達が戦う姿勢が大切になる。他力本願の一念があれば、即座にそれを見抜かれるだろう。いや、生命の次元からして全て見抜かれているとも言える。だからこそ、彼女が現れた理由がそれである。


 やはり、死に物狂いで戦わねば、勝ち取れないものである事は間違いない。ミツキTの存在に安堵をするのは確かだが、今まで通りにこの生命を賭して、総意のために戦う事を誓うわ。




 ミツキTの出現から数日後。各準備は怠りなく進んでおり、その時を静かに待ち続けた。ただ、この超特効の存在は俺達だけしか認知しておらず、世上の方は迫り来る災厄に絶望感を抱いているのは間違いない。


 当然、この事を公に出す事はしない。大事なのは、その瞬間をどう生き続けるか、である。それに先にも挙げたが、他力本願の一念を出そうものなら、ミツキTの加勢は絶対にない。最後の最後まで全力で足掻き続ける事が大切なのだから。


「半分恐怖、半分安心、という感じと。」

「突然の先読みはやめれ・・・。」


 本店と姉妹店の売上伝票の計算をしつつ、胸中の思いに馳せていた。そこに厨房でお客さんのオーダーを作っているデュリシラから、見事な茶化しが入ってくる。


「先読みも何も、貴方が持っていた各ペンダントが、ミツキT様に受け継がれた事で、私達も今まで以上に力が増しだしましたし。」

「あー・・・それは確かにねぇ。」

「今の貴方のお持ちの各ペンダントは、まだ覚醒していない普通のものですからね。」

「何とも。」


 今は宇宙種族の面々に新たに創生して貰った、各ペンダントを胸に着けている。しかし、その力は生み出された時のものなので、成長されていないものとも言えた。念話こそ使えるが、各能力は身内のと同等クラスにまで落ちている。


「まあでも、今までの各ペンダントが異常な感じでしたからね。それを除けば、今の貴方の実力がそこにありますし。」

「無意識にこれらに頼っている節もあるからの。素体での実力で勝負せねばならんしな。」


 本来のあるべき姿に戻ったとも言えるのだろう。ただ、1つだけ異なるものがある。それは、元祖各ペンダントをミツキTに託したが、その瞬間に性転換状態が解けなかった事だ。


「・・・これ、もう野郎の姿に戻れないんじゃないかね。」

「ご冗談を。私も念じれば、男性の姿になれますよ。各ペンダントの力が弱かろうが、全く関係ないと思いますし。」

「デュリシラさんの男性姿、か。」


 言うか否か、性転換ペンダントを発動させるデュリシラ。女性から男性へと姿が変わった。ただ、その効果自体を示すだけのようであり、直ぐに女性の姿へと戻してしまう。


「初めて性転換状態になった時は、非常に驚きました。今では気にもならない感じです。それに、素体が男性の貴方と張り合うには、私も素体が女性の方が良いですから。」

「まあなぁ・・・。」


 あくまで自然体でいようとするデュリシラに、心から脱帽するしかない。対して俺の場合は、特効薬の要因で性転換状態から抜けられずにいる。コスプレの様相だけは止めて戻したが、ミスTの状態は続いていた。


「何かもう、姉がそこにいるみたいですよ。」

「それこそ、ご冗談だろうに。年齢的には貴方の方が年上だし。」

「身体的なものは、ですけどね。精神面での部分は、私は貴方の妹の様な感じですよ。これは他の女性陣も同じ事を思っていますし。」

「妹ねぇ・・・。」


 自慢気に語る彼女に呆れるが、確かに挙げた部分に納得はできる。


 外見的な部分では、生まれた年代による上下が存在するのだが、精神面の部分だとそれは一切該当しない。俺が年下のシルフィアやミツキを師匠と思うように、年代的な概念は無粋としか言い様がない。


 ただ、俺自身はお世辞に大人とは言えず、まだまだ子供の部分が数多い。それでも、周りは兄や姉に見てくれている部分には、心から敬意を表し感謝せねばならない。


「それに、夫婦としての概念もありますからね。」

「夫婦ねぇ・・・。」


 売上伝票の纏めを終えて一服する。すると、カウンターからコーヒーを手渡してくる彼女。小さく頭を下げつつ、それを受け取り啜る。


「・・・俺はデュリシラさんの、胸に空いた穴を埋められる存在になれるかね。」

「またご冗談を。貴方以外に埋められる存在はいませんけど。」

「そうですか・・・。」


 自身を過小評価するなと、凄みの表情で迫ってくる。これは過去に、ナツミYUにも同じ言葉を言った事がある。彼女達の人生に関わる重大な問題故に、浅はかな考えでは捉えたくない。ただ、今の様相を踏まえると、宇宙種族が推奨する一夫多妻論に帰結してしまうが・・・。


「良いではないですか、一夫多妻の状態でも。それで周りに不幸をばら撒くのなら大問題ですが、これは身内だけの補完程度になりますし。もし、世間体を気にしてのものがあるのなら、それこそ超絶的に無粋なものですよ。」

「まあ・・・貴方達が良いと言うのなら、俺はそれに追随するしかないが・・・。」

「時間はありますからね。もっとよく考えて下さいな。」


 何時になく優しい表情を浮かべるデュリシラ。この表情は、かつて共に過ごしたパートナーに浮かべていたものだろうな。やはり、その方の代わりになれるのかと思ってしまうが。


 持ちつ持たれつ投げ飛ばす、か。言うは簡単・行うは難し、そのものである。しかし、実際には非常に簡単なものなのだろうな。


 各々がこれでもかと言うぐらいに、己が生き様を示している現状。その勢いと生命力の強さこそが、あの黒いモヤへの特効薬になるのだろう。それが具現化した姿がミツキTである。


 最後は己自身との対決に帰結する、そう思わざろう得ない。まだまだ膝は折れないわな。


    第7話へ続く。

 この話で、漸く探索者側のミツキT嬢に至ったのかと。機械筐体の身体を経て、仮の肉体を得た感じになりますので。精神体の設定は、本当に超チートとしか言い様がありません(-∞-)


 ちなみに、この展開が苦労人の冒頭からもありますが・・・。つまり、創生者のお嬢の種族属性は・・・と言うことです@@; 今はそう挙げておきますm(_ _)m

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